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絵の初心者むけ模写のコツ、写真から模写する方法3選

2022年4月14日

模写1
※ロベール・ドローネー 「エッフェル塔」と模写する人

 

絵の練習で模写をやってみようと思っている初心者の人に役立つかもしれない情報をお届けします。
模写は本物の絵を見ながらするのが一番なんですが、日本の美術館では長時間滞在して描くのは、なかなか許可が下りないので難しいですよね。

海外旅行のついでに美術館と交渉して模写するのは初心者の人にはなかなかハードルが高いものです。
よって写真や画像をもとに模写することになるのが一般的ですので、そのやり方を解説してみます。

 

この記事で説明する項目の一覧です。

1.模写とは、模写をやる意味
2.模写の目的
3.模写のやり方

 

それでは個別に解説していきます。

1.模写とは

模写(もしゃ)という言葉の定義は、先人の作品(絵)を忠実に写しとること、または写しとった物のことです。
デッサンは3次元の立体物を2次元の紙に描くことですが、模写は2次元から2次元に描き写すことです。

 

石膏像などの立体物を紙などに描き写すのはデッサンですが、デッサンの作品を描き写すのは模写です。

デッサンは3次元の物体を2次元化するという技術が要りますが、模写には要りません。
その分、楽です。
簡単とは言いませんが、2次元化する技術は要らないということです。

ただし、どうやって二次元化したのかと考えならが模写するのと、単に作品をコピーすればいいと思いながら模写するのとでは雲泥の差がつきます。
速く上達したいなら考えながら模写しましょう。

ちなみに2次元の作品の上に紙を重ねて、なぞるのはトレースといいます。
模写とは違いますので念のため。

 

2.模写の目的、意味、効果

考えられるものを列挙します。

・観察力が身につく

・筆使い、タッチ、色使い、技法などの勉強になる

・人物のバランス、モチーフの配置、構図など、作者の意図を推測できる

・モデルやモチーフに対する作者の解釈を推測できる

 

絵の歴史に名を刻む巨匠も模写によって技術を磨いてきました。
初心者の方がまず模写をするのは上達のために必要であり、意味のあることです。
ただし模写だけでなく、デッサンやスケッチも平行して取り組んだほうがいいのは間違いないです。

 

3.模写のやり方

模写のやり方は以下があります。

①グリッド(格子線)有り/無し
②カラーリングのみ/モデリングのみ/両方
③鉛筆のみ/筆を使う

※モデリングというのは形を写しとることです。

個別に説明する前に、結論的なものを先に書きます。

全部左を選ぶと楽なので初心者むきです。
グリッド線有り、カラーリングのみ、鉛筆のみ……です。

一番難しいのは全部右を選ぶやり方です。
グリッド線無し、モデリングとカラーリング両方、筆を使う……です。

①~③は自由に組み合わせできるので、2x3x2=12通りの模写のやり方があるってことになります。
鉛筆のみ&カラーリングのときは筆ではなく色鉛筆にするといいですね。
お好みでいろんなパターンでやってみてください。

 

それぞれ説明します。

①グリッド(格子線)有り/無し

フェルメール、ガイド線
フェルメール「真珠の耳飾りの少女」

 

模写する対象(原稿)にグリッド線を引くやり方と、それ無しで模写するやり方です。

グリッド線を使うやり方を説明します。

2通りあります。
1)原稿に、例えば1cm四方のマス目の縦横の線を引く
2)縦も横も4等分して全体を16等分する

 

1)のやり方はお手本となる作品も描く紙も同じ大きさのほうがやりやすいかもしれません。
別に1cm四方でなくて2cm四方でもいいんですが、細かいほうが面倒ですけどより詳しく正確に模写できます。

2)のやり方は、お手本と描く紙の縦横比が同じになるように気をつけてください。
同じ縦横比にしないと歪みます。

上記1)も2)も、グリッド線と輪郭が交差する点を写して、なだらかな曲線でつないでいきます。
輪郭の内側もグリッド線と交わるところに注目して描き写していきます。

 

②カラーリングのみ/モデリングのみ/両方

これは細かく分けると、3種類に分けられます。

線画のみ/白黒のみ/フルカラー

です。

右に行くほど難易度が上がります。

モデリングとは形を写し取ることです。
カラーリングとは着色のことです。

線画のみの模写というのはクロッキ―(速写)に近いので、主にイラスト用でしょう。
絵画の世界では線画のみの模写は少ないはずです。
少なくとも陰影は付けたいですよね。
ましてやグリッド線を使って線画のみとなると、絵の練習というより単なる作業です。

白黒のみというのは陰影を付けるという意味です。
ネットで芸能人を白黒写真みたいな凄くリアルに描く鉛筆画を見かけたことがあります。
初めてみたときは凄いと驚いたのですが、アタリも取らずに頭頂部から順にグレーで顔の色を塗ってるのを見て、何か変だなと思ったら、グリッド線を使っていました。
もちろん中にはグリッド線なしで写真を模写できる人はいると思いますが、アタリ(大雑把な仮の線)を引いて、少しずつリアルな表現に近づいているはずです。

フルカラーというのは色つきで模写するということです。
白黒のみより難易度が上がります。
色を合わせるには混色の知識が必要です。
空や森の色くらいならまだ簡単ですが、肌のグラデーションの色を合わせるとなると、かなり難易度が高くなります。

 

③鉛筆のみ/筆を使う

フェルメール、模写、白黒
フェルメール「真珠の耳飾りの少女」を白黒加工

 

鉛筆のみの模写から、筆を使う模写になると格段に難しくなります。

筆で白黒、または白と茶色で絵を描くグリザイユ(カマイユ)という技法があります。
鉛筆画からいきなりフルカラーにステップアップするのではなく、白黒または白茶色で筆を使って模写するのがオススメです。

 

 

補足1
お手本となる作品は、パソコンの画像のままでもいいですし、写真やプリントアウトしたものでも構いません。
ネットで拾ってきた画像をプリントアウトするのは、まあまあ手間がかかるので、パソコンがあるならモニターを見ながらでもいいでしょう。
グリッド線はペイントソフト(お絵かきソフト)で引くことができます。

 

補足2
初心者の人は、好きな作品を見つけたら、
まずは「グリッド線有り、線画+陰影をつける、鉛筆のみ」で模写してみてはいかがでしょうか。
完成したらグリッド線は消しましょう。
グリッド線ありで模写するとわりと簡単に形が似るので、上手くなった気がして楽しいですよ♪

 

(以上です)

 

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