画材・道具

はかり棒の使い方、オススメの代用品

はかり棒

はかり棒とは、モチーフの長さや比率、垂直水平を計るための棒です。
細長い四角柱に目盛りがついていて50cm前後の長さがあります。
手頃な棒があれば代用できなくはないです。

デスケルという四角い枠のものでも測量はできますが、はかり棒のほうが便利な測り方、使い方もありますので、ご紹介します。

 

この記事で説明する項目の一覧です。

1.はかり棒を使うときの注意事項

2.はかり棒の使い方
①縦横比率を測る
②縦どうしの割合を測る
③鉛直線(鉛直線)を確認する
④角度を確認する

3.はかり棒の代用品

 

それでは個別に解説していきます。

1.はかり棒を使うときの注意事項

1)目からの距離を一定にする
計測する箇所によって目からの距離がまちまちだと正確には測れません。一番いいのは腕をピンと伸ばすことです。
慣れないうちは何度も計測することがあり、その度に違う測量結果が出ると混乱していしまいますので、目からの距離は一定にしましょう。

 

2)利き目で見る
両目で測量すると利き目とそうでない目の誤差が生まれます。
試しにペンを持って、近くの柱などの垂直線に両目で合わせてください。合った後で片目を交互に閉じると、大きく動くのが分かります。
動かないほうが利き目です。
はかり棒で計測するときは利き目を使うようにしましょう。
そのほうが正確ですし、疲れにくくなります。

 

3)モチーフに対して垂直にする
例えば、低いイスに座って石膏像を見上げながらデッサンをするとします。
このとき、はかり棒は地面に対して垂直にするのではなく、目と石膏像を結ぶ線に対して垂直になるように持ちます。
そうしないと上にいくほど遠近法で短く計測されてしまうからです。

極端な例ですが、1mくらいの定規をぐっと前方に倒すようにして見てみると、手前の1cm間隔と先端の1cm間隔とでは、明らかに遠いほうが狭いはずです。
遠近法の原理です。
これと同じようなことが、はかり棒でも起きます。

目と石膏像を結ぶ線に対して直角になるように持つ。
これも大事です。

 

4)姿勢を一定にする
背を伸ばして測ったり、猫背や前屈みになって測ったりしたのでは、目とモチーフの距離も角度も変わってくるので、正確に測れなくなります。
とくにイーゼルの下のほうの横棒に足を乗っけると、自然と猫背になります。
猫背なら猫背と決めて一定にすれば間違いないのですが、ブレるようなら計測は背筋を伸ばしてすると決めてしまいましょう。

 

2.はかり棒の使い方

①縦横比率を測る
石膏像の場合、四角柱の台などが付いている場合があります。
もともとの彫刻を型どったメインの部分と、それを支える台があります。この台が長い石膏像もよくあります。

石膏デッサンの場合、一番下はどこまで描くのか最初に決める必要があります。メインの胸像部分が終わった直下にするのか、台と床が接している所まで全部描くのか。
好きに決めていいんですが、一度決めたら、動かさないことです。
そうしないと全体の縦の長さが変わってきてしまいます。

さて全体の縦の長さが決まったら、次は縦横比率の計測です。
縦長の胸像であれば肩の辺りに一番幅があるでしょうから、縦の長さの何割が横幅なのか、はかり棒を垂直水平にして測ります。
念の為、横幅の何個分(何倍)、縦の長さがあるのかも測ると誤差が小さくなります。

 

②縦どうしの割合を測る
胸像の石膏像の場合、全体の縦の長さを測り、次に頭の縦の長さが全体の何割なのか測ります。
逆に「頭頂部から顎までの長さ」の何倍が「全体の長さ」なのかも測ると、より正確になります。
頭の何個分が全体かという測り方ですね。

画面(紙やキャンバス)内の一番上と一番下に印を付けたら、その長さを100として、上から何割の所に顎が来るのか印を付けます。
そうしたら①で書いた縦横比を頭だけで測ります。
全体の縦横比と、頭だけの縦横比を測るということです。

顔はさらに計測します。
頭頂部~鼻、鼻~顎、目尻~顎などなるべく多くの箇所で比較すると誤差が小さくなります。

また、頭1個分が顎から下のどこに来るのかも印を付けます。
①で石膏像の一番下はどこまで描くのか決めるという話をしましたが、これを逆説的に考えることができます。
顎から下は頭1個分まで描くと決めてしまうのです。そうすると画面の一番上と一番下を決めたら、上から2分の1のところに顎が来るはずです。他には頭3個分まで描くと決めたら、上から3分の1のところに顎が来るはずです。

 

③鉛直線(垂直線)を確認する
はかり棒の一番上を軽く持って、ぶら~んとさせます。
そうすると鉛直になります。
鉛直(えんちょく)というのは糸に鉛をぶら下げたときにできる方向のことです。

石膏像の頭の左端に、ゆるく持ったはかり棒を合わせます。
それにより胸のどの辺りが側頭部の端と一致するのか分かります。
頭の両端をチェックしたら、次は目尻、鼻先、顎とそれぞれの胸や洋服の位置とをチェックします。

 

④角度を確認する
側頭部と肩を結ぶ線に、はかり棒を合わせます。
はかり棒から石膏像のどの部分もはみ出さないように一番外側に合わせます。
そして角度を固定したら、腕、肩を固定したまま、そお~っと画面上に持ってきます。
そして線を引いて角度を記入します。
描いている途中もときどき角度チェックを入れると、より正確になります。

 

3.はかり棒の代用品

1)スポーク
もっとも有名な代用品は自転車のスポークです。
車輪に付いているまっすぐな針金です。
長さもあるので上記③と④には便利ですが、いかんせん目盛りがありません。
自分の自転車から1本だけ抜いてこれる人はいいですが、取り方が分からない人は簡単そうで難しいかもしれません。

別に細長い棒なら何でもいいので、まずは使って慣れるというのも一手です。

 

2)定規
全体の何割か、何倍かというのを測定するのに便利です。
また定規によっては中央をゼロとして左右に数字が増えていく目盛りも付いているタイプもあります。
これはモチーフの中心がどこにあるのかを探すのに便利です。
縦の中心線、横の中心線を簡単に見つけられます。
それぞれの中心線の交わる「中心点」がモチーフのどこにあるのかが分かったら、画面に印を付けます。
そこを基準点として最初から最後までブレないようにすれば、より正確に形を捉えられます。

 

まとめ

もう一度、この記事で説明したする項目を載せます。

1.はかり棒を使うときの注意事項
2.はかり棒の使い方
①縦横比率を測る
②縦どうしの割合を測る
③鉛直線(鉛直線)を確認する
④角度を確認する
3.はかり棒の代用品

片目をつぶって腕を伸ばし、モチーフとの間に垂直になるように、はかり棒を立てて持つのが基本です。
縦横比率のほか、縦どうしや横どうしを測って全体の何%なのかを測ると形の歪みが少なくなります。

最初は面倒かもしれませんが、慣れると最小限の計測だけで形を捉えられるようになるので、まずは計測方法を習得しましょう。
計測が安定してくると安心して詳細な描き込みができるので、作業効率もよくなりますよ。

 

               (以上です)

 

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