技法・画法

■絵画のぼかし技法 基本的な方法8選

2021年9月29日

ぼかし技法、スフマート、モナ・リザ
レオナルド・ダ・ヴィンチ「モナ・リザ」の一部

 

「ぼかし」とは境界線をハッキリさせないこと、周囲となじませてあいまいにすることです。

アクリル絵の具を塗る時、境界線がハッキリしないように「ぼかす」ための技法がどうしても必要になる場面があります。

人の肌などのなだらかな曲面を表現したいなら避けては通れない技法です。
遠くのものは境界がクッキリしていると遠近感がおかしくなる場合もあるので、空気遠近法を利用するためにも必要な技法です。

ぼかす技法はいくつかあるので、整理して解説します。

 

この記事で説明するぼかし技法の一覧です

1.かすれ、ドライブラシ
2.ファン(扇筆)
3.指
4.たたきぼかし
5.ウェットオンウェット
6.グレーズ技法(グレージング)
7.グラデーションメディウム
8.リターディングメディウム

 

それでは個別に解説していきます。

1.かすれ、ドライブラシ

かすれさせたい絵の具が紙やキャンバス上で乾いていないうちに、乾いた筆で境界線を広げてぼかしていく方法。
何度もやっていると乾いた筆に絵の具が多く付いてくるので、ときどき拭ってあげましょう。

 

2.ファン(扇筆)

ファン、扇筆
扇型に広がった筆を使う。これもドライブラシのやり方と同じ。
境界線をなじませるように広げていきます。

 

3.指

まだ乾いていない絵の具の境界線を指でくるくる円を描きながら、または外側へかすれさせるように広げていく方法。

 

4.たたきぼかし

隣の色のアクリル絵の具を少し筆に付けて、乾いた状態に近くして叩いて着色する方法。
色を付けたらまず布や手のひらなどで試し書きをして十分にかすれさせて、カサカサになったら紙やキャンバス上に印鑑を押すようにトントンと叩いて広げて、境界線をぼかす方法です。
刷り込み刷毛、ボカシブラシを使うと便利です。

 

5.ウェットオンウェット

両方の絵の具が乾いていない状態で、境界線を絵の具の付いた筆で往復させて境界線をぼかす方法。
中間色を作ってやる方法もあれば、隣り合う2色のそれぞれ用の筆で行ったり来たりしながら、境界線をぼかす方法もある。

 

6.グレーズ技法

既に乾いた絵の具の上に、隣の色を少量混ぜた色、または中間色を作ってさらに水で薄く溶いて、境界線に塗る方法。
カラーフィルムを何層も重ねるイメージ。何度も重ねた所ほど隣の色に近くなる。

 

7.グラデーションメディウム

薄塗り用遅乾剤。乾燥を遅らせるためのメディウムを使って、ウェットオンウェットをじっくりと丁寧にやる方法。
見た目はサラサラして水と同じ感覚。

 

8.リターディングメディウム

リターディングメディウム
厚塗り用遅乾剤。透明で粘り気のあるゼリー状の添加剤です。
乾燥を遅らせてウェットオンウェットをやるのに便利なのは上と同じ。
紙やキャンバス上で混色するのに便利です。

 

補足1
ボカシの技法はいずれもアクリル絵の具が乾く前に手早くやるのがコツです。
乾くスピードについていけないときは乾燥を遅くさせるメディウムの力を借りると便利です。

 

補足2
ぼかし技法と重ね塗り技法は切っても切れない関係にあります。
重ね塗り技法の名前はたくさんあって混乱するかもしれないので、整理してみました。
よかったら、こちらもどうぞ。
→「重ね塗り技法の名前の整理 全9種類

(以上です)

 

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