絵のお悩み解決

■想像で絵を描く、想像を絵にする 違いとコツ

2021年10月31日


Stefan Keller from pixabay

 

想像で絵を描くのと、想像を絵にするのは似ているようで違います。
3種類のケースが考えられるので、ちょっと掘り下げてみます。

 

この記事で説明する項目、想像で絵を描くケースの一覧です。

1.調べるのが面倒なので想像で描いた
2.モチーフを動かすので想像でしか描けない
3.見本や対象がないので想像でしか描けない

 

それでは個別に解説していきます。

1.調べるのが面倒なので想像で描いた

参考となるものがあるけど調べるのが面倒なので想像で描いたというケース。
上手な人は見本を見ずにさらさらと描けると思っているかもしれませんが、一握りの記憶のいい人以外はちゃんと下調べして描いています。

昔、絵心があるか否かを知るには馬を描かせてみたらいいと言われていました。
世の中には記憶力のいい人がいて、一度見ただけで記憶してしまうので、バランスのいい馬をスラスラと描けたりします。
しかし、本気でいい絵を描こうとしたら、やはり調べたほうがいいに決まっていますし、上手い人ほど謙虚に調べます。

自分が記憶だけで描けないから画才がないと決めつけるのは止めましょう。
もう一度言います。
上手い人ほど調べています。

 

2.モチーフを動かすので想像でしか描けない

参考となるものはあるけど、見る角度を変えたり、モチーフ自体を動かしたりしたいので想像でしか描けないというケース。
これは想像だけでなく、論理的に導かれる部分はそれに頼り、それができない部分は仕方ないので想像で描きましょうということになります。

例えば、「モナ・リザ」を時計回りに90度回転させて、鑑賞者の左側を見ているようにするとしたら、どうでしょうか。
頭蓋骨や肩の辺りの骨格はある程度、論理的に導かれるので、そこから推測しましょう。
それ以外の、とくに左頬を中心とする辺りや、鼻の高さなどは原画をよく見て、想像というより推理して描くしかありません。
それすらできない部分は勘に頼るしかありませんが、そういう部分を最小化することで説得力のある絵になります。

「モナ・リザ」はちょっと高度すぎるかもしれませんが、例えばライオンを回転させて描きたいなら、複数の写真を何度も見て、さらに骨格を分析した後で着手するようにすれば、そんなに変なバランスにはならないはずです。
人間の場合はデッサン人形が売っているので、それでポーズを変えたり、回転させたりして、想像ではなく、推理して描くようにすれば、不自然な感じは減らせるはずです。

 

3.見本や対象がないので想像でしか描けない


Stefan Keller from pixabay

 

空想上のもの、または形のないものであり、見本がないので想像でしか描けないというケース。
太古の神々とか、空想上の動物や幻獣、未来都市とか別の惑星の地表などは想像でしか描けないですよね。
また感情とか言葉にならない想いなど形のないものは想像でしか描きようがありません。

しかし手がかりはあるはずです。
未来都市や別の惑星は物理法則に逆らえないはずですし、理にかなっていない建物はないはずです。

感情や言葉にならない想いを画面にぶつけるのは、それはそれでいいのですが、自分の中で納得できるか否かという部分は大切にしたいものです。
なぜこの色で、なぜこの形なのか、何をキッカケにこれを描こうと思ったのか、理由を見つめてみるとプラスアルファが見つかるかもしれません。
抽象画を描くとき「毎回パッションのおもむくままに描いてみました」としか言えないと、観るほうも描くほうも飽きる可能性がないとはいえないでしょう。

逆に、自動筆記みたいに半分眠っているような状態、もしくは何も考えていない状態で描くというのも面白いので、いつも理屈っぽい絵を描いている人はあえて挑戦してみるのもいいかもですね。
「コレ、自分が描いた絵なの?」という驚きが新たな扉を開くキッカケになれば面白いですよね。

話を戻します。例えば白黒のシマウマを七色の虹のように着色するとします。
それはそれで面白いと思いますが、シマウマの縞は単なる縦縞ではありませんので、そこをきちんと調べて着色すると、想像上の動物だけどリアリティがあるように見えます。
ちなみにシマウマの太もものシマの方向はどうなっていると思いますか?
調べることの大切さを理解した人はご自分で調べてみてください。

あと大切なのは、色の組み合わせですね。
いくら抽象画は自分の好き勝手に描いていいからといっても配色の基本は押さえておきたいところです。
色相環の補色の関係、暖色系、寒色系、トーン(色調)のまとまりなど、できる範囲のことは押さえた上での自由なら、鑑賞する人に美と快適さが伝わるはずです。

 

 

補足
まず想像で描く部分を減らす努力をしましょう。
どうしても想像に頼らざるを得ない部分は根拠や裏付けとなる資料などを参考にすれば、この世に存在しないモチーフでもリアリティのある描写に近づけます。
画家さんによっては描く前のこういった調べ物、下準備にものすごく時間をかけています。
この姿勢は私たちも見習ったほうがいいですよね。

 

               (以上です)

 

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