ジェルメディウムは盛り上げメディウムとも呼ばれ、アクリル絵の具の粘度を薄めずに、透明感とツヤ、そしてボリューム(盛り上がり)感を付加する添加剤です。
ゼリーのような質感と粘度があります。
塗った直後は白く、乾いたら透明になります。
この透明の膜が保護してくれるので耐久性も増します。
この記事で説明するジェルメディウムの役割や特徴などの一覧です。
1.インバスト(厚塗り)の補助 |
それでは個別に解説していきます。
1.インバスト(厚塗り)の補助
アクリル絵の具だけでも厚塗りできますが、限界はありますし、単体でやりすぎるとヒビ割れの可能性が出てきます。
その点、ジェルメディウムを混ぜると、劣化もヒビ割れもしにくくなります。
ただし、寒い所(気温10度以下)で作業すると、細かいシワができる場合があるので、冬などの寒い屋外で使う場合は使用を控えるなどの注意が必要です。
2.色の透明性を高める働き
ジェルメディウムを混ぜる割合を増やせば増やすほどアクリル絵の具が透明になっていくので、重ね塗りのときに下の色を活かすことができます。
水の代わりに混ぜて使うことで、伸びがよくなり、透明感も増します。
また水をかなり多くして薄めるとアクリルエマルジョン(アクリル樹脂)が壊れて、濁ったような色になることがあります。
ジェルメディウムで薄めると、そういったことが起きにくくなります。
3.グレーズ(薄い重ね塗り)の補助
グレーズとは多めの水で溶いた色を重ねることですが、水の代わりにジェルメディウムを使うと、ツヤを増すことができます。
例えば、青の下地の上に薄い黄色の層を何枚も重ねると、緑がかり、ついには緑から黄緑色へとなります。
これは最初から混色したのでは出せないようなツヤと深みのある色になります。
4.速乾性を抑える(遅乾剤の役割)
アクリル絵の具はすぐ乾いてしまいますが、ジェルメディウムを混ぜることで、多少は乾きを遅くできます。
なので画面上で色を混ぜたり、グラデーションにしたりするときに便利です。
きちんと遅くしたいときはリターディングメディウムという専用の遅乾剤も売られています。
5.糊の役割
強力な接着力とツヤを持っているので、コラージュ(貼り付け)作品にも使えます。
アクリル絵の具はもちろん、砂みたいな粒状のもの、パステルや色鉛筆の粉、ちぎった紙、ほぐした布や繊維など、要は貼り付けられそうなものは何でも混ぜて塗り込めるので、他の絵の具ではできなかった新しい世界が広がります。
カラフルなビーズを混ぜこんで塗りたくれば、ポップで斬新なアートになるかもです。
さらにお金に余裕のある人は金箔に挑戦してみてはいかがでしょうか。
ホビー用の模造金箔なら数百円からあるみたいです。
6.乾くと少し落ち着いた色になる
乾燥後はやや落ち着いた色になるので、色を塗るときはそのことを計算して、少し明るめのものを用意するのがオススメ。
7.ジェルメディウムの使い方
① 混ぜる割合
色素が入ってないアクリル絵の具みたいなものなので、混ぜ過ぎてはいけないという決まりはありません。
ただし混ぜ過ぎは乾燥が遅くなります。
使う量は、まずは半々(1対1)の割合でアクリル絵の具とジェルメディウムを混ぜてみるのがオススメ。
その後、お好みで増減してください。
②混ぜる道具
筆よりペインティングナイフのほうがオススメ。
しっかり均一になるまで混ぜる必要があるし、筆だと毛の根本に溜まって痛めてしまう可能性があるからです。
安い筆か、使い古した筆を使うのもいいでしょう。
③塗り方
普通に塗ってもいいし、インバスト(厚塗り)もできます。
さらに、ジェルメディウムだけを画面に先に塗って、波が連続して押し寄せているような凸凹の質感にしておいて、その上から普通にアクリル絵の具で塗るという使い方もできます。
まとめ
この記事で説明したジェルメディウムの役割や特徴などを再度載せます。
1.インバスト(厚塗り)の補助
2.色の透明性を高める働き
3.グレーズ(薄い重ね塗り)の補助
4.速乾性を抑える(遅乾剤の役割)
5.糊の役割
6.乾くと少し落ち着いた色になる
7.ジェルメディウムの使い方
ジェルメディウムは厚塗りと糊の役割で使う人が多いように思います。
あと、砂とかビーズとか好きなものを何でも混ぜて自分だけの質感を作って、塗りたくって遊ぶこともできます。
コラージュのときはあると便利です。
他の絵の具では到底できないような表現がジェルメディウムで広がるので、お試しでやってみてはいかがでしょうか。
補足1
ジェルメディウムは習うより慣れろです。
リキテックスの50ml入りはお店にもよりますが約400~500円前後で入手できます。
混ぜて塗って、まずは遊んでみてください。
補足2
今回はジェルメディウムについて解説しましたが、メディウムと名の付く添加剤はたくさんあるので、別記事で一覧にして整理してみました。
よかったらご覧になってください。
→ 「メディウムとは 使い方、アクリル絵の具と混ぜる割合など」
(以上です)