構図

縦位置(縦構図)と横位置(横構図)の特徴、使い分け

縦構図、横構図

 

紙やキャンバスを縦長で使うか、横長で使うか迷ったことはありませんか?
花瓶に生けた花や人物などの縦長のモチーフなら縦位置で迷わないでしょうけど、風景の場合、左右の広がりも奥行きも描きたいとなったら、迷いますよね。
どういった基準で使い分けすればいいのか、いくつかポイントがあるので、押さえておきましょう。

 

この記事で説明する項目の一覧です。

1.モチーフの魅力を引き出すのが大前提
2.縦位置と横位置、それぞれの特徴
3.フレーミング、寄りと引き、構図との相性
4.余白、空間にも配慮する

 

それでは個別に解説していきます。

1.モチーフの魅力を引き出すのが大前提

なぜそのモチーフを絵にしたいと思ったのか、というのが出発点になります。
モチーフそのものだけでなく、モチーフが醸し出す雰囲気や置かれた状況、周りの空気感も表現したほうが重層的な魅力を伝えられます。

それでも横か縦か決められないという場合は、人差し指と親指を90度に広げたものを両手で組み合わせて長方形を作って、モチーフを覗いてみましょう。

この際、どうしたら全部入れられるかという観点で見るのではなく、削る方向、いかに脇役を削って主役を引き立てられるかという観点で見てください。

二兎を追う者は一兎をも得ずを意識しながら、取捨選択しましょう。

 

2.縦位置と横位置、それぞれの特徴

縦位置、横位置

人間の目は横に並んでいるので、横長のほうが違和感なく全体を捉えることができます。
今、試してみてもらうと分かりますが、左右に目を動かすのと、上下に動かすのとでは、明らかに左右のほうが楽なはずです。

横長の画面はパッと一目見て、印象を受けることができます。
一方の縦長だと、人は能動的に目を動かして画面全体を見ることになります。

それぞれの特徴を列記します。

①横位置
安定的、静的、安心感、説明的、客観的

横位置は安定的なだけに、場合によっては面白みがなく、状況報告的または平面的な印象を受けることがあります。
その一方で、見飽きない絵、いつまでも安心して見ていられる絵、懐かしさを感じさせる絵などを目指すときは鉄板とも言えます。

 

②縦位置
不安感、動的、緊張感、意図的、企み、主観的

視線の誘導に成功すれば奥行きを感じさせたり、奥から手間に迫ってくるような迫力を感じさせたりできます。
ただし、人間の目が横に並んでいるのにあえて縦位置ということは、見る人にとって左右をカットされているとも言えるため、狭いという印象を受けることもあります。
画家、画人の意図をストレートに伝えやすいとも言えます。

 

3.フレーミング、寄りと引き、構図との相性

フレーミングは枠決め、
寄りと引きはズームインとアウト、
構図というのは三分割構図とか三角構図、対角線構図などの構図です。

主に描きたい主役があるとして、背景との兼ね合いで縦位置か横位置か決める方法もあります。
構図は主役を引き立てるためのものですから、脇役にもある程度の面積を割いてあげないと機能しません。
主役だけをデカデカと中央に配置したら構図どころではありません。

構図を機能させたいなら、主役をやや小さくする必要があります。
構図を使うとなれば、何らかの線や流れがあるはずですから、それを活かすためには縦か横かが自ずと見えてくるはずです。

人物や木など縦長のモチーフを描くときは、縦置きが当然と思ってしまうかもしれませんが、あえて引いて周りの景色を入れるのも検討した上で縦か横か決めるともっとよくなります。

 

4.余白、空間にも配慮する

背景に何の線も流れもない単なる空間が余韻となる場合があります。
余韻や余白のない絵は息が詰まったり、緊張感を生む場合があります。

そういうテーマであれば、わざとそうしていいのですが、そうでなければ意識して余白を作りましょう。
初心者の方は、空白を手抜きと思われたくない、とにかく詰め込みたいというプレッシャーを感じたりするものですが、そこは勇気をもって「何もしない」をしましょう。

余白を活かすためには縦か横かと考えるようにしたら、空間の広がりも意識できるはずです。
余白や空間も企みの一つなのです。

 

まとめ

モチーフを活かすために縦位置か横位置かを決めるのが基本です。
その際、モチーフを少しでも大きく描くために縦横を決めるのではなく、背景や脇役を活かす方法を考えて決めると、思考の跡が絵にも反映されます。

人物だから縦置き、みたいに決めつけずに、試行錯誤してみてください。

 

               (以上です)

 

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