アクリル絵の具の基本

補色の使い方3選 効果と組み合わせ、使いこなす秘訣

補色

補色とは、色相環(しきそうかん)の反対側に位置する色どうしの組み合わせのこと。
反対色ともいいます。
補色の色どうしを隣におくと目がチカチカしたり、場合によっては鬱陶しい感じがしますので絵を描くときは注意が必要ですが、まったく使わないのはもったいないので、使い方のコツなども紹介していきます。

 

この記事で説明する項目の一覧です。

1.補色の組み合わせ
2.補色の効果、メリット、デメリット
3.補色の使い方3選
①黒の代わりに使う
②引き立て役として使う
③補色どうしをケンカさせない方法

 

それでは個別に解説していきます。

1.補色の組み合わせ

色相環,補色

色相環の反対側にある色どうしが補色の組み合わせになります。まず12色の色相環を見てください。
中心点の向こう側、反対側にある色が補色になります。
具体的に書くと、以下のような組み合わせになります。

黄―紫

緑―赤

青―オレンジ色

もう少し細かく見ると、以下の組み合わせもあります。

黄緑―赤紫

青緑―紫かかった赤

青紫―黄色がかったオレンジ色

 

12色の色相環にないピンクの補色は何色になるでしょうか?
答えは緑です。
理屈としては、ピンク=赤+白 なので、
緑、薄緑、濃緑が補色のグループになります。
ピンクが赤に白を混ぜてできた色なので、緑に白を混ぜた薄緑のほうが洋服のコーディネートなどなら、なじみやすいでしょうね。

理屈としては色調の分野になるので、よかったら色調(トーン)の記事も参照してください。
→ 色調(トーン)とは、意味や「色相、彩度、明度」との関係など

 

2.補色の効果、メリット、デメリット

補色どうしを隣に置くと、目がチカチカする、鬱陶しいなどのデメリットがまず思い浮かびますが、効果やメリットもあります。

効果やメリットとしては、互いに強めあって相手よりも明るく強烈に見えるような作用があるため、見る人の注意や関心を引きつける力があります。

視線誘導のスタート地点に補色どうしを隣合わせに置けば、アイキャッチになります。
視線誘導がうまくいけば、鑑賞者の視線はスルスルと誘導されて、ゴール地点である主役のモチーフに辿り着きます。

また逆に主役のモチーフを日の丸構図みたいに中央にドンと置いてしまうと、そのままではツマラナイ構成になってしまうかもしれません。
しかし、背景にある斜線や曲線や対角線などの先に、補色を隣合わせた脇役を小さく配置すれば、鑑賞者の視線が誘導されて画面全体を広く使えますし、すぐに見飽きることがなくなります。

日の丸構図の単純さを、補色を使った脇役でカバーするということです。

 

3.補色の使い方3選

①黒の代わりに使う

1)明度を落としたいとき
例えば紺色を作りたいときに青に黒を混ぜるのが手っ取り早いですが、沈んだようなツマラナイ色になってしまう場合があります。
そういうときは青に補色のオレンジ色をほんの少し混ぜると、青の彩度も明度も落ちて、なおかつ面白い色みになります。

緑を暗くしたいときは、補色の赤をほんの少し混ぜると黒を混ぜるよりは生き生きとした深みのある濃緑になります。

 

2)陰や影の部分に使うとき
例えば人の影が土に投影されているとします。
何も考えなければ、影を黒く塗ってしまいそうになりますが、影の部分は真の真っ暗ということはありえないんです。

なぜなら太陽の光は空気中で拡散されているので、少しは土にも光が当たっているのです。
まったく当たらないのであれば、ブラックホールみたいな黒になっても仕方ないですが、実際はそこまで黒い訳ではありません。

陽の光の眩しさに目の露出合わせが上手くいってないだけで、人の影に近づいて、両目の脇に両手で壁を作って見てみたら、影の中にもいろんな色があるのが分かるはずです。

元の色、地の色にほんの少し補色を加えることで、よりリアルな色の陰や影を作ることができます。

 

②引き立て役として使う

補色どうしは互いに相手より目立とうとしてしのぎを削る間柄のように見えます。
協調していないがゆえに、返って強烈に相手の存在を目立たせてしまいます。
ですが心理的には落ち着かない組み合わせになるので、長く見つめているのは結構しんどくなります。

こういうときは、どちらかの色の明度か彩度を落とせばいいんです。
明度というのは明暗の度合いです。
白を混ぜれば明度は上がり、黒を混ぜれば明度は下がります。彩度というのは色の鮮やかさの度合いです。

アクリル絵の具をチューブから出したままが一番彩度が高く、白でも黒でもどんな色でもいいですが混ぜると彩度は低くなります。
ちなみに混色によって彩度を上げる方法はありません。
混色する色を増やすと、急激に彩度(鮮やかさ)は落ちていきます。

話を戻します。補色どうしが隣り合う場合、どちらかの色の明度か彩度を落とすことで、引き立て役にすることができます。
赤いバラと鮮やかな緑の葉っぱは反発しますが、緑の明度を落としてやれば、主役のバラを引き立てることができます。

真っ赤な燃えるような紅葉の中に鮮やかな緑の服を着たモデルさんが立つと目がチカチカしますが、紅葉の明度か彩度をちょっと押さえてやると、モデルさんが浮き上がるくらいに引き立てられます。

 

③補色どうしをケンカさせない方法

上記②もケンカさせない方法の一つですが、どうしても補色をいじりたくない場合があるかもしれません。
例えば赤と緑をそのまま、どうしても使いたい場合ですね。

そういうときは赤と緑の間に白か黒い線を入れると目のチカチカが減ります。
緩衝地帯ができるので、なじむ感じです。
フランスの印象派の画家たちは補色どうしと白を小さな点にして一緒に使うことで、画面全体に違和感なく両立させ、輝きを与えることに成功しています。

 

まとめ

もう一度、この記事で説明した項目を載せます。

1.補色の組み合わせ
2.補色の効果、メリット、デメリット
3.補色の使い方3選
①黒の代わりに使う
②引き立て役として使う
③補色どうしをケンカさせない方法

ざっくりまとめると、補色は色相環の反対側の色。
デメリットは隣同士だと目がチカチカする、鬱陶しく感じる。
メリットはうまく使えばアイキャッチ効果がある、主役の引き立て役になれる……でした。

混色で色を暗くするときに「黒は絶対に使うな」と指導している先生もいると聞いたことがあります。
補色を理解してしまえば、使う必要ないですよね。
黒を使うと不自然な色になることも多いですし。

補色を使いこなして、色使いの達人になっちゃってください♪

 

補色を理解するには、まず色相環をしっかり覚えたほうがいいので、よかったら読んでみてください。
色の配置を覚えるコツなども解説しています。
→ 「色相環(しきそうかん) 補色、配色、覚え方

 

               (以上です)

 

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