構図

■奥行きを感じさせる絵の構図5選

2021年11月12日

S字構図

静物画でも風景画でも奥行きがないと空間の広がりが感じられなくて、面白みがありません。
例えば窓の少ない狭い部屋に絵を飾ろうとしたとき、奥行きのない風景画を飾ると、息が詰まる感じがするものです。

もしご自分の描く絵は奥行きがないと感じるようでしたら、構図で解決できるかもしれません。
この記事では手軽に奥行きを出せる構図を解説していきます。

 

ここで紹介する奥行きのある構図5選です

1.水平線か地平線のある構図
2.額縁構図、トンネル構図
3.放射線構図
4.ジグザグ構図
5.S字構図

 

それでは個別に解説していきます。

1.水平線か地平線のある構図

一番手っ取り早く奥行きを感じさせる構図です。
手前に主役となるモチーフ(対象物)を置いてもいいし、置かなくてもいいでしょう。
でも単に遠景だけの構図より、比較となる近景のものがあれば、さらに奥行きを感じます。

水平線であれば、なだらかに海に落ちていく山や、入道雲などがあれば水平線と分かりやすくなります。
地平線は……、モンゴルの草原みたいな本物の地平線は日本ではまず見られないでしょうけど、遠くの山々を小さく描けば、鑑賞者は地平線の代わりと認識してくれます。

海や大地の色と、空の色とを分ければ、さらに分かりやすくなります。
もっと演出するとすれば、手前の空に大きめの雲を描き、奥に行くに従い少しずつ小さくして、地平線近くでは小さな雲を線状に描けば、陸と空の両方から奥行きを表現できます。

 

2.額縁構図、トンネル構図

対角線構図、額縁構図

葛飾北斎「遠江山中」

※富士山が木材を立てかけている脚の中に収まっています

 

①額縁構図
主役であるモチーフが何らかの四角い枠に囲まれた構図です。
四角でなくても台形でも丸でも構いません。
例えば、障子を開け放った先に見える日本庭園や、鳥居の先に広がる神社の杜などがあります。

 

②トンネル構図
文字通りトンネルの先に主役となるモチーフがある構図です。
トンネルは本物である必要はなく、桜のトンネルもあるし、イチョウ並木の金色のトンネルもあります。
また草木が四隅を覆っている隙間の中央から、お城や五重の塔などのモチーフが覗いているというのもあります。

ポイントはトンネルの入り口が広く、出口が狭くなっているか、中央のモチーフが遠くにあると奥行きを感じやすくなります。

 

3.放射線構図

放射線構図,ラファエロ「アテナイの学堂」
ラファエロ「アテナイの学堂」

水平線上の一点から放射状に複数の線が伸びている構図です。
線遠近法では、線路や道路などの平行する2本の線は水平線上の一点に収束します。

放射線構図の場合は、奥の一点から天井や壁や床などあらゆる方向へ放射状に伸びています。
地下鉄のホームの中央に立って、見通しのいい奥があれば、あらゆる線がこちらに向かって伸びているのが分かるでしょう。
屋外の駅の場合は、線路やホーム、電線が放射状に伸びています。

 

4.ジグザグ構図

近景、中景、遠景がある場合、目印となるものがジグザグに配置されているものです。
もしくは、近景、中景、遠景の区切りの線が水平方向の横線ではなく、斜めに交差しているものです。
横の直線だけで近・中・遠と分かれている場合、色で変化を付かないと分かりにくいですが、斜めに線が走ると分かりやすく、さらに動きやリズム、面白みが出てきます。

このジグザグ構図は近景の中だけでも使えます。
例えば、公園の地面にいる鳩を描くとき、手前から奥へジグザグに配置し、少しずつ小さくしていけば、奥行きを表現できます。

 

5.S字構図

S字構図

川や道路などが曲がりくねりながら、奥へ向かってだんだん小さく細くなる構図です。
他には線路、高速道路、海岸線、山道、山の稜線などがあります。

横に倒したS字構図もありますが、これは奥行きを表現するのとは違う使い方になります。
S字構図は曲線がメインとなるので、放射線構図と違って、全体的に柔らかな印象を与えることができます。

 

 

補足
遠近法で奥行きを出すのであれば、線遠近法、空気遠近法、色彩遠近法などがあります。
今回は構図で奥行きを表現する方法を解説しましたが、遠近法で風景画の奥行きを出す方法に関心のある方は別記事で解説しているので、よかったらご参照ください。
↓   ↓
奥行きの出し方のコツ、風景画の色と線、遠近法

 

               (以上です)

 

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