ギュスターヴ・クールベ「波」
今回は構図の基本6つめです。
二分割構図とは二分割法ともいい、ある線を境に画面が二分割されている構図です。
画面が二分割されていればいいので、必ずしも上下対称、左右対称になっている必要はありません。
水平線の上が空、下が海という構図などが二分割構図です。
二分割構図の中で対称になっているのがシンメトリー構図になります。
それでは、詳しく見ていきましょう。
この記事で説明する項目の一覧です。
1.二分割構図(シンメトリー以外) 2.シンメトリー構図 |
それでは個別に解説していきます。
1.二分割構図(シンメトリー以外)
① 横の分割
陸と空みたいに上下でモチーフがハッキリ別れているパターンがあります。
分割線は画面の中央より少し上か下に動かしたほうがいでしょう。
より伝えたいほうの面積を大きくし、テーマを伝えやすくするためです。
例えば、陸のほうは一体となった大地でなくても構わなくて、複雑な入り江や湾内の様子が入っても、空のほうに一体感があれば地平線(水平線)によって分割された構図だと分かります。
また分割線は必ずしも一直線である必要もありません。
山々の連なるデコボコした線でも画面を区切る役割を果たします。
②縦の分割
どこまでも続く海岸線、高層ビル群と町並み、建物の前に立つ人物と奥行きのある町並み、バルコニーに立つ人物と外の景色、壁の角の向こうからこちらを伺うネコ……などが考えられます。
画面を縦長にしたほうが構図をハッキリさせられるかもしれません。
③斜めの分割
山の稜線や、丘の傾斜が空とを分ける分割線になっている場合などが考えられます。
分割線が対角線に近くなると、対角線構図になります。
例えば、水平線をわざと斜めに配置して、手前のモチーフを描けば、動きのある構図になります。
2.シンメトリー構図
①左右対称
海外の町並みで、放射線状に伸びている道路を見たことはありませんか。
その放射状の中心から外に向かって建物を見れば、たいてい左右対称になるはずです。
他には東京タワーやスカイツリー、都庁、富士山、五重塔、鳥居、噴水などを中央に配置して、左右が同等の景色になるようであればOK。
道路や橋、廊下、商店街の中央に立って奥を見れば、これも左右対称になっているはずです。
放射線構図にも見えますが、左右対称のほうで訴える力が強いはずです。
②上下対称
水面に映る景色、紅葉、ビル群、夜景などはリフレクションとも呼ばれます。
鏡面反射を利用した構図です。
ウユニ塩湖などが有名ですね。
穏やかな海や湖に映る富士山は逆さ富士と呼ばれ、その写真を一度は見たことがあるのではないでしょうか。
なかなか出会えない景色だけに、そのまま描いてしまいたくなる気持ちも分かりますが、そこはいったん冷静になりましょう。
モチーフを真ん中に置いて面白みのない日の丸構図にならないか、他に取り入れる要素はないか、もうひとひねりできないか考えてみましょう。
考えた分だけきっと素敵な絵になるはずです。
まとめ
二分割構図には上下または左右対象になっているものと、なっていないものがあります。
なっているものはシンメトリー構図ともいわれます。
面白みはありますが、すぐに見飽きる可能性もあります。
モチーフの面白さが伝わったら、それでおしまいという感じになりかねません。
描いた人の意図や演出、技術を伝えるためには、もうひとひねり必要かもですね。
その点、シンメトリー以外の二分割構図は自由なので、描く人のテーマも演出も腕の見せどころです。
縦または横の二分割は安定感があります。
斜めの二分割は動きや視線誘導がしやすくなります。
いろいろ試して、挑戦を楽しんでください。
(以上です)