絵のアイデア・発想法

■右脳トレーニング① 逆さ描写:観察力を上げる鍛え方

2021年9月15日

右脳、左脳、観察力、トレーニング

人間には右脳と左脳があり、それぞれ得意な分野を持ち、役割分担しています。
右脳を鍛えることで、創造性や観察力をアップできるのです。
画力の向上に繋がるトレーニング方法を紹介します。

 

この記事で説明する項目の一覧です。

1.右脳、左脳とは
2.左脳が観察を邪魔する仕組み
3.観察力を上げる右脳トレーニング:逆さ描写のやり方、手順

 

それでは個別に解説していきます。

1.右脳、左脳とは

右脳は以下のような機能があります。

創造性、芸術性、作図力、
ひらめき、発想、直感、感覚的
図形の把握、イメージ記憶(画像記憶) 等

絵を描くためには欠かせないものばかりです。
ところが理屈脳でもある左脳の記憶により、詳しく見なくても描けるなんてことが起きてしまいます。

左脳は言語や論理、計算などの機能を受け持っています。
また記憶の目次や住所は右脳に収納され、実際のデータは左脳に格納されていると言われています。
昔の記憶を思い出すとき、右脳で記憶の住所や番地を検索し、それが見つかれば記憶の棚である左脳へ取りに行くという仕組みです。

 

2.左脳が観察を邪魔する仕組み

①左脳の機能

左脳は以下のような機能があります。

左脳の主な機能
言語(話す・書く)、計算、分析、
論理的・科学的思考、推論、
数学的理解力、暗記、
要約力、審査・チェック機能 等

 

②左脳は記号化、抽象化して記憶している

例えば、チューリップの影絵を想像してみてください。
シルエットだけ、輪郭線だけのチューリップでも構いません。
これを見た瞬間に「あ、チューリップだ」と左脳が推論し、結論を出してしまいます。
するとそれ以上の観察はストップしてしまいます。
左脳的には答えを論理的に導き出したので、それ以上は必要ない訳です。
ところがそれでは実物の細かい部分の描写、デッサンはできません。
影絵ではない本物のチューリップを見ても、左脳の横ヤリは当然入ります。

絵は苦手という人が、人間の顔をクロッキーやデッサンする場合も同じです。
目が2つ、鼻はその中央に縦長、口はその下に1つ、というふうに左脳が記憶しているので、互いの距離感や大きさまで厳密に細かく観察できなくなっているのです。

さらに左脳は
「目は横長の楕円形かレモンみたいな形だよね」
「鼻は縦長で左右に小鼻が出てるよね」
「口は葉っぱみたいな形で、上の真ん中に凹みをつければOK」
と決めつけてしまうので、正確で詳しい観察を邪魔するのです。

見たものを見た通りに描くというのは実は難しくて、左脳の横ヤリや思い込みが邪魔をしているのが一因です。

では、その左脳の横ヤリを抑えて、見たままを素直に厳密に描くためには、どうしたらいいかというのが、以下の方法です。

 

3.観察力を上げる右脳トレーニング:逆さ描写

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やり方と手順を解説します。

① 写したい人や物の写真を用意する

② 写真に4等分した線を引く

③1つのコマをさらに4等分して、計16コマを作る

④紙(画用紙)にも16分割の線を引く。縦横比が写真と同じになるようにする。

⑤ 写真を逆さまに置く

⑥1コマずつ輪郭線を観察して、写す

⑦決めつけずに見るを徹底して、輪郭の内側の主だった線を写真のとおりに写す

⑧明暗を大まかに見る。いきなり細部の陰影をつけるのではなく、全体の明暗をブロック分けする。明中暗の3段階で陰影をつける

⑨ 細部の線や陰影を調整する

⑩逆さまを戻して、描き込めていないところ、抜け落ちているところなどをチェック。再び逆さまにして描き込んで完成。

⑪2~3度やって慣れたら次のステップとして、分割線なしで描いてみましょう。

 

 

まとめ

逆さ描写のトレーニングは、見ているようで見ていなかった、こんなものだろうという思い込みで描いていた部分を強制的に排除する練習になります。
理屈脳である左脳が出しゃばらないように、右脳をフル稼働させる練習でもあるので、最初は疲れるかもしれません。
乗り越えたら、観察力がグッと上がっていることに気づきますよ。

 

               (以上です)

 

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