技法・画法

■アクリル絵の具の基本的な塗り方10選

2021年9月8日

アクリル絵の具の塗り方・技法は、いろんな方法があります。
写実的なものだけでなく、抽象画みたいに楽しみながら自由に描くこともできるので、いろいろ試してみてください。

家を汚したり、人に迷惑かけたりしなければ、アクリル絵の具で「やっちゃいけないことはない」くらいのスタンスでいいんです。
発想を柔らかくして、やっちゃってください。

 

この記事で説明する塗り方の一覧です。

平塗り、重ね塗り、にじみ、ぼかし、マスキング、吸い取り、スパッタリング、ドリッピング、かすれ、スタンプ。

グラデーションは別記事で詳しく説明していますので、よかったら読んでみてください。
→ 「グラデーションのコツ、やり方4選

 

それでは個別に解説していきます。

1.平塗り

いわゆるベタ塗りであり、絵の具を均一にムラなく塗ることです。
アクリルガッシュと違って、アクリル絵の具は下地の透ける色が多いので、ドライヤーなどで「乾かしては塗り、乾かしては塗り」を繰り返したほうがムラなく塗れます。

 

2.重ね塗り(透明、半透明、不透明)

青い下地に透明な黄色を重ねると緑色になりますが、最初から緑色で塗ったものとは違う色合いになり、混色では出せない面白みがあります。
また薄めた黄色を何度も上塗りする方法は、重ねる回数によって色合いが変わり、深みも増します。

上に重ねる色が不透明な色、またはチタニウムホワイト(不透明)を混ぜた色を重ねると下の色を早めに消すことができます。

 

3.にじみ

水彩絵の具でよく使われる描法ですが、アクリル絵の具でもできます。
先に紙を濡らして、水を多めに溶いて塗るとじわじわ広がって、にじんでいきます。
にじみ技法を使うためには吸収性の優れていない紙、すぐに吸水しない紙を使うとやりやすくなります。
サイジング処理(サイズ加工)といって、水が表面にある程度は留まるように加工されたものが水彩紙として販売されています。

 

4.ぼかし

にじみと似ていますが、順番が逆です。
まずアクリル絵の具で塗り、乾く前に水を含ませた筆で撫でるように広げます。
境界線をぼかすグラデーションにも使えます。

 

5.マスキング

テープとフィルムがあります。
塗りたくない部分を隠し、その上から塗った後でマスキングテープなどを剥がす方法です。
水平線などはフリーハンドで直線を描くのに比べたら大幅に時間を節約できます。
マスキングテープを丸くちぎって画面に貼って白抜きを作る方法は、例えば葉の上の水滴などに使えます。

マスキングフィルムは面で塗りたくない場所を覆う方法です。
あらかじめカッターなどで塗りたい部分だけを切り抜き、塗った後でフィルムを剥がします。
アイデア次第でいろんな使い方ができます。
例えば雪だるまのシルエットを切り抜いて画面全体を覆い、切り抜いた部分の中に冬の景色を描いた後で、マスキングフィルムを剥がすと、着色している部分の形が雪だるまになっているので、画面の中と枠の両方で冬や雪景色を表現することができます。

 

6.吸い取り

塗った後に布や紙を置いて吸い取ると、偶然の質感が得られます。
剥がすときに、ベチャッとくっつくような感じですが、その跡が不規則に盛り上がり、意図的には作れない表情を作れます。

またティッシュやスポンジで拭き取り、別の色を重ねるという方法もあります。

例えば雲を描くときにこの方法を使うと、速くできるので効率的です。
背景の空の色を塗った後、ティッシュなどで軽く拭き取り、上側に白を、下の陰になる部分に灰色を塗ると立体感も出せます。

 

7.スパッタリング

歯ブラシなどの硬いブラシに絵の具を含ませ、金網でこすって霧状にして着色する方法です。
エアブラシには敵いませんが、似たような雰囲気は出せます。
宇宙にきらめく星や銀河を表現するとき、水中の細かい泡を表現するときなどに使えます。

 

8.ドリッピング

やわらかめに溶いた絵の具を筆につけ、トロリトロリと落とす、振り落とす、または筆の軸を叩くなどして落とします。

画面の外に飛び出すことも多いので、レジャーシートや新聞紙などで床を保護しておきましょう。

スパッタリングより大きな粒で着色できます。

 

9.かすれ

乾いた筆やスポンジなどで塗った絵の具を伸ばす方法と、絵の具を少量だけ付けた筆をさらに別の紙などに擦りつけて色がなくなる直前で塗る方法があります。
輪郭をボカシたいとき、グラデーションを作りたいとき、古ぼけた風味を出したいときなどに使えます。

 

10.スタンプ

ポンポンと上から叩くように、スタンプを押すように塗る方法です。
普通の筆よりステンシルやステンシル用スポンジなどでしたほうが均一の大きさで押せます。
境目をぼかすグラデーションなどにも使えます。

 

               (以上です)

 

-技法・画法

© 2024 アクリル絵の具で自由画人