構図

■三分割構図 決して外せない構図の基本1

2021年9月10日

三分割構図1

三分割構図とは画面を横方向に三分割したもの、または縦も三分割して9等分した線または交点上にモチーフを配置するものです。

三分割構図は数ある構図の中でもっとも汎用性が高く、初心者でも使いやすいという魅力があります。

よく使われるので、見る人が見るとまたかと思われるくらい多用される構図です。
でも基本中の基本で大事なので、まずは徹底的に使って、モノにしてしまいましょう。

 

この記事で説明する項目の一覧です。

1.三分割構図の種類
2.三分割構図の効果、メリット、デメリット
3.三分割構図の使い方

 

それでは個別に解説していきます。

1.三分割構図の種類

三分割構図は厳密にいえば3種類あります。
よく使われるものとして水平方向に3分割したものと、縦も3分割して9マスにしたものがあります。
さらにマイナーですが縦に3分割したものもあります。

①横に3分割したもの

遠景、中景、近景のように上中下の3層構造の構図です。
奥行きと広がりを表現できます。

例えば、手前に砂浜があり、波打ち際からの海、そして青空と入道雲のような構図があります。
砂浜→海→空の3層構造ですね。

2本ある横線の下のほうに水平線を重ねれば、空が3分の2を占めることになりますので、大きな入道雲を描いて夏らしさを表現できます。

また真ん中に水平線を重ねて、上半分を空、下半分を海と砂浜で分けるという3分割の仕方もあります。

横に3分割する構図は、三等分する必要はなくて、主役に大きな幅を与えることができます。

 

三分割構図、ゴッホ、遠近感
フィンセント・ファン・ゴッホ「収穫の風景」

 

②画面を9分割したもの

縦も横も3分割して、9マスにした構図です。
中央のマスに主役(モチーフ)を配置するのではなく、分割線の交点、4つの点のいずれかに配置するものです。

三分割構図、北斎、神奈川沖浪裏
葛飾北斎「神奈川沖浪裏」

 

③縦に3分割したもの

上記2つに比べるとマイナーですが、画面を縦に3分割した構図もあります。
縦長の主役(モチーフ)を中央に置くのではなく、左右どちらかの分割線上に配置するといいでしょう。
ほとんどが9分割の構図に含有されてしまうので、厳密な縦3分割で魅力的な構図は慣れないと難しいかもしれないですね。

 

2.三分割構図の効果、メリット、デメリット

①効果、メリット

なぜ三分割構図がよく使わわれるのか、その理由にもなるメリットを説明します。

まず水平、垂直がハッキリしているので安定感があります。
次にモチーフが中央にないので、奥行きと空間の広がりを表現できます。

また複数のモチーフや背景にいろいろある場合、全部を入れ込むとごちゃごちゃしてしまいますが、主役のモチーフを4つの交点のどれかにおけば、すっきりと主役、脇役、背景というふうに整理することができます。

 

②デメリット

多用される構図なので、またかと思われることがあります。
安定した構図なので、安定しすぎてツマラナイと思われることもあります。

そういう場合は、横線どうしが三等分にならないように幅を広くしたり狭くしたりしてズラすとか、やや斜めに傾けるとか、線が折り重なるようにするとかしたら、パッと見では三分割構図とは分からないので、面白みが出てきます。

 

3.三分割構図の使い方

三分割構図、使い方、交点、配置

縦横の三分割線やその交点の上にモチーフを配置すると簡単にバランスのいい構図になります。

線の使い方としては、例えば水平線を上の横線に重ねれば、手前の景色が3分の2を占めるのでメインとなりますし、下の横線に重ねれば空が3分の2を占めて広くなります。
このようにテーマやモチーフによって使い分けができます。

①上の横線に水平線を合わせた構図

②下の横線に水平線を合わせた構図
三分割構図2

※ 例えば、キレイな紅葉をテーマにしたいなら①を使って、スッキリ晴れた青空をテーマにしたいなら②を使います。
このようにキレイと感じたほう、テーマとして訴えたいほうの面積を大きくすると鑑賞者に伝わりやすくなります。

 

三分割構図は昔の絵師さんも使っていました。

昔からよくあるのが、富士山を三分割構図で描くものです。
富士山→海→砂浜と松。
遠方にある山と手前の海という組み合わせは極楽浄土信仰になくてはならないものだそうです。

歌川広重の「東海道五十三次」の中にも近景、中景、遠景と描き別けられているものがありますが、水平の横線で単純に描き分けるようにはしていません。
斜線構図とも組み合わせて構成したりしています。
近景からずっと辿っていくと、遠くに小さく富士山があったりします。

歌川広重 東海道五十三次
「舞坂 今切真景(まいさか いまぎりしんけい)」
※9分割の交点にモチーフを置いている訳ではないので、この絵は横の三分割構図(近景、中景、遠景)となっています。

 

三分割構図は遠景だけではなく、もっと近い近景でも使えます。
例えば、芝生→建物群→空など。

横の線は一直線だけでなく、斜めに折り重なるようにしていると、奥行きをさらに感じさせます。他にも以下のような使い方があります。

例1)リンゴ1個を描く場合、中央に置けば、ありきたりな日の丸構図になってしまいますが、左上の交点上に配置して、さらに影が中央近くにかかっていれば、空間と静寂などの表現も加わります。

例2)人物の全身像を右の分割線上に置く場合、頭を上の交点、手に持つ花を下の交点に配置するという構図も考えられます。

例3)人物の上半身を描く場合、右の分割線上に置いて、さらにどちらかの目を右上の交点に配置すると、目が何かを訴えるテーマ性が表現された構図になります。

 

補足1
最近はスマホ内蔵のカメラに9マスのガイド線が表示できるようになっているので、撮影するときに三分割法を思い出して、いろいろ試して構図の練習をするといいですよ。

 

補足2
いい景色を見つけたとき、とりあえずスマホで撮っておいて、家で描くケースが多いと思います。
初心者のうちは恥ずかしさもあって、なかなか現場でスケッチできないという人も多いはずです。
別記事で、スマホで撮って画像を見ながら描く方法とコツをまとめてみたので、よかったら読んでみてください。
→「風景画の描き方のコツ 初心者むけ

 

               (以上です)

 

-構図

© 2024 アクリル絵の具で自由画人