支持体(しじたい)とは絵を描く面、もしくは物体のことです。
アクリル絵の具は主に紙、キャンバス、板が使われます。
さらに、布、木材、革、石やブロック塀、プラスチック製品、ガラス、金属にも塗れるので、いろんなものが候補になります。
ただし、ガラスや金属などのツルツルしたものは後から剥離する可能性があるので、表面を紙ヤスリ(サンドペーパー)で削るなどしてキズをつけて、ジェッソという下地材(地塗り剤)を塗っておいたほうが無難です。
この記事で説明する主な支持体の一覧です。
1.紙 |
それでは個別に解説していきます。
1.紙
最も多く使われる支持体であり、主なものに水彩紙、ケント紙などがあり、さらに国産のものと、外国産のものがあります。
外国製のブランドものの水彩紙は歴史があり、品質がいい分、いいお値段になっています。
コットン100%のものまであります。
紙を選ぶ際は、安い紙は酸性に傾いているものもあるので、長期保存を考えているなら、中性のものにしましょう。
紙は厚いもの以外は、アクリル絵の具で塗ると、水を含み、波打ったり縮んだりするので、使う前に水張りをします。
※水張りについては別記事で解説していますので、よかったらついでに読んでください。
2.キャンバス
油絵の具を使って描かれるのを前提として、油性のプライマー(下地剤)が塗られていることがあります。
これはアクリル絵の具を弾く可能性があるので、軽く紙ヤスリをかけてジェッソを塗ったほうが定着しやすくなります。
大きな画材屋さんであれば、アクリル絵の具用の下地処理をしたキャンバスも売っているので、買う前に確認するといいでしょう。
百均で売られている表面がキャンバス風のイラストボードはツルツルしているので、ジェッソを持っていないという方も、練習用と割り切っている方も、紙ヤスリくらいはかけたほうが無難です。
なお紙ヤスリは表面を薄く削る程度で十分です。
麻の繊維が飛び出すのは削り過ぎです。
3.板
板には3種類あります。
一般的に板と呼ばれる合板と、ハードボードと呼ばれるもの、イラストレーションボードの3つです。
①合板
合板を支持体にする場合は、ジェッソを塗って、下地を作ります。
ジェッソを塗らずに、直にアクリル絵の具を塗ると、吸収が良すぎるし、発色もイマイチになるし、表面がザラザラで描きにくいというものあるので、描いていて楽しくないかもしれません。
ジェッソは「薄く塗る・乾かす・紙ヤスリかける」を1セットとして、何度か繰り返します。
一度で厚塗りすると筆跡が残ったりして塗りにくくなります。
②ハードボード
表がツルツルで、裏は網目状になっています。
表側は紙ヤスリを軽くかけて使います。
裏側の網目状というのはキャンバスの布地みたいな表面のことで、こたつ板の裏側(ヒーターユニットのある側)を見てもらうと分かりやすいでしょう。
こちらは厚塗りや、凸凹を利用するときに使えます。
③イラストレーションボード
イラストボードと略されることもあり、丈夫な厚紙に水彩紙やケント紙などを貼り合わせたものです。
こちらは丈夫な厚紙が裏打ちされているので、水を使う絵の具で塗っても波打ちすることはほとんどなく、描くことに集中できます。
ただし貼るというコストをかけているので、少しお高くなります。
安いお店でA4サイズ1枚あたり150円くらいでしょうか。
ただし完成後は見栄えがしますので、そのまま飾ることもできます。
4.その他の素材
アクリル絵の具はいろんなものに描けます。
布、木材、革、石やブロック塀、プラスチック製品、ガラス、金属にも塗れるので、身の回りのあらゆるものが候補になります。
ただし、ガラスや金属などのツルツルしたものは後から剥離する可能性があるので、表面を紙ヤスリ(サンドペーパー)で削るなどしてキズをつけて、ジェッソという下地材(地塗り剤)を塗っておいたほうが無難です。
木や板も吸収が良すぎて発色がイマイチになるので、ジェッソを塗ることをオススメします。
そのまま塗ると、狙った色にならなくて残念な感じになります。
ジェッソをわざわざ買いたくないという場合は、何度も重ね塗りすれば少しは発色がよくなるでしょう。
敢えてジェッソを塗らずに勢いを楽しむという方法もあります。
例えば、石とかだったら、直にガンガン塗って楽しみましょう。
そこら辺で拾った石なら後で剥離するとか心配せずに、塗って遊びましょう。
顔を描いてもいいし、抽象画みたいなものでもいいし、石の形からイメージが湧いた何かでも面白いですよね。
補足
初心者の方でお金をかけずにアクリル絵の具で描きたいという方は、百均でケント紙と合板とマスキングテープを買ってきてください。
合板に水張りする方法が一番手っ取り早くて安くて、仕上がりもキレイです。
(簡易版水張りの解説はコチラ)
合板もマスキングテープも買いたくないという方は画用紙やスケッチブックに直に描くことになると思います。
でも、水張りしないと表面がグニャグニャに波打ち、残念な感じになります。
ひと手間増えますが、水張りをオススメします。
お気に入りの絵が完成したら、額縁も百均で売っているので、飾ってみるとお部屋に彩りを添えられますよ。
(以上です)