絵のお悩み解決

形が取れない、捉えられないときの理由6つと解決法5選(後編)

2022年1月13日

形が歪むとき、多角形で囲む1

絵を描くとき、形が歪んでいるとガッカリしてしまいます。
でも理由が分かれば解決法も見えてきます。
考えられる理由に関しては前編で解説していますので、よかったら参考にしてください。
前編はコチラ

 

この記事で説明する項目の一覧です。

◎解決法5選
1.全体を多角形で捉える
2.縦横比、縦の比率をしつこく計測する
3.ブロック分けして、その中でまた多角形で捉える。
4.直線で捉える
5.形ではなく、角度でチェックする

 

それでは個別に解説していきます。

1.全体を多角形で捉える

例えば洋梨をデッサンするとき、洋梨の一番出っ張った所どうしを直線で繋いで多角形を描きます。
この多角形の中に洋梨がすっぽり入るようにして、はみ出さないようにするのがコツです。

最初は辺が少ない多角形で描きます。
縦長の台形と横長の逆台形が縦にくっついたような形になっているはずです。
ココでいったん形をチェックしてOKなら、辺を足して曲線に沿うように近づけていきます。
辺の数が多い多角形にしていくのです。

人物画であれば、頭をいきなり楕円形でアタリを取るのではなく、側頭部と肩の外側を結ぶ直線を引いて、頭頂部も2辺くらいの直線を引いて、反対側の側頭部と肩も直線で結びます。
多角形の中にすっぽりと人物が入っていることを確認し、形がOKなら、辺を足して、徐々に曲線に近づけます。
概要の概要を描く感じです。

 

2.縦横比、縦の比率をしつこく計測する

モナ・リザ、縦横比、計測

※モナ・リザの縦横比は408:282ピクセルだったので、横幅は縦の69.1%でした。
キャンバスの縦の幅は449ピクセルなので、キャンバスの縦に対するモナ・リザの縦の長さは90.8%でした。

 

縦の長さを100とした場合、横は何割になるのか、70なのか80なのか、しつこく計測すると全体的な形はそんなに歪まなくなります。

デスケルという測量する道具があれば便利ですが、初心者の方は持っていないのであれば、定規でいいでしょう。
美大受験じゃないので誰にも文句を言われることはありませんし。

コツは以下の2点です。

① 目と定規の距離を一定にすること。
② 測量ポイントをたくさん作ること。

石膏デッサンの場合、一番下をどこまで描くか決めたら、そこから顎までの距離と、顎から頭頂部までの距離の比率を測ります。
頭頂部から一番下までの距離を100としたら、以下を計測します。

頭頂部から顎までの距離 : 顎から一番下までの距離

これが何対何なのかを計測します。
70:30なのか、80:20なのか、100の中の比率または%を割り出します。

計測したら、それをもとに画面に薄く印をつけます。
定規を通して画面を見て、全体の縦の長さの何割の所に顎が来るか印をつけるのです。

全体の縦横比が分かったら、今度は頭だけの縦横比を測って、また縦の比率を出して、パーツごとに印を置いていきます。

頭頂部から顎までの距離を100とした場合、頭頂部から鼻先、鼻先から顎までの距離の比率を計測し、画面に鼻先の印をつけるのです。

 

3.ブロック分けして、その中でまた多角形で捉える。

上述の1で全体を多角形で捉えるというのを説明しましたが、これをブロック分けした中でもやります。
例えば画面を4等分して、左上のブロックの中に含まれるパーツどうしを線で結び、多角形にします。
この多角形の形が歪んでいないかチェックしてOKなら、配置が相対的にズレていないことになるので、パーツの輪郭に着手します。

 

4.直線で捉える

形が歪むとき、多角形で囲む2

①まず全体を直線で結び、多角形で囲む
②徐々に線を短くして、曲線に沿うように辺を多くする

これは上記1と似ていますが、もっと直線を短くして辺を多くして、曲線に寄り添うようにします。

例えば人物画の場合、配置が相対的にズレていないことが確認できたら、いきなり曲線で目や鼻を描くのではなく、やはり多角形で囲みます。
多角形の形が歪んでいなければ、徐々に辺を増やして、曲線に沿うようにします。曲線でスーッと引くのは何度もチェックしてからです。

 

5.形ではなく、角度でチェックする

例えば人物を描く場合、多角形で全体を囲んだ後に、形をチェックするというのは上述したとおりですが、その際に形に加えて、線の角度もチェックしましょう。

正中線、顔の向き、角度

顔であれば、左右の目尻を結んだ直線の傾きの角度をチェックするのです。
全体であれば、側頭部と肩の外側を結んだ線と、画面上に描いた同じ線が平行になっているかチェックするのです。

垂直に対し、どれくらい傾いているか。
片目をつぶって鉛筆を人物の側頭部と肩のラインに当てて、そお~っと画面の上に持ってくるのです。
微妙な差異が見つかったら、もう一度、縦横比のチェックもしてみましょう。
大抵の場合、測量が面倒くさくなって適当に描き始めているはずです ^^;
そこをグッと我慢して測量を続けると、形が歪む原因が無くなっていくので、ほぼ正確に形を捉えているはずです。

確かに測量は面倒くさい作業ではありますが、後でものすごく効いてくるので先行投資と思って、頑張りましょう。

 

まとめ

形が歪む最大の原因は縦横比が間違っていることです。
初心者の方は計測ミスというより、計測してないことのほうが多いのではないでしょうか。

例えば、定規の10cmの所に親指の爪を立てて目印にして、モチーフを見るとします。
モチーフの上端から下端が10cmになるように片目をつぶって定規を離したり、近づけたりしてみてください。
縦で10cmの場所が分かったら、定規を前後させないように、横に倒して、横幅が何cmになるか計測します。
これで縦横比が分かります。
分かったら、それを画面(紙やキャンバス)上に再現します。定規越しに見て、印を付けます。

全体が終わったら、各パーツも計測します。
概要から詳細へ入っていく感じです。
ときどき角度もチェックしていけば、もうよほどのことがない限り、形は歪まないはずです。

本当は何も使わずに、スラスラ~っと輪郭線を描いて形を捉えたいのかもしれませんが、それは慣れてからの話です。
まずは計測方法を身につけましょう。
そうしたら、そのうちスラスラ~っと形を捉えられるようになりますよ。

 

               (以上です)

 

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