アクリル絵の具の基本

■顔料って何? 絵の具の顔料とは。染料との違い

2021年11月10日

顔料(がんりょう)とは、絵の具の色素(色のもと)のこと。
バインダー(展色剤)と呼ばれる接着剤の一種を添加することで絵の具になります。

バインダーが必要な理由は、顔料だけでは乾くと紙やキャンバスから剥離してしまうので、接着剤で固定させる必要があるからです。

 

この記事で説明する項目の一覧です。

1.主な絵の具の原料
2.顔料の原料は大別して2種類
3.色の素(もと)は2種類(顔料と染料)
4.昔の顔料
5.絵の具の用語(ヒュー、パーマネント)

 

それでは個別に解説していきます。

1.主な絵の具の原料

アクリル絵の具=顔料+アクリル樹脂

水彩絵の具=  顔料+アラビアゴム

油絵の具=   顔料+油(乾性油など)

アクリル絵の具のアクリル樹脂は、正確にはアクリル樹脂エマルジョンというものであり、エマルジョンとは合成樹脂の分子が水中に均等に分散している液体のことを指します。

アクリル樹脂が乳化した状態ともいえます。
とくにこだわりのない方はアクリル樹脂の一種と覚えておけば十分です。
通常は白~乳白色ですが、乾くと透明になり、強固にアクリル樹脂の分子が結びつくので耐水性になり、重ね塗りも可能になります。

 

2.顔料の原料は大別して2種類

無機顔料と有機顔料の2種類です。

無機顔料はさらに2種類に分けられ、天然無機顔料と合成無機顔料があります。
前者は天然の鉱石や土など、後者は金属の化学反応により酸化したものなどがあります。

有機顔料は植物や動物、石油を原料とする顔料です。
鮮やかで着色力があり、色数も豊富にあるなどの利点があります。

 

3.色の素(もと)は2種類(顔料と染料)

そもそも「色のもと」には顔料と染料があります。
違いは水に溶けるか否か。
溶けないのが顔料、溶けるのが染料。

鉱石や土を細かく砕いたものは水に混ぜても決して溶けることはなく、時間がたてば沈殿します。
一方、染料はインクと同じなので容易に溶け、混色の自由度が高く比較的安価ですが、耐光性が弱く、いずれは色あせてしまいます。
100均のアクリル絵の具はすべて染料系が使われていると言われています。

またポスターカラーも染料系の顔料が使われています。

 

4.昔の顔料

顔料はもともとは粉の状態の歴史が長く、鉱物(鉱石や土)などをすり鉢などで細かく砕いて使っていました。
鮮やかな色を持ち、耐光性のあるものが好んで用いられたようです。

例えば「真珠の首飾りの少女」で有名なフェルメールは、高価な青い宝石であるラピスラズリを微細な粉末にして油絵の具の顔料としていたらしく、制作から350年以上もたつのにターバンの青い色は鮮やかさを維持しています。

また土色の絵の具は本当に土が顔料として使われているので、光に当たっても色が褪せない訳です。
土といっても色のバリエーションは広く、黄、赤、茶、緑などいろんな色があります。

 

5.絵の具の用語(ヒュー、パーマネント)

①ヒュー:元からある顔料の代用品
必ずしも安価にするためだけでなく、より安全性や性能を高めるためでも代用品なら表記しなければならなくなっています。

例:カドミウムレッドヒューは有毒なカドミウムを使わずに同等の色を実現したので褒められてしかるべきですが、代用品なのでヒュー表記になっています。

 

②パーマネント:クロムフリー=恒久的な
安価な絵の具の一部にはクロムが使われていましたが、時間の経過と共に暗く変色してしまうという欠点がありました。
その後、クロムを使わずに同等の色を実現したので、色が恒久的に暗くならないという意味を込めてパーマネントを付けるようになりました。

 

 

補足

初心者の方はよっぽどのこだわりがない限り、顔料が染料系か否かはそんなに気にならないと思いますが、耐久性や耐光性は気にしておいたほうがいいので、頭の片隅にでも入れておいてください。

飾ったり保管したりするとき、直射日光の当たる場所は厳禁としても、当たらない場所でも徐々に色が褪せていくので、もし長期保管を考えているのであれば、染料系の顔料や100均の絵の具は使わないほうがいいでしょう。

染料系か否かを調べても分からないときは、メーカーのホームページやパンフレットに耐光性のレベル表記があるので、参考にするといいですよ。

 

               (以上です)

 

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