アクリル絵の具の基本

■色相環(しきそうかん) 補色、配色、覚え方

2021年9月9日

色相環

色相環(しきそうかん)とは色相(色)を順序立てて環状に並べたものです。
順序立てて並べることによって、類似色や反対色(補色)が分かりやすくなり、混ぜて色を作るときや、画面全体の色の構成を計画するときに考えやすくなります。

色相環には20色や24色のものまでありますが、初心者の方はまず12色で覚えたほうが楽です。
この記事では12色で解説します。

12色の位置を丸暗記しようとしたら大変ですが、理屈を覚えてしまえば一生忘れなくなります。
一生忘れずに済むシンプルな覚え方と理屈も解説しますので、ご参考ください。

 

この記事で説明する項目の一覧です。

1.色相環の種類
2.色相環の配置、覚え方
3.混色の考え方
4.補色
5.類似色
6.寒色・暖色

 

それでは個別に解説していきます。

1.色相環の種類

アメリカの画家であるマンセルが考案したマンセル色相環は20色、
日本色彩研究所が開発したPCCS色相環(Practical Color Co-ordinate System:日本色研配色体系)は24色で表されることが多くなっています。

これらをさらに簡略化した12色の色相環は黄色・青・赤という三原色の位置が分かりやすいので覚えやすく、混色の際にも使いやすいので便利です。

三原色とは混ぜて作れない原初的な色のことです。
他の色は混ぜれば、なんとかなります。

ちなみに以下は三原色と、各色を混色するとどんな色ができるかを表した画像です。
3原色
三原色

 

※ちょっと脱線しますけど、白と黒が無いじゃないかと思ったかもしれませんが、
白と黒は色がない→彩りが無い=無彩色なので、色のお話をするときは対象外になります。
なので色相環にも載っていません。

 

2.色相環の配置、覚え方

話を色相環に戻します。
時計の文字盤に例えると、
12時の位置に黄色、4時に青、8時に赤があります。

三原色の黄色、青、赤の位置で正三角形ができています。
まずこの3色と位置を覚えてください。

色相環
大切なので、もう一度書きますネ。
黄色、青、赤の位置を覚えましょう。

今ココで覚えてしまいましょう。
12時の位置に黄色、4時に青、8時に赤です。
これさえ覚えたら、あとは理屈で12色の位置をすべて再現できるようになります!!

次にそれぞれの色との中間をみてください。
黄色と青の中間にはが2時の位置にあります。
これは黄色と青の絵の具を混ぜると緑になるのと同じです。

青と赤の中間にはが6時の位置にあります。
これは絵の具の青と赤を混ぜると紫になるのと同じです。

赤と黄色の中間にはオレンジ色が10時の位置にあります。
これは絵の具の赤と黄色を混ぜるとオレンジ色になるのと同じです。

元となる黄色、青、赤で構成される正三角形が時計の文字盤のどこにあるかさえ覚えれば、あとは混色の知識で12色全部の位置を再現できるようになります。

 

3.混色の考え方

12色の色相環は、12時の位置に黄色を、4時に青、8時に赤を配置します。
黄色と青を混ぜれば緑に、青と赤を混ぜれば紫に、赤と黄色を混ぜればオレンジ色になります。

整理すると以下です

・黄色、青、赤で正三角形
・黄色+青=緑
・青+赤= 紫
・赤+黄色=オレンジ色

覚えるのは、この4つだけです。
ちなみに緑、紫、オレンジ色を2次色と呼びます。
三原色を混ぜて2次的にできる色だから2次色です。

3原色と2次色で計6色の位置が再現できるようになったら、次は残りの6色=3次色です。
2次色に三原色を加えると3次色ができるので、2次色をベースに3次色を説明します。

 

+黄色=黄緑
+青= 青緑+青=青紫
+赤=赤紫

 

オレンジ+赤= 赤っぽいオレンジ
オレンジ+黄色=黄色っぽいオレンジ

オレンジだけ、赤っぽいとか黄色っぽいという日本語しかないですね。
あえて日本語で書けば、赤橙(あかだいだい)、黄橙(きだいだい)でしょうか 汗

 

3原色で3つ
2次色で3つ
3次色で6つ
これで計12色です。

大事なのは最初に説明した……
「黄色、青、赤で正三角形」です
これさえ覚えておけば、混色の理屈で12色の位置を再現できます。

これでも覚える自信がないって人は、実際に絵の具を混ぜてみてください。
手を動かして、目で見たら、ビジュアルはイヤでも脳に焼き付きますよ ^^;

 

4.補色(ほしょく)

補色、反対色

補色とは色相環の反対側にある色どうしの関係であり、反対色ともいいます。

12色の色相環では、
黄色の反対側は紫、
の反対側はオレンジ色、
の反対側は
です。

この補色の関係にある色を隣どうしに配置すると、派手になりすぎたり、反発し合ったり、目がチカチカしたりするなど落ち着かなくなるので注意が必要です。

例えば赤いバラと葉の緑などの場合は、そのままだと補色の関係にありますが、緑の彩度か明度を落とせば、主役の赤いバラを引き立てることができます。
なお補色どうしを混色すると彩度を打ち消し合うので灰色になります。

ちなみに彩度というのは色の鮮やかさ、明度というのは明暗の度合いです。

赤いバラと緑の葉っぱですが、チューブから出したままの鮮やかな緑だと赤いバラとケンカをしますので、緑にほんの少し茶色か黒を混ぜて明度を落とし、深緑にすれば赤いバラの引き立て役になります。

主な補色の組み合わせは以下です。

・黄色vs紫
・緑vs赤
・青vsオレンジ色

これは覚える必要はなくて、正三角形の黄色、青、赤さえ覚えておけば、あとは混色の知識で色相環を再現できるので、再現した後に反対側を見ればいいだけです。

筆者は絵を描くとき、けっこうひんぱんに補色を利用します。
その際、色相環を思い浮かべて、派手な赤を抑えたいから……緑を少し混ぜるか……とか脳内で自問自答しています。

水彩画の場合、黒を使うなという鉄則があります。
アクリル画はそこまで厳密ではないですが、理屈は同じです。
黒を使うと、ガッカリする色になるから、そこだけ色が異様に沈んでしまうからです。

黒を使わずに暗くしたいとき、補色の知識が役に立ちます。
茶色をさらに暗くしたいときに黒を混ぜるのではなく、青を少し混ぜると、焦げ茶色に近づきます。
青をさらに暗くしたいとき、オレンジを少し混ぜると紺色に近づきます。

わりとひんぱんに使うので、補色は覚えておくと便利ですよ。

 

5.類似色

色相環で隣どうしの色の組み合わせです。
特定の色と両隣の計3色を類似色と呼びます。
紫から黄緑までは青が含まれているので青系と呼んだりしますが、類似色はもっと狭い範囲を指します。
多くの色を使わずに、類似色を意識して配色すると、まとまりのある印象になります。

類似色の例を挙げると以下です。
緑の類似色は両隣の黄緑と青緑になります。
赤の類似色は両隣の赤紫と赤っぽいオレンジ色です。

 

6.寒色・暖色

主に青を含む色を寒色系、主に赤~黄色を含む色を暖色系、主に緑を含む色は寒暖どちらでもないとされ中性色系と呼びます。

ファッションに例えると、夏に涼し気な色とされる水色や青を取り入れると爽やかな印象を与え、温かみを感じる赤やオレンジ色を広い面積で使うと暑苦しい印象を与えます。

季節に関わらずエネルギッシュな印象を与えたいときに暖色系、冷静さや理知的な印象を与えたいときに寒色系を配色するという使い方もあります。

絵画としては、大雑把にいえば暖色系が高揚した明るい色、寒色系が暗く沈んだ色という印象を与えるため、喜怒哀楽などの感情を表現するために使われることも多くなっています。

 

まとめ

三原色は黄色、青、赤で正三角形の位置に配置します。

2次色は緑、紫、オレンジ色です。

上記6色を基本色と呼び、時計回りに並べると以下になります。
黄色、緑、青、紫、赤、オレンジ色

2次色に三原色を足して、3次色ができます。

3原色で3つ
2次色で3つ
3次色で6つ
これで計12色です。

これは混色のときにも必要な知識なので、この際しっかり覚えておきましょう。
難しいと感じる場合は、黄色、青、赤が正三角形の位置にあることだけでも覚えてください。

 

             (以上です)

 

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