画材・道具

■練り消しゴムの使い方とコツ5選 消すだけなんてもったいない!

2021年10月16日

練り消しゴム(通称:ねりけし)は練って、こねて自分の好きな形に変えられる柔らかい消しゴムです。

普通のプラスチック消しゴムで広い面積を消すと、鉛筆の黒鉛が着いてしまって、ツルツル滑るような感覚になり、それ以上は効率よく消せなくなってしまいます。
そういうときは消しゴムのほうを指で擦って、黒い部分を落とせば少しは消す能力が戻ります。
でもやっぱり効率が悪く、広い面積を消せずにストレスを感じてしまうこともあります。

その点、練り消しは指でこねながら常に新しい面で消せるので、広い面積を消す場合でもストレスを感じることが少なくなります。

 

この記事で説明する「練り消しの使い方とコツ5選」の一覧です。

1.第2の筆として使う
2.白い色の代わりとして使う
3.尖らせて消す
4.ポンポンと叩くように消す
5.あえて滑らせる、コロコロ転がす

 

それでは個別に解説していきます。

事前準備

練り消しの使い方を説明する前に、事前準備を少し解説します。

・ 自分の好きな大きさにあらかじめ切っておく。
カッターで半分か3分の1くらいに切って使ったほうが扱いやすくなります。
買ったままの大きさを練るのは、けっこう力がいるので、手頃な大きさのほうが楽です。

・描く時点から消しやすいように
練り消しでも、筆圧の強い線はなかなか消せないので、そもそも描くときに気をつける。
押さえつけて描くのではなく、やさしいタッチで何度も塗り重ねるようにする。

・替え時
練り消しが練っても全体的に真っ黒になり、消す効率が悪くなったら、新しいのと取り替えましょう。

 

では、使い方とコツ5選を説明します。

1.第2の筆として使う

練り消しの説明なのに、筆として使う?と思ったかもしれませんが、練り消しは消すだけのものではないということを理解してもらいたくて、あえて1番目にもってきました。

例えば輪郭線ですが、実物には輪郭線という「線」は無いんですよね。
なので輪郭線を描いてから陰を足していくと、どうしても線が浮いてしまって不自然になるときがあります。

輪郭線なしで境目を作る方法が以下です。
ざっくりと大きめに陰を塗って形を作った後で、輪郭線を浮き上がらせるべく、練り消しで消して境目を作ります。
その後でさらに陰を足していくと自然なカーブで向こう側に見えなくなる様子が表現できます。
輪郭線と陰の黒さの段差を無くすためのコツです。
この説明じゃ、分かりにくいですかね。 ^^;

例えば、リンゴを描くとき、本来描きたいリンゴより大きめに薄っすらと塗ってしまいます。
その後で、練り消しで消しながら形を整えます。
消すことで形を浮かび上がらせる方法です。

輪郭線を描かずに陰を塗るのが難しいという場合は、薄っすらと輪郭線を描いてその内側を塗った後、内側0.5~1ミリくらいまで消してしまうと、輪郭線という線は消えます。

 

2.白い色の代わりとして使う

ハイライト(画面でもっとも明るいところ)を描くとき、とりあえず周囲と同じ濃さ(薄さ)で塗っておいて、ハイライトの部分を抜き取るように消すと、境目が自然になります。

ハイライト部分を先に線で囲った後で周囲を塗ろうとすると、どうしても手がブレてしまって、周囲を均一に塗れないときがあります。
ハイライト部分を線で囲うと、境目の線も不自然になるときがあるので、周りと同じように塗っておいて、その後で「抜き取る」「拭い去る」という使い方が役に立ちます。

 

3.尖らせて消す

練り消しだからこそできる使い方です。
尖らせて、細かい部分を消すことができます。
鉛筆の黒鉛がついたら、また練って尖らせて、消せばいいのです。

 

4.ポンポンと軽く叩くように消す

プラスチック消しゴムみたいに、ゴシゴシ擦るのではなく、上からスタンプを押すみたいにポンポンと押さえて、黒鉛を吸い取らせる感じで消してください。
ゴシゴシ擦ると紙面を痛めることがありますし、表面の凸凹の中に黒鉛を押し込むことにもなりかねないので、やさしく吸い取るつもりでやってください。

デッサンの間違いに気づき、大きな面積を消すときは擦るようにしないといけないときもありますが、そのときもやさしく往復して、消して練って、消して練ってを繰り返してください。

 

5.あえて滑らせる、コロコロ転がす

①滑らせて使う
弱い力で滑らせるように動かすと、薄っすらと明度を上げることができます。
指で広げてぼかす方法だと明度を上げるのは難しいので、うまく併用すると表現が広がります。

②転がして使う
円柱形に練って成形して、コロコロ転がして少しずつ消すという方法もあります。
でも慣れないと力の入れ具合が難しいので、何度か試して練習してください。

 

ブラウン「乳児の過去–母と子の研究」
フォード・マドックス・ブラウン「乳児の過去–母と子の研究」

 

まとめ

再度、この記事で説明した項目、使い方のコツを載せます。

1.第2の筆として使う
2.白い色の代わりとして使う
3.尖らせて消す
4.ポンポンと叩くように消す
5.あえて滑らせる、コロコロ転がす

上記はいずれも微妙なタッチを表現するためには、是非とも押さえておきたい使い方です。
鉛筆デッサンは、鉛筆のHや2Bなどの濃度の他に、寝かせて塗る、立てて力を入れ気味にして塗るなど多様な使い方があります。
さらに追加することで、練り消しのいろんな使い方を知っておくと、鉛筆デッサンの技術の引き出しが増えます。

言い換えると、鉛筆による濃淡だけでなく、練り消しでも濃淡を作れるので、表現の幅が広がるということです。
いろいろ試して、練り消しの使い方をものにしてください。

 

補足
練り消しゴムは消すだけの道具ではないと分かって頂けたでしょうか。
微妙なタッチが要求されるデッサンにおいて練り消しの便利さが分かったら、もうプラスチック消しゴムには戻れないはずです。
画材屋さんか大きめの文房具屋さんで200円前後で売っているので、持ってない方は求められてはいかがでしょうか。

 

鉛筆デッサンの塗り方は、別記事で詳しく説明しているので、よかったらどうぞ。
→ 「デッサンの塗り方、技法6選

 

               (以上です)

 

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