構図

■三角構図 決して外せない構図の基本2

2021年9月11日

三角構図、静物画、ラトゥール
アンリ・ファンタン・ラトゥール
「Asters and Fruit on a Table」

 

三角構図とはモチーフが三角形になるように配置して、まとまりと安定感、奥行きなどを得られるようにした構図です。
モチーフは単体だけの場合と、複数で三角形を作る場合があります。
三角形を傾けたり、逆三角形にしたりすれば、画面に動きや緊張感が出てきます。
アクリル画などの絵画は写真と違って、勝手に線やモチーフを加えてもいいので、構図が物足りなくて、もう一つ何かが欲しいというときは三角構図を参考に加えてみてはいかがでしょうか。

 

この記事で説明する項目の一覧です。

1.三角構図の種類
①三角形
②逆三角形
③複数の三角形
④対角線を利用した三角形

2.三角構図の例

 

それでは個別に解説していきます。

1.三角構図の種類

三角構図にはいろんなバリエーションがあり、アイデア次第でさらにいろんなパターンが考えられます。ここでは単純化した基本的なパターンを紹介します。

①三角形
モチーフが末広がりになる形です。底辺の広い三角形はどっしりとした安定感を感じさせ、頂点の尖った三角形は先端へ向けて伸びていく奥行きを感じさせます。

②逆三角形
上部が広くなっているので不安定さがある一方、動きも出てきます。上に抜ける開放感という表現もできれば、手前に迫る圧迫感や緊張感も表現できます。

③複数の三角形
例えば岩や山、海岸など自然の中で見つかる三角形の大小や繰り返しは、動きやリズムを感じさせます。大きな三角形を見つけたら、その中に小さな三角形が潜んでいないか探してみましょう。

④対角線を利用した三角形
対角線構図と三角構図の複合形ともいえます。
紙やキャンバスの長辺と短辺と対角線だけでも既に三角形になっていますが、モチーフの主要なポイントや頂点を対角線上のどこかに置くと、安定感と動きに加えて、シンプルだけど力強い訴求力も出てきます。

 

2.三角構図の例

1)同類のモチーフが3個
リンゴ3個、人の顔が3つなど、それらを横に並べるのではなく、三角形になるように配置すると、画面に安定感が生まれます。

三角構図、C字構図、ルノワール

ルノワール 「母と子」
※道がC型構図になっているのもあり、手前の右下へ迫ってくる動きも表されています。

 

2)同類のものを手前から奥へと並べる
例えば車3台、人を3人など、縦に並べるのえではなく、少しずらして三角形になるようにすると、リズムと動き、空間の広がりが生まれます。

 

3)上部に消失点、下部に左右の広がり
・東京タワーなどを下から見上げたとき。手前は幅広ですが、上に行くほど狭くなっており、迫力と勢いを感じさせます。

・線路や道路、川などが奥の一点に収束しているとき

視線は画面上部の消失点に誘導されるので、奥行きと動きのある構図になります。

 

4)モチーフが三角形
①モチーフが単体で三角形
ピラミッドや富士山はそれ自体が三角形なので、そのまま中央にデンと置くと単純な日の丸構図になりかねない場合があります。
そういうときは、手前に三角形の底辺を構成するようなものがあれば、さらによくなります。
底辺の辺りに川や海と砂浜などを配置することが考えられます。
遠景と近景を組み合わせることで奥行きも生まれ、構図に変化や動きが生まれます。

②人を大きく配置するとき
頭を頂点として肩や腕などから三角形を作ることもあれば、末広がりのスカートなどで全身を三角形に見立てることもあります。

③複数の人数や物が三角形になっている
画面全体で三角形を形づくるので、迫力や安定感が生まれます。

三角構図、ドラクロワ、自由の女神
ドラクロワ「民衆を導く自由の女神」

 

5)逆三角形
例えば、ビル街の空は手前が広く、奥は水平線近くの消失点に収束していくので、空が逆三角形になります。
逆三角形はわざと安定感を壊すことにより、動きがでます。
また不安や不穏、または何らかの心理状態を表現するときにも使えます。

 

               (以上です)

 

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