絵のアイデアやテーマ探しに煮詰まったときに便利なのがコレ。
まったく何も無いところから発想するのは優秀なアイデアマン、企画者でも難しいんです。
今あるものを基点にして発想を展開するための指針となる手法です。
この記事で説明する項目の一覧です。
1.オズボーンのチェックリストとは |
それでは個別に解説していきます。
1.オズボーンのチェックリストとは
ブレーンストーミングを発案したアレックス・F・オズボーンが作ったアイデア発想法です。
今あるもの、改善したいもの、興味を持ったもの、思いついたけどモヤモヤして頼りないアイデアなどがあれば、それを膨らませ、発展し、展開しようという手法です。
2.オズボーンのチェックリスト一覧(概要)
オズボーンのチェックリストは以下になります。
1.転用(other uses): 他の用途はないか?
2.応用(adapt): 他からアイデアを借りられないか?
3.変更(modify): 変えてみたら、どうか?
4.拡大(magnify): 大きくしたらどうか?
5.縮小(minify) :小さくしたらどうか?
6.代用(substitute): 他にものに代用できないか?
7.置換(rearrange): 入れ替えてみたらどうか?
8.逆転(reverse): 逆さにしてみたらどうか?
9.結合(combine): 組み合わたらどうか?
※オズボーンのチェックリストのいいところは疑問形で投げかけてきますので、それに答えようとすることで新しいアイデアに辿り着けるというものです。
3.オズボーンのチェックリストの補足
理解を深めるために質問形式で補足します。
①転用(other uses): 他の用途はないか?
→今のままで(何も変更せず)新しい使いみちはないか?
※転用の例:動力エンジン→発電機
②応用(adapt): 他からアイデアを借りられないか?
→似たものはないか? 取り入れる点はないか?
※応用の例:鮫肌→競泳水着
③変更(modify): 変えてみたら、どうか?
→色、音、匂い、意味、動き、形を変えたらどうなるか?
※変更の例:自転車→エアロバイク
④拡大(magnify): 大きくしたらどうか?
→大きくする、長くする、高くする、頻度を増やす、時間を増やすとどうなるか?
※拡大の例:
小分け小売り →業務用スーパー
都度払い →サブスクリプション(定額制:通話、動画配信、WEB漫画・雑誌、ゲーム、年間パスポートなど)
⑤縮小(minify) :小さくしたらどうか?
→小さくする、短くする、低くする、頻度を減らす、時間を減らすとどうなるか?
※縮小の例:
ブログ →ミニブログ=Twitter
冷蔵庫 →冷凍庫、ワインセラー
フルサービス散髪 →洗髪なし散髪
子供用自転車 →ストラーダ(ペダルなし)
⑥代用(substitute): 他にものに代用できないか?
→代わりになる人や物はないか? 材料、場所、表情、雰囲気など、別のものに代えられないか?
※代用の例:
牛肉 →大豆による代用肉
牛乳ヨーグルト →豆乳ヨーグルト
こんにゃくラーメン(ダイエッ用)
⑦置換(rearrange): 入れ替えてみたらどうか?
→入れ替えたら、順番を変えたらどうなるか? 要素、部品、パターン、配列、レイアウトなどを組み換えたらどうか?
※置換の例:
電子タバコ
ガラスボトルワイン →ペットボトルワイン(安価)
フリーアドレスオフィス(引き出しを移動させて好きな場所に座る)
⑧逆転(reverse): 逆さにしてみたらどうか?
→上下逆にしたら、左右逆にしたら、前後を逆にしたらどうか? 役割を逆にしたら、逆から見たら、逆方向へ進めたら、マイナスイメージをプラスにしたらどうか?
※逆転の例:
消せるボールペン
リバースオークション(購入者が先に指値を提示)
⑨結合(combine): 組み合わせたらどうか?
→合体したら、混ぜたら、セットにしたらどうか? 目的や意図を結合できないか?
※結合の例:
鉛筆+消しゴム
携帯電話+カメラ
電子レンジ+オーブン+トースター →オーブンレンジ
携帯用音楽プレーヤー+電話機能 →スマホ
4.オズボーンのチェックリストの使い方
絵のアイデアやテーマ、モチーフに困ったら、まったくのゼロから探すのではなく、上記の質問に答えてみてはどうでしょうか。
好きな絵があれば、そのモチーフ(題材)を別物に入れ替えたり、構図を変更したり、モチーフが大きくなるようにトリミングしたり、新たなモチーフを追加したり、逆方向からの視点にしたり……と複数の変更を加えれば、誰も模倣とは言わないし、気づきもしないでしょう。
例えば、葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」を元に、波を木々や葉っぱにして、富士山を遠くに見える東京スカイツリーやお城などに入れ替えるのが考えられます。
ココまで有名な構図だとすぐに分かってしまうかもしれませんが、古典絵画から拝借してくれば、そうそう分からないし、分かったところで模倣だと騒ぐ人もいません。
映画界の例では「スターウォーズ エピソード4/新たなる希望」は黒澤明監督の「隠し砦の三悪人」にインスパイアされているのは有名な話です。
映画トランスフォーマーも元は日本の玩具メーカーであるタカラトミーのアイデアなんですよね。
アイデアはまったく何もないところから発想されるものではなく、既存のものの修正や組み合わせなどがから生まれるものと理解してしまえば、少しは気が楽になるはずです。
まとめ
今あるもの、好きなものを
転用、応用、変更、拡大、縮小、代用、置換、逆転、結合したりして、絵の設定などを借りながら違うものにしてしまうのがオズボーンのチェックリストのいいところです。
換骨奪胎(かんこつだったい)という言葉が昔からあります。
他人の詩文の構想を利用し、その着想・形式を真似ながら、独自の価値あるものを創ることです。
これは絵でも可能ですが、くれぐれも表面だけを修正したり入れ替えるのではなく、元の絵の作者の構想や思想を深く理解して、そこをリスペクトしながら新しいものを創りたいものです。
(以上です)