風景画の建物ってなかなか厄介ですよね。
細かい所まで描き込むのは面倒と思ったり、また描いているうちに歪んだり、傾いているみたいになったりしたことはないですか?
そういう悩みをこの記事で解決できるかもしれません。
よかったら読んでいってください。
この記事で説明する項目の一覧です。
1.建物を描く簡単なコツ |
それでは個別に解説していきます。
1.建物を描く簡単なコツ
忙しい人、初心者の人むけにササッと読める簡単なコツをまず書きます。
①建物を主役にするなら覚悟が必要
②パース(透視図法)の基本だけ守る
③近景→中継→遠景の「近中遠」を意識する
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※もう少し詳しく知りたい方や、コツの元となった理由などを知りたい方は引き続き読んでみてください。
2.建物は主役? 脇役なら徹底して手抜きを
※上の画像……右奥の建物が邪魔で、どれが主役か分からない
※下の画像……建物がなくなり、木陰のひっそりとしたベンチが引き立つ
建物は主役ですか? 脇役ですか?
まずそこをハッキリさせましょう。
キレイな景色の中にたまたま建物があったのか、町並みや建物自体がステキで主役にしたいと思ったのか、どちらかではないでしょうか。
初心者の方は建物を主役にするのは止めたほうがいいとはいいませんが、それなりに時間がかかると覚悟してください。
テーマとしては後回しでもいいと思います。
自然物をメインに描くのを優先して、人工物などの建物がある風景は上達してからでもいいですし、どうしても描かざるを得ないときはマンションやビルはいっそのこと削除するか、単なる箱みたいに描きましょう。
遠景のビル群なら白黒でも十分です。
というか、そもそもその建物、本当に描く必要あるの?と自問自答して、こだわりがないなら手抜きすることを優先しましょう。
人間の集中力には限りがありますから、脇役の建物で消耗しないようにしましょう。
※下の画像は建物群を白黒加工したもの
※主題やテーマが雲間から覗く光の筋であれば、建物群は大幅に省略してOK
さらにいうと高圧電線とか鉄塔とか橋などの人工物も面倒です。
写真じゃないので野暮なモチーフを削除したり移動させたりするのは描く人の自由です。
3.パース(透視図法)の基本だけ押さえる
どうしても建物を描きたい人、描かざるを得ない人のために簡単に解説します。
建物の窓などの平行線はすべて水平線上の一点(消失点)に収束します。
水平線=観察者(あなた)の目線の高さです。
建物の窓や何らかの平行線を見つけて、それが右下がりか右上がりかチェックしてください。
どちらでもない中間の辺りが水平線になります。
透視図法は平行線が集まる点=消失点の数によって3種類に分けられます。
①1点透視図法(消失点が1つ)
②2点透視図法(消失点が2つ)
③3点透視図法(消失点が3つ)
※横方向の平行線の集まる消失点が水平線上にないと、その建物は傾いているように見えます。
水平線より上に消失点があると、その建物は手前側に傾いていることになります。
4.建物の配置。日の丸構図にしない
いくら建物がステキだからといって、真ん中にドンと置かないようにしましょう。
建物の魅力に頼りすぎることになります。
また建物に寄りすぎてクローズアップで描くと、建物の紹介カタログみたいな雰囲気になってしまいます。
構図が分からないときは「近中遠」を意識しましょう。
近景→中景→遠景です。
建物を中景にして、手前と奥に何かを描くことで建物を引き立てる脇役になってくれます。
5.まとめ
①建物は簡素化、または省けないか検討する
建物を主役にするなら、かなりの時間がかかると覚悟する。
脇役なら徹底して手抜きを考えましょう。
ビルやマンションは単なる箱みたいに描くので十分。
いっそのこと省いてしまって描かないという選択肢もあります。
②パース(透視図法)
いろいろ書きましたけど、水平線と消失点だけは覚えていってください。
窓などのすべての並行線は水平線上の消失点に集まります。
これさえ押さえておけば建物が傾いたり歪んだりすることがなくなります。
③建物の配置と構図
いくら建物がステキだからといって真ん中にドンと置く日の丸構図にしない。
「近中遠」を意識する。
建物を中景にして、手前と奥に何かを描くと画面に広がりと奥行きができて、鑑賞者も心地よく見られます。
(今回は以上です)