風景画の構図

ジグザグ(Z字)構図とは 基本とコツ(風景画の描き方 構図編)

S字構図に似たものにジグザグ構図(Z字構図)があります。
S字はそれを思わせる強い線が必要ですが、ジグザグ構図はもっと自由で応用範囲の広い使い方ができます。

写真は現存するものしか写せませんが、絵は勝手に追加したり移動したりの創作ができるので、その辺りも一緒に解説しています。

 

この記事で説明する項目の一覧です。 

1.ジグザグ(Z字)構図とは
2.奥行きを強調する使い方
3.リズム感を強調する使い方
4.まとめ

 

それでは個別に解説していきます。

1.ジグザグ(Z字)構図とは

モチーフをジグザグに配置したり、Z字を感じさせる強い線のある構図です。
3通りあるのでそれぞれ説明します。

①ジグザグの線
川や道路などの1つのモチーフがジグザグになっている構図だとS字構図とほぼ同じになりますが、複数のモチーフでジグザグの線を作っているとより面白みが出てきます。

 

②ジグザグの配置
単純な例だと、牧草地に牛がジグザグに並んでいて、奥へ行くほど狭く密集しているように見えるというパターンがあります。
大きいものだと山、小さいものだと花などの配置が考えられます。

実際の線がなくても、横一列に木や花などが高いのと低いのが交互に並んでいるような場合もジグザグの線を感じます。

同じ高さの木でも奥まったものは低く見えるので、近い木と遠い木が交互に並んでいればジグザグのリズムを感じます。

 

③折り重なる帯
近景→中景→遠景と並んでいる3つの景色がすべて水平な横線で区切られていると単調になります。
折り重なる山々などがナナメの線で交互に重なると動きが出てきて、奥行きも表現できます。

 

2.奥行きを強調する使い方

 

①2次元的な奥行きの出し方

手前はZの底辺が左右に幅広で間隔も大きめであり、奥にいくほど狭くなって密集すると奥行きを強調できます。

 

 

②3次元的な奥行きの出し方

手前は高さも横幅もあるけど、左右交互に配置されたものが少しずつ小さくなると、高さで強調された奥行きが出せます。

雲や木を手前は大きく、奥は小さくしつつジグザグに配置する構図が考えられます。

例えば、街路樹が左右同じ位置に植えられていて、それがペアになっているとします。
木のペアがたくさん、ずらっと奥まで続いている場合、キッチリし過ぎて、面白みがないかもしれません。
そういうときは、わざとズラしてジグザグに配置すると、変化や動き、面白みが出てきます。
写真とは違うので、モチーフを移動させたりするのは全然OKです。

 

 

③折り重なる帯と空気遠近法

手前は上下幅があるけど、奥にいくほど上下幅が狭くなり、さらに空気遠近法にのっとり白っぽく、または青みがかった淡い灰色になるとかなりの距離があるように表現できます。

 

3.リズム感を強調する使い方

ジグザグ構図は奥行きを出すだけのものではありません。
左右または上下に交互に配置することで、画面全体を広く使ってリズム感を出すことができます。

例えばヨット、小舟、ヨット、小舟みたいにモチーフの大小でリズムを作るような使い方もあります。

絵は写真と違って、モチーフを動かしたり、追加や削除も自由です。
ヨットや小舟を動かして、リズムを感じさせるように配置し直したりすることもOKです。

 

5.まとめ

1)ジグザグ(Z字)構図とは
モチーフをジグザグに配置したり、Z字を感じさせる強い線のある構図です。
種類としては、ジグザグの線、ジグザグの配置、折り重なる帯などがあります。

 

2)奥行きを強調する使い方
2次元的または3次元的な奥行きの出し方もあれば、折り重なる帯と空気遠近法を併用する使い方もあります。

 

3)リズム感を強調する使い方
ジグザグ構図は奥行きを出すだけのものではなく、左右または上下に交互に配置することで、鑑賞者に画面全体をくまなく見てもらって、リズム感を出すことができます。

 

(今回は以上です)

 

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