風景画モチーフ別のコツ

風景画 空の描き方 青空、曇り空、夜空、夕焼けなど

空を描くのは簡単そうだけど、季節や時間によって表情がたくさんあるので困ったことありませんか?
初心者の方むけにサクッと読める簡単なコツなども紹介します。
よかったら読んでいってください。

 

この記事で説明する項目の一覧です。 

1.青空
2.曇り空
3.夜空、朝焼け空、夕焼け空
4.塗る順番
5.まとめ

 

それでは個別に解説していきます。

1.青空

青空でも季節によって色が変わります。
台風一過の突き抜けるような青空なら、そんなに違いはありませんが、普通の青空であれば色を微妙に調整することで、より本物らしくなります。

現場でスケッチする場合は、目の前の色を忠実に再現するのが一番ですので、以下は目安ていどに考えてください。

 

春……ほんの少し紫(または赤)を加えることで、爽やかさの中にも空気の冷たさを表現できます。
100均の青はやや紫がかっているのでイメージが近いようです。

夏……メーカー品の青は種類が豊富です。
代表的なのがプライマリーシアン、セルリアンブルー、フタロシアニンブルー、コバルトブルー(ウルトラマリン)、プルシアンブルーです。
メーカーによって色みも呼び名も変わります。
突き抜けた晴天の力強い青は(好みの差はありますけど)、フタロシアニンブルー、コバルトブルー辺りがイメージに近いようです。

100均の絵の具が薄いとか紫っぽいと感じる場合は、ほんの少し黒を混ぜて紺色に近づけるという方法があります。

秋……天高く馬肥ゆる秋(てんたかくうまこゆるあき)と言いますが、台風一過でもなければ、突き抜けるような力強い青ではないようになります。
ごく少量の白いフィルムを全体的にかぶせるように塗るか、ほとんど青のような水色の線を横に何本も引くか、高度の低い所は白を多めに混ぜるかすること穏やかさと夏が過ぎ去ったことを表現できます。

冬……突き抜ける青空は寒い地域だとなかなかないですよね。
薄っすらとした雲を多めに配置して、なおかつ空も黒やグレーを少しだけ混ぜることで重々しくできます。
いっそのこと曇天にして隙間から弱々しい青を覗かせることでも寒さを表現できます。

 

2.曇り空

詳しくは「雲の描き方」の記事で解説しますが、ここでは遠近法をしっかり押さえてください。
雲は遠くほど水平線に近づくので低く横長になり、近くほど上下の厚みが増え、高く大きくなります。

 

雲の量が多い雲天の日の場合、雲の底は光が当たらないのでグレーや黒を少し多めにして、遠くは雲どうしの間隔が狭く、近くでは間隔が大きくなります。

空、雲の描き方5

単独のぽっかり浮いた雲の場合、ついつい同じ大きさの雲を並べたり、左右対称の形になったりしがちなのでテキトーに散らします。

 

3.夜空、朝焼け空、夕焼け空

①夜空
夜空の色はただの黒にすると、色を吸収しているような、凹んだような、もしくは残念な感じになってしまいがちです。
紫や紺色に少しずつ黒を足していくと神秘的な奥行きのある色になります。

 

②朝焼けと夕焼けの色の違い
朝焼けと夕焼けは共に太陽が水平線近くの角度から照らすので、似たような赤い色に思えるかもしれませんが、実際は少し違います。
理由は気温です。

夕焼けは昼間に温められた空気が上昇気流となりチリやホコリが舞っているため、光が拡散され赤みが強くなります。
朝焼けは夜に冷やされた空気が重くなり、空気中に舞うチリやホコリが少なくなっているため、白っぽくて光が強く見えます。

夕焼けは地平線からかなり上の角度まで赤く染まることがありますが、朝焼けはそんなに上の角度まで赤く染まらず、太陽の白く力強い光がどんどん増えて、時間的にもアレ?もう終わり?みたいな感じです。

また太陽の見え方も少し違います。赤く燃えるような夕日とよく言われますが、夕日はオレンジ色、黄色っぽい色でまだ眺めやすい明るさです。
朝日は長く見つめると網膜がやられそうな白く力強い明るさです。

空のグラデーションとしては両方とも、赤っぽいオレンジ→オレンジ→黄色→細く白っぽいグレーの帯→水色→青→紺色→濃紺、の順番になります。
面倒なときはオレンジ→紫→濃紺みたいに省略する方法もあります。

 

4.塗る順番

①重ね塗りできる絵の具
重ね塗りできるアクリル絵の具や油絵の具なら背景の空を先に塗ったほうが後で楽できます。
水平線に近い所を白っぽくして、上空にいくほど青を濃くするような場合、後から木や建物を避けながら自然なグラデーションにするのはメッチャ難しいです。

 

②重ね塗りしにくい画材
水彩絵の具の場合、重ね塗りが難しいので、木や建物などの手前のモチーフを塗った後に空を塗ることが多くなります。
この際、モチーフと空の色があまり接近しないように、絡まないようにしたほうが楽です。
空の地平線近くは白っぽいことが多いので、それを利用して手前のモチーフと重ならない高さだけ青く塗るという方法です。
白っぽい所は画用紙やキャンバスの白を利用して何も塗らないようにします。

また空を水平線近くまで濃い青にしたい場合、手前のモチーフとの隙間がどうしてもできてしまいます。
時間をかけてキッチリ塗るのもいいですけど、色鉛筆ならまだしも筆を使う水彩絵の具だと筆跡が残って見た目も悪くなります。
隙間ができても構わないと割り切るのもいいですが、いっそのこと淡い青空にするという選択肢もあります。

水彩絵の具で水平線近くまで濃い青にするというのは、遠景だけならいいですけど、手前に高さのある大きなモチーフを描く場合、なかなかのチャレンジだと思っておいてください。
輪郭に沿って青く塗るのはメッチャ大変です。

そもそも淡いのが水彩絵の具の特長であり、よさでもあるのに、水平線近くまで濃い青にするというのは使い方を間違ってるという考え方もあります ^^;

 

5.まとめ

①青空
季節によって青さが異なります。
100均の青い絵の具は紫がかっていることもあるので、突き抜けるような夏の青空を塗るのは難しい場合があります。
ほんの少し黒を混ぜて紺色っぽくするとイメージに近づけられるかもしれません。

 

②曇り空
遠近法を意識して、遠くの雲は低く、上下の幅を狭く、横幅も小さくします。
近くの雲は上下も横幅も大きくして雲どうしの間隔もあけます。

 

③夜空、朝焼け空、夕焼け空
夜だからと単純に黒で塗ると残念な感じになりがちなので、紫か紺色に黒を少しずつ加えると神秘的で奥行きのある夜空になります。

朝焼けは白っぽくて高さの幅はあまりなく、夕焼けは赤く高い所までグラデーションになっています。

 

④塗る順番
重ね塗りできるアクリル絵の具などは先に背景である空を塗った後で手前のモチーフなどを描いたほうが楽。
重ね塗りしにくい水彩絵の具などは先に手前のモチーフを塗って、空に関しては空の水平線近くは白っぽいことが多いのを利用して、手前のモチーフと重ならない高さまで青くするのが楽。
それより以下は所々薄い青で塗れば、鑑賞者は雲の切れ間に青空が覗いていると解釈してくれます。

 

               (今回は以上です)

 

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