三角構図は風景画を描くとき、押さえておきたい基本の構図です。
モチーフを大きく扱いたいけど、日の丸構図ばっかりで成長できないという方や初心者の方むけに解説します。
この記事で説明する項目の一覧です。
1.三角構図とは |
※解説する前に一言。
管理人は「風景画は構図が8割」と考えています。
構図がマズイと圧倒的な描写力をもってしても挽回は難しいと思います。
でも構図が面白かったら、技術や画力がイマイチでも、味があるとかヘタウマという状態になるので人から愛される絵になります。
それでは個別に解説していきます。
1.三角構図とは
そもそも構図とはモチーフの配置を工夫して、テーマを伝えやすくしたり、興味を惹きつけて飽きさせないようにするためのものです。
三角構図はモチーフが単体もしくは複数で三角形を構成しているものです。
富士山やピラミッドの例を挙げるまでもなく、人間は三角形を見ると安定していると感じ、安心します。
反対に逆三角形は不安定さを感じたり、変化の予兆や動きを感じたりします。
2.三角構図の基本と種類
①三角形
富士山やピラミッドのように分かりやすい三角形もあれば、下から見上げることで三角形が強調される東京タワーやお城などのパターンもあります。
日本には「末広がり」という言葉があるように、土台がしっかりしたもの、安定したものを好む傾向があるようです。
ただし、三角形構図はありきたり、平凡と言われる危険性もついてまわります。
左右均等の二等辺三角形にはならないように、どちらかに傾かせたり、どちらかの辺を長くするなどの変化をつけるといいでしょう。
②逆三角系
クロード・モネ「オンフルールのバヴォール街」
上図は✕構図とも放射線構図ともいえる構図ですが、空が逆三角形になって目立っているので例として挙げています。
建物が続く街並みは屋根の高さが同じであれば逆三角形の空ができているはずです。
スカッと晴れた青空なら手前のほうが広くなっているので開放感がありますし、雲天であれば先行きの不安を暗示させられます。
木が天に向かってバンザイするように伸びて逆三角形になっているときは、未来へ羽ばたく明るいイメージを伝えられるかもですね。
③複数で三角形
アンリ・ファンタン・ラトゥール「Asters and Fruit on a table」
例えば3つのモチーフを横一列に並べるのではなく、三角形に並べる構図は静物画でよく使われます。
真ん中の物を奥側に置くか、手前に置くかで意味合いが違ってきます。
風景画の場合、見たままだけでなく、モチーフを勝手に加えたりしていいので、目立つ木を動かして三角形に配置し直すというのもアリです。
3.三分割構図 使い方のコツ
①奥行きを強調するために使う
レールや道路が遠くの1点からコチラに迫るように広がるのは遠近感が強調されて奥行きを感じます。
また別の例では、手前の左右に大きな緑の木、中央の遠くに桜の木を配置したらどうでしょう。
手前の木は大きいけれど脇役になりますよね。
この場合、空は逆三角形になるので、動きも出てきます。
さらに手前の左右のどちらかの木を中景にして、近景→中景→遠景となるように配置するとリズムも出てきます。
②迫力を演出するために使う
奥からコチラへ迫ってくるような使い方もあれば、下から見上げる、いわゆるアオリの視点で使うという方法があります。
三角形の底辺が画面(画用紙やスケッチブック)の手前いっぱいに広がっていて、ギュッと中央の頂点に集まるとエネルギーが凝縮されたようなパワーを感じます。
大木を下から見上げると上のほうで枝が360度放射状に広がっているので、凝縮されたエネルギーが一気に解放されているようにも見えます。
③安定感、落ち着き、静けさのために使う
どっしりと安定した三角形のものをドンと中央に描くだけでは面白くないので、そのモチーフを中景にして、手前に花や木々などを描くと奥行きも表現できます。
秋や冬の景色を描くときにもいいかもですね。
五重の塔が三角形になり、背景が紅葉とかであれば静けさも表現できそうです。
4.まとめ
1)三角構図とは
三角構図はモチーフが単体もしくは複数で三角形を構成しているものです。
安定感や奥行きを表現するのに適しています。
逆三角形の構図は不安定さや、動きや変化の予兆を感じさせたりします。
2)三角構図の基本と種類
モチーフ自体が三角形、逆三角形のものと、複数で三角形を作るものがあります。
複数で作るものは奥に向かってジグザグに配置すると遠近感を表現できます。
3)三分割構図 使い方のコツ
奥行き、迫力、安定感といった真逆に近いような使い方もできます。
奥の1点からコチラに迫るように大きくなる道路やレールは奥行きと同時に迫力も感じさせます。
(今回は以上です)