絵のお悩み解決

■絵の超初心者むけ練習法、上達法(後編)

2021年11月14日

絵の練習法、上達法

この記事では、
「理屈で何とかなる部分を先にやっつけてしまおう。
理屈を知らずして、自分には画才がないと言うなかれ。
理屈は誰でも習得できる!」
をテーマに書いています。

その後編です。
絵の超初心者むけ練習法、上達法(前編)はコチラ

 

前編も含めたこの記事で説明する項目の一覧です。

1.画才や才能の構成要素
2.絵の構成要素
3.人物画の理屈……(ココまでは前編で解説)

4.色使い、配色の理屈
5.立体感の理屈

 

それでは4番以降の解説です。

4.色使い、配色の理屈

色相環,補色

① 色相環と、補色
色相環は色をぐるりと円状に並べたもの。反対側・対面にある色どうしを補色といいます。

例えば黄色の反対側は紫になります。青ならオレンジ色、赤なら緑が反対側になります。
補色となる色の組み合わせは反発しあうので、隣に置くと目がチカチカするときがあります。

その一方、色相環の近い色どうしは親和性が高く、なじみやすくなっています。

 

②近い色相、トーン(色調)
画面を似たような色のグループでまとめることです。
類似色という考え方があります。

他には暖色系とか寒色系とか、あと色調のビビット(派手)、パステル調などがあります。
色が似たものどうしだと、しっくりきて調和します。

色相というのは単純に色といって構いません。代表的なのは色相環にある色です。それに白や黒を足して混色でできるのも色相の一種です。

類似色というのは色相環においてある色の両隣を含めた3色のことです。
似たような色ということですね。

暖色系というのは色相環の赤や黄色に近い色、寒色系というのは青の辺りの色です。
そのどちらにも属さない緑や紫は中間色系といわれます。

 

トーン,色調

トーン(色調)とは彩度と明度の組み合わせによってできる色のグループのことです。
同じグループ内の色を使う絵は統一感が出ます。

例えばパステルカラーに近いペールとかライトみたいなグループの色だけで構成すると穏やかで優しい感じの絵になります。

 

5.立体感の理屈

5-1.主役となる人や物
側面を意識しましょう。
真正面から見た状態だと奥行きが感じられず、立体感を出すのが難しくなります。
少し斜めを向かせて、側面を描けば、おのずと立体的になります。

 

5-2.背景
1)まず線遠近法を理解しましょう。

線遠近法

道路や線路などの並行する直線の延長線は水平線上にある一点に収束します。
道路脇に建つビルの窓の上辺と下辺の延長線もその一点に向かって収束します。

イメージが湧かなかったら、長い廊下の奥(または見晴らしのいい駅のプラットフォームの奥)を見てください。
あらゆる直線が奥の一点からこちらに向かって放射状に広がっているように見えるはずです。

遠くのものほど小さくなるというのはとっくに知っていると思いますが、どのくらいのペース(比率)で小さくなっていくのかというのは線遠近法を理解したら、一発で描けるようになります。

 

2)次に透視図法(パース)を理解しましょう。
①パースとは
パースというのはパースペクティブの略で透視図法と訳されます。
一点透視図法から三点透視図法まであります。

2点透視図法
※二点透視図法の例

正面から見ると平行線なんだけど、斜めから見ると平行線の延長線は水平線上の点に収束するというのは上記の線遠近法と同じ理屈です。
集まる点が2個あるので二点透視図法と呼びます。

 

②三点透視図法


※水平線上に集まる2点に加えて、上空で集まる1点を加えて合計3点に集まるので三点透視図法と呼びます。

三点透視図法には見上げた視点(アオリ)と見下ろした視点(俯瞰:ふかん)があります。

例えば背の高いビルを見上げたら、左右の壁の垂直線は上空のとある一点に収束します。
隣のビルの垂直線も共通の同じ一点に収束します。

1つのビルだけではどれくらいの高さの一点に収束させればいいのか分かりにくいですが、複数のビルを使うと、不自然さを感じない高度が見つかります。

 

③人物にも当てはまるパース
次に人物です。

人物にもパース(透視図法)は当てはまります。
初心者の方が人物の全身像を描くとき歪んで見えるのはパースを理解していない可能性が高いです。
ここメッチャ大事ですよ。

目線の高さが水平線になります。
上記の骨格標本を例にすると、両ひじを結ぶ線がやや右下がりになっているので、観察者の目線の高さは両ひじより少し下にあることになります。
目線より上にあるものは右下がりになり、目線より下にあるものは右上がりになります。
両肩、両ひじ、両ひざなどを結ぶ線は水平線上の一点に収束します。

もちろん肩や肘、膝を曲げれば、その延長線は変わってきます。
大事なのは観察者の手前側より奥にあるものはパースに従って小さくなるし、位置は水平線(観察者の目線の高さ)に近づくということです。

 

次に人物の俯瞰(ふかん)とアオリの説明です。
直立する人を地面近くから見上げると、両肩や頭が小さく見えます。

逆に背の高い観察者から見下ろしたとき、頭は大きく、足は小さくなります。
どのくらい足を小さくすればいいのか分からないときは、ビルと同じように隣人を作って、隣人と同じ地下の一点に収束させる延長線を描いてみます。
自然な深さが見つかれば小さな足を描いた後で、隣人を消してしまいましょう。

またデッサン人形を参考にするのもいいでしょう。
100均で税抜300円くらいで売っていました。
なければ想像で描くしかありませんが、遠いほうを思い切って小さくするような二等辺三角形を描いて、それに当てはめる感じで描けば、バランスを掴みやすいはずです。

 

 

まとめ
絵が下手とか、画才がないとか嘆く人のほとんどは線遠近法を理解していないと思われます。
だから知るだけで一気に上達します。

人を描くのが下手と言っている人は表面の細かいパーツや陰影にとらわれて骨格を理解していないはずです。
骨格を知っていれば、ココでコレはないよねと自分で気づけます。

線も形も色も空間もすべて理屈で何とかなる部分がわりと大きいのです。
超初心者の方や、伸び悩んでいる方は、まず理屈を探るところから始めてはいかがでしょうか。

 

               (以上です)

 

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