結論から先に言うと、アクリル絵の具を子供が1人で使うのはオススメしません。
アクリル絵の具には毒性のある顔料を使っている色もあるので、赤ちゃんや幼児、子供の手の届かないところに保管するのが基本です。
絵の具を舐める心配のない年齢になったら、保護者監視のもとでアクリル絵の具を使うのはいいかもしれません。
この記事で説明する項目の一覧です。
1.アクリル絵の具の毒性、安全性 |
それでは個別に解説していきます。
1.アクリル絵の具の毒性、安全性
①100均の場合
チューブではなく、外装のセロファン袋に記載の注意書きには、以下のように書かれていました。
・幼児の手の届かない所で保管してください
100均に卸しているメーカーが違うみたいで、パッケージデザインの違う複数のアクリル絵の具を見てみましたが、いずれも「手の届かない所に~」と書いてあるだけでした。
要は、メーカーとしては幼児には使わせないで、と注意している訳ですね。
毒性については不明ですが、毒性があるかもしれないと想定しておけば間違いないはずです。
②メーカー品の場合
リキテックスを例にとると、色によって安全性があるものと、有毒のものに分かれています。
12色セット(レギュラー、伝統色、10ml)の色には、安全性を示すAPマークがすべて付与されています。
これはACMI(米国画材・工芸材料協会)が「人体に害のない安全な画材・工芸材料であり、アメリカ合衆国連邦法で定められた評価基準に適合しているもの」に対して付与しているマークです。
※APマークの例
一方、このセットには入っていない色で、安全マークの付いていない色もあります。
以下に、ラベル記載の注意事項を抜粋します。
白/ジンクホワイト……[警告]亜鉛化合物を含みます。
水性動物に強い毒性があります。環境への放出を避けること。
口や目に入れないこと。
使用後は手を洗うこと。
黄/カドミウムイエローミディアム……[警告] [X]有害性あり。
セレン及びカドミウム化合物を含みます。
口や目に入れると有害の恐れがあります。
皮膚に付けないこと。
噴霧しないこと。
飲み込んだ時は医者の処置を受けること。
上記、2つの警告文は大人でもビビります。
でも自分は使っていますが…… ^^;
APマークなどの安全性のある色に限定して、なおかつ保護者の監視があれば、使わせることは可能かもしれません。
しかし、くれぐれもAPマークを過信せず、舐めたり、飲んだりしたら、すぐに医者に相談しましょう。
2.子供が使うときに用意するもの
絵の具以外に用意したほうがいいもの
・ 筆、パレット、水入れ(筆洗い器)、画用紙など
・ 不要な古布、またはキッチンペーパー
・ 新聞紙、レジャーシート等(床の汚れ防止)
・ 汚れてもいい洋服、エプロン
それぞれ個別に解説します。
● 筆、パレット、水入れ(筆洗い器)、紙などの塗るもの
全部100均で揃います。
高級なものがいいというこだわりがあれば、お好みで探してください。
ちなみに学校で使う水彩絵の具セットの筆は使わないほうがいいです。
アクリル絵の具は乾くと、水洗いしても落ちなくなるので、毛先が割れます。
100均で4本セットなどが売っているので、別に用意することをオススメします。
● 不要な古布、またはキッチンペーパー
アクリル絵の具が付いた筆をそのまま筆洗いの水入れに突っ込むのはオススメしません。
安全性のマークが付与されていても、環境にダメージを与えることに代わりありません。
プラスチックの粒子を海に流すのと同じです。
またアクリル絵の具が付いたまま水入れに入れて放置すると、たとえ水の中にあったとしても少し固まって、筆にクセが付いてしまうこともあります。
水入れに突っ込む前に古布やキッチンペーパー、古新聞やティッシュなどで余計なアクリル絵の具を拭きとりましょう。
そのほうが水入れの水も濁りにくいので、何度も交換する手間が省けます。
● 新聞紙、レジャーシート等(床の汚れ防止)
フローリングの床にアクリル絵の具を落とした場合、すぐ拭けば取れますが、10分くらい放置すると取れにくくなります。
畳に落ちたら厄介です。
すぐに水拭きしても色は残る可能性が高いです。
落ちたと気づかずに放置することも考えられるので、新聞紙などを敷いておけば少しは安心です。
●汚れてもいい洋服、エプロン
服に着いたアクリル絵の具は乾くと取れません。
リムーバーという専用の剥離剤も売っています。
でも完全に取れない可能性もあるので、汚れてもいい着古した洋服で描くことをオススメします。
3.筆洗い、水を捨てるときの注意事項
不要な古布、またはキッチンペーパーの項目でも触れましたが、筆に付いた余分なアクリル絵の具は水入れに入れる前に拭って、取り除きましょう。
一通り作業が終わって、片付けるときは、水入れの下に固まったアクリル絵の具が沈殿していることが多いので、取り除くことができるなら取って、なるべく汚れた水だけを流すようにしましょう。
筆を拭った古布やキッチンペーパーは燃えるゴミとして捨てるか、各自治体の決まりに従って捨ててください。
4.アクリル絵の具を選択する必然性
小学生くらいの子が夏休みの宿題などで立体的な物に塗りたいという創作意欲が湧いたとき、何かいい絵の具はないかと探すこともあるでしょう。
そうしたら、水彩絵の具だと接着や発色が弱いので、アクリル絵の具やアクリルガッシュが候補に上がってくるはずです。
その一方で、他の絵の具で代用できるのに、わざわざアクリル絵の具を選ぶ必要はないですよね。
アクリル絵の具やアクリルガッシュじゃないとできない芸当を以下に列挙します。
・ 石やガラス、金属、木、布に塗れる
・ 屋外の物にも塗れる(耐水性あり)
・ 乾けば何度でも重ね塗りができる
石やガラス、金属などは表面がツルツルだと塗れたとしても後で剥離しますので、サンドペーパーなどで軽く傷をつけると定着しやすくなります。
例えばエコバッグの布にアクリル絵の具で絵を描いた場合、乾けば耐水性になるので洗濯ができます。
こういった魅力のあるアクリル絵の具ですので、どうしても使いたいという場合は、保護者の監視のもとで、取り扱いには十分に注意してください。
補足
※アクリル絵の具を肌に直接塗るのは止めましょう
筆を使わずに、子供が指に直接付けて塗って遊べる指絵の具というものが販売されています。
顔などに塗れるフェイスペインティング、ボディペインティング用の絵の具も販売されています。
こういうのであれば安全性は高いようですが、どうやらアクリル絵の具とは別の種類のようです。
安全性を優先するならコチラを選択するのもいいし、仕上がりの耐水性や発色を優先するならアクリル絵の具を選択するのがいいのではないでしょうか。
アクリル絵の具を使うときは、くれぐれも見守ってあげてください。
(以上です)