風景画を描くとき、ぜひとも押さえておきたい基本中の基本の構図です。
そもそも構図って何?という方や、日の丸構図から卒業したいけど変え方が分からないという方のお役に立てるように解説します。
この記事で説明する項目の一覧です。
1.そもそも構図って何? 意味と役割 |
※解説する前に一言。
管理人は「風景画は構図が8割」と考えています。
構図がマズイと圧倒的な描写力をもってしても挽回は難しいと思います。
でも構図が面白かったら、技術や画力がイマイチでも、味があるとかヘタウマという状態になるので人から愛される絵になります。
それでは個別に解説していきます。
1.構図って何? 意味と役割
構図とはモチーフや色などの配置、画面の構成のことです。
テーマを伝えやすくしたり、興味関心を惹きつけて飽きさせないようにする役割があります。
そのため、いい構図は全体的なバランスがよく、描いた人の感動や描こうと思った動機、テーマなどが伝わり、鑑賞者が見飽きない、惹きつけられる、共感するといったメリットを得られます。
構図の基本を知らない初心者の方は、気に入ったモチーフが見つかったら、それを中央にドンと大きく描くことが多くなりがちです。
いわゆる日の丸構図というやつです。
腕を磨いて画力を上げて、写真みたいな描写力を身につけたとしても、日の丸構図だと鑑賞者はすぐに見飽きます。
絵の中にストーリー性もないし、寓意性も隠れた意図も見つからないと感じてしまうんです。
2.三分割構図とは 基本と種類
1)使い方は3種類あります。
横線に合わせる、縦線に合わせる、交点に合わせるの3種類です。
それぞれ説明します。
※ちなみに、最近のスマホのカメラには画面を9分割するガイド線を表示する機能が搭載されています。
撮影するときにガイド線を表示させておくと、後で絵にするとき便利ですよ。
①横線に合わせる
一番多いのは水平線を上下どちらかの線に合わせる使い方です。
ちなみに観察者(絵を描く人)の目線の高さが水平線になります。
上の横線と水平線を合わせたら、地面が3分の2を占めることになります。
下の横線と水平線を合わせたら、空が3分の2を占めます。
地面と空、どちらに広い面積を割り当てるかは描く人の自由です。
美しいとか面白いと思ったモチーフのあるほうを広く確保します。
初心者の方は画面の中央に水平線を持ってきがちなので、平凡でどっちつかずになりがちです。
最初は勇気がいるかもしれませんが、思い切ってどちらかに動かしてみましょう。
すぐに慣れますよ。
②縦線に合わせる
主役となるモチーフを左右どちらかの縦線に合わせる使い方です。
きっちり合わせずに少しくらい中央寄りになっても構いません。
初心者の方は中央から外す勇気を持ってください。
③交点に合わせる
葛飾北斎「神奈川沖浪裏(かながわおきなみうら)」
縦線と横線の交点が4つあるので、そのどれかに主役であるモチーフを合わせます。多少ズレても構いません。
2)三分割構図のメリット
中央を外しているので、視線を奥へ誘導しやすくなり、空間の広がりと奥行きを表現しやすくなります。
初心者の方は空いた空間を持て余すような感じがして、何かで埋めなきゃと思ってしまうかもしれません。
でも、そのうち余白が余韻となる構成ができるようになるので、勇気をもってど真ん中を外して配置してください。
3.三分割構図 使い方のコツ
①空いたスペースの有効活用
例えばキレイな桜がポツンと一本だけあったとします。
真ん中に置くのではなく、左の縦線に合わせたとします。
このとき、右側が3分の2を占めますので、大きめの余白になります。この空いたスペースをどう使うかがポイントになります。
鑑賞者はパッと見て「あ~、桜がキレイだったのね」と分かります。
次に空いたスペースに目が行きます。
このとき奥のほう、遠くのほうに小さく何かがあったとしたら、そっちに引き込まれると思いませんか?
別に遠くなくてもいいですけど、桜を中景としたら、近景か遠景かどちらかにして桜とは違う距離にしたほうが面白くなります。
②真の主役をカモフラージュ
上記①と逆の考え方です。
真の主役をカモフラージュするために大きくて分かりやすい脇役を左右どちらからの縦線に合わせる方法です。
鑑賞者は大きくて分かりやすい脇役にまず目が行きます。
次に真の主役を見つけて「あ~、そういうことかぁ~」と気づいて、上手くハマると「やられた~」となります。
すごく描きたいテーマがあるんだけど、このままでは日の丸構図になってしまうというときに使えます。
ちょっと引き気味(ズームアウト)で真の主役を中央に小さく描いて、その手前に大きな脇役を左右どちらかの縦線の上に描くと日の丸構図をカモフラージュすると共にストーリー性も出てきます。
③視線の誘導効果
例えば人が立っている姿と縦線を合わせたとき、頭を交点に合わせると、鑑賞者はモデルさんの頭部に視線が引き込まれます。
もっとアップで使う場合、目の位置と交点を合わせたら、鑑賞者はモデルさんの目に釘付けになります。
使う交点は1つだけでも機能しますが、2つ使う方法もあります。
右上の交点に主役を合わせたら、左下の交点に脇役を合わせるとナナメの線が生まれて、画面全体に動きが出てきます。
4.まとめ
①そもそも構図って何? 意味と役割
構図とはモチーフや色などの配置、画面の構成のこと。
テーマを伝えやすくしたり、興味を惹きつけて飽きさせないようにする役割があります。
②三分割構図とは 基本と種類
使い方は、横線に合わせる、縦線に合わせる、交点に合わせるの3種類です。
水平線を合わせたり、モチーフを左右どちらかに配置することでテーマ性などを伝えやすくなります。
③三分割構図 使い方のコツ
主役と脇役の配置や、とくに重要なポイントを交点に置くことでテーマ性を伝えやすくなります。
ど真ん中に小さく真の主役を描いて、そのカモフラージュのために左右どちらかの縦線に大きな脇役を置くなどの使い方もあります。
補足
三分割構図は無限の使い方があります。
ココに挙げたのは一部なので、あまりとらわれずに崩してもらっていいと思います。
アイデア次第でいくらでも使い方が広がりますので、自由にやっちゃってください。
(今回は以上です)