画材・道具

■筆 アクリル絵の具に向くオススメの筆、使い方など

2021年8月30日

筆の種類は多岐に渡りますが、毛の素材、形状によって分類でき、さらに毛先の長さと太さ、軸の長さなどで細分化できます。
用途としては水彩用、油彩用があります。
厳密に使い分けはしなくてもいいですが、アクリル絵の具はアルカリ性なので天然毛(獣毛)は痛みやすく、とっておきの場合以外は使わないほうがいいでしょう。
ふだんは安価な合成繊維毛(ナイロン毛など)が無難です。

 

この記事で説明する項目の一覧です。

1.毛の素材
2.毛先(穂先)の形状
3.毛先の太さ
4.面相筆、極細のオススメ

 

それでは個別に解説していきます。

1.毛の素材

1)天然毛:
馬、狸、イタチ、コリンスキー(チョウセンイタチ)、セーブル(テン)、リス(スクワラル)、豚、ヤギなど。繊細な柔毛から剛毛と呼べるものまで幅があります。

2)合成繊維毛(ナイロン毛):
百均で数本セットのものから、水含みをよくするために特殊加工を施したものまであります。
アクリル絵の具は乾くと水に溶けず、少しずつ根本に残って徐々に毛先が開いていく傾向があるので、安価な筆を求める場合に向いています。

3)リセーブル:
合成繊維毛と天然毛をブレンドしたもの。
天然のセーブルは非常に高価で希少なので開発されました。
ナイロン筆のしなやかさと復元力、天然毛の水含みのよさを併せ持ちます。

 

2.毛先(穂先)の形状

面相筆、丸筆、平筆、フィルバート(丸平筆)、ファン、刷毛、ステンシル、スポンジ、キャッツ・タン(オーバル)、刀先型(ダガー)、斜平筆などがあります。
筆ではありませんが、ペインティングナイフで塗るという方法もあります。


左から2番め:フィルバート(丸平筆)
左から4番め:平筆

右から3番め:刀先型(ダガー)
右から2番め:斜平筆(斜め平筆)

 

個別に説明します。

  • 面相筆:人や動物の面相(顔)を描くために作られた筆。穂先が非常に細く、鋭い。小さな字を書くのにも適しているため書道でもよく使われます。
  • 丸筆:書道で使われる筆に形が似ているが、あそこまで膨らみがない形状。筆圧の調整で細い線から太い線まで使えるオールマイティな筆。
  • 平筆:丸筆の根本(口金)をペンチで平らに潰したような形状で、穂先が一直線に揃っています。平塗り、ベタ塗りなど広い面積を塗るのに適しています。
  • フィルバート(丸平筆):平筆の先端の両端を楕円状にカットした形状。平塗りと細かい部分の両方に対応できるため、慣れると作業効率が上がる便利な筆。
    → 筆者は細かい所を塗るとき、コレをめっちゃ使ってます。
  • ファン:扇型に広がった平筆。画面のボカシや複数のスジ(シマ模様)を描くときに便利です。
  • 刷毛(ハケ):広い面積を塗るためのもの。ホームセンターで販売しているペンキ塗り用のものでも代用できる。水張りで水を塗るときにも使えます。
  • ステンシル:丸筆の先端を軸方向と直角にブツ切りにした形状。毛先が硬いものであれば垂直に立ちます。丸く円を描くようにしたり、印鑑やスタンプのように押してボカシをつけたりするのに便利です。
  • スポンジ:スポンジ単体をカットしてスタンプのように押していくと普通の筆では得られない表現ができるし、乾いていない絵の具を一部だけ拭い去ることで下地の色を表に出すこともできます。先端がスポンジになった筆も販売されています。
  • キャッツ・タン(オーバル):猫の舌という名前だが、先端が尖っているのが特徴。先端で細かい所を描いて、根本は平筆みたいに広い面積を塗れます。
  • 刀先型(ダガー):日本刀やナイフの先端みたいに丸みを帯びた斜めにカットされています。毛先(穂丈)が長いタイプが多いので、長いストロークで塗るときに便利です。
  • 斜平筆(斜め平筆):タガーは丸みを帯びていましたが、こちらは直線的に斜めにカットされ、毛先(穂丈)も短めです。直線、曲線どちらにも対応できる平筆の一種です。
  • ペインティングナイフ:コテを小さくした形状。厚塗りするときは慣れると筆より盛りやすくなります。岩や山肌の質感を出すときのも便利。端を使って枝や直線を描くのにも使えます。


ファン(扇筆)

 

3.毛先の太さ

絵画用は一番細いものが0号、太いものほど数字が増えます。
統一規格はなく、同じ号数でもメーカーによって太さが違うので、実際に見て選ぶほうが無難です。
メーカーによっては、00号、000号という極細も用意しています。

※ちなみに毛筆用は統一規格があり、10号が一番細く、1号が一番太くなっており、絵画用とは逆の並びになっています。

 

4.面相筆、極細のオススメ

初心者の方は、洗い忘れて筆をダメにしてしまうことが多いと思うので、平筆や丸筆は100均のもので最初は十分かなと思います。

でも面相筆だけは早めに100均からステップアップするのがオススメです。
ビックリするくらい効率が違います。
細い線が描けずに、自分には才能ないとか落ち込む暇があったら、さっさとメーカー品の面相筆を買いましょう。
あ、才能あるじゃん、ってなりますから ^^;

オススメを3本、紹介します。

①アルテージュ アルテージュ キャムロンプロ620-5/0
面相筆1

穂幅1.2mm、穂丈7.3mm、ナイロン毛
メーカー希望小売価格:520円(税抜)
アクリル画だけでなく水彩、油彩もOK。ナイロン毛のロングセラー。
シャープな描き味と絵の具離れのよさが特徴です。

面相筆2

どこまで細い線を描けるか試しにやってみたら、1ミリ幅の中に4本は厳しいですが、3本は入りました。
けっこうなスグレモノです。

 

②アルテージュ アクアレリスト920、0号
面相筆、アルテージュ、アクアレリスト
穂丈8.5ミリ、ナイロン毛
メーカー希望小売価格:580円(税抜)
ナイロン毛の復元力、耐久性の良さに加え、新開発のPBT捲縮毛をブレンドしたことで、天然毛同等の質感を再現しました。

 

③アルテージュ キャムロンプロ670、0号
穂丈21ミリ、ナイロン毛
メーカー希望小売価格:530円(税抜)
キャムロンプロは、油彩、アクリル、水彩と幅広く適応するナイロン毛筆のロングセラーです。人気、知名度ともに抜群。

 

※価格
初心者むきということで上記3本を挙げました。
アルテージュばかりになってしまいましたが、ここら辺を押さえておけば、まず間違いありません。
1,000円以上出せば、もっといい筆もありますが、初心者の方は洗うのが遅れてダメにしてしまうことが多いので、まずはこのどれかを使いこなせるようになってからで十分のはずです。

 

※穂丈
選ぶときのポイントの一つが毛の長さ(穂丈)です。
多めの絵の具を含ませて長めの線を引いたり、毛のしなやかさを利用しながら描いたりするときは長めでもいいですが、線の太さを均一にするにはコツがいるので、初心者の方は力の入れ具合に慣れる必要があります。
とにかく極細の線を描きたいという場合は、穂丈の短いほうがコントロールしやすいでしょう。

 

               (以上です)

 

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