画材・道具

■イーゼルの選び方、使い方。裏技も

2021年11月9日

イーゼル、画架

イーゼルとは、絵を描くときにキャンバスや画板などを立てて乗せられる自立式の構造体。
画架(がか)ともいわれます。

屋外用は折りたたみ式(伸縮式)の三脚が多くあります。
屋内用は高額でどっしりとしたものもあれば、折りたたみ式のものもあります。
素材は木製、金属製などがあります。

種類もたくさんあるので選び方や使い方などを解説します。

 

この記事で説明する項目の一覧です。

1.イーゼルを使う意味
①視線に対して直角に面を固定するため
②屋外で描くときに固定するため
2.イーゼルの選び方
1)屋内用
2)屋外用
3)予算、値段
3.注意点
4.イーゼルの使い方
①水平方向の位置決め
②垂直方向の位置決め

 

それでは個別に解説していきます。

1.イーゼルを使う意味

①視線に対して直角に面を固定するため
この記事で一番大切なことなので、真っ先に書きます。

小さな画面(紙やキャンバスなど)なら机の上に置いて描いても構いませんが、画面大きくなると手前と奥では目からの距離と角度が違うので、形が歪んでしまいます。

例えば、大きな紙を机に置いて、スイカをデッサンしているとします。
紙の中心付近まで乗り出して、覆いかぶさるようにして描くのは難しいので、手前側で頭をほぼ垂直にして描くことになります。
すると手前付近は画面に対してやや直角に近い角度で見るのに対して、奥側は鋭角的な角度で見ることになります。
手前と奥では目から画面までの距離が異なるので、自然とそうなります。
この描き方だと、ある程度描き進めた後で画面を立ててチェックしてみたら、スイカが縦長の楕円形になっていた、なんてことが起こります。

これは極端な例ですが、家でイーゼルを使わずにデッサンをして、どうしても形が歪んでしまうと悩んでいる方がいたら、自分は画才がないと悩む前に、まずは目から画面までの距離のバラツキをチェックしてみてください。

とくにコタツみたいな台に乗せて顔が画面に近い状態で描くと、距離や角度の差がもっと激しくなります。

その点、イーゼルに立てかけて描くと、画面の上端と下端との距離が均等に近いので、形を忠実に再現しやすくなります。
大きな画面(紙やキャンバス)に描くときは立てかけて描くのが基本、と覚えておきましょう。

 

②屋外で描くときに固定するため

イーゼル、屋外用

小学生は屋外スケッチのとき、板に紐を付けたものを首から下げて、お腹の辺りで固定させて描くというのをやっていました。
大人になってコレをやる勇気のある人はなかなかいないと思うので、イーゼルがあると便利です ^^;

画面より大きな板(画板)を持っていって、座った太ももの上に置くという方法もありますが安定しませんし、もし落として汚してしまったら台無しになってしまいます。

 

2.イーゼルの選び方

主に使う場所と予算で決まってきます。

1)屋内用

イーゼル、画架、屋内用

広いアトリエがある方は稀でしょうから、折りたたみ式が便利です。
大きな画面を乗せる可能性の高い方は安定感重視でガッシリしたものを選んだほうがいいでしょう。

屋内は、卓上用と床置き用があります。
卓上用は折りたたみ式で屋外でも使えるようなタイプもあります。

 

2)屋外用

イーゼル、屋外用、アルミ製

イーゼル、携帯イス

※3,000円ちょっとでしたが、わりとしっかりしているので重宝しています。

 

金属製で足が伸縮できるタイプのものがオススメです。
軽くてコンパクトになります。
カメラの三脚みたいなタイプといえば分かりやすいでしょうか。

屋外用のイーゼルは画面を上から押さえつける器具が付いているものを選んだほうがいいでしょう。
画面を上下から挟んでいるので少しくらいの風なら耐えてくれるので安心です。

 

3)予算、値段
安いものは2,000円台から、高いものは1万円を超えるものまで様々です。
屋外用の金属製で足が伸縮できるタイプのものは、3,000~4,000円で買えるものが多いようです。

無理に高いものを買う必要はありませんが、あまりに安いと強度不足でグニャグニャしてしまうものもあります。
屋内用に関しては予算が許すのであればある程度は高めのものを買ったほうが、安物買いの銭失いにならないでしょう。

安定感重視であれば7,000~10,000円はできれば確保したいところです。
10,000~15,000円くらい出せば、メーカー品のしっかりしたものが買えます。

※値段に関してはあくまで参考程度に留めてください。
お店や通販によって、まちまちですし、通販の場合は送料が必要ということも考えられるので。

 

3.注意点

1)お店の展示用と間違えないように
安いものの中には、お店の店頭で黒板などを展示するための業務用イーゼルがあります。
間違ってこれを買わないようにしましょう。

 

2)高さ調整できるものを選ぶ
卓上用は調整できないと思いますが、それ以外の用途なら高さ調整は必須です。
画面の大きさによって、高さを上下する必要があるからです。

屋外スケッチは携帯イスに座って描くこともあれば、立って描くこともあります。
両方に対応できるものが便利です。

 

3)多めの水で溶いた絵の具が垂れる心配
水彩絵の具みたいな「にじみ」「ぼかし」の技法を使う場合は、画面を水平に寝かせることができるタイプのイーゼルを買う必要があります。
垂れてきたら、せっかくの力作が台無しですからね。

 

4.イーゼルの使い方

①水平方向の位置決め
人物や石膏デッサンのとき、利き手が右なら、体の中心よりほんの少し右肩寄りに置きます。
そして画面(紙やキャンバス)の左端から、なるべく離れない角度でモチーフ(対象物)を観察するようにします。

目を動かすだけで、モチーフと画面を交互に見えるような角度のほうが、何度もチェックできますし、形の歪みも少なくなります。

 

②垂直方向の位置決め
冒頭で述べたとおり、画面の上下の端から目までの距離が均等になるように高さを調整しましょう。
理屈的には画面の中央に視線が直角に当たるようにすれば、画面の上下の端から目までの距離は同じになります。

しかし、これだと大きな画面の場合、上半分は見上げないと描けないので、目も肩も疲れてしまいます。
人間の目は見上げるより下方のほうが見やすいので、やや下方に置いたほうが自然に描けます。
あとはお好みで調整してください。

 

補足(裏技)

もしカメラの三脚があれば代用できるかもしれません。
しっかりした大きめのクリップで脚を挟むことができれば、それが画板やスケッチブックの受けになります。
上部の固定は紐の先に付けたクリップなどで挟みます。

カメラの三脚はアルミ製が多いので、うまく代用できるようだったら野外スケッチのときに軽さで重宝するかもです。

 

               (以上です)

 

-画材・道具

© 2024 アクリル絵の具で自由画人