放射線構図は自然界でも注意深く見てみると、見つかるものです。
山の稜線と湾岸線と水平線がぶるかるのも広い意味では放射状といえます。
街中でも例えば駅構内で一番奥まったところを見れば、プラットホームや電線、線路などが正面から放射状に広がっているのが分かります。
放射状に見える線があれば、とりあえず撮影しておいて、後で絵に使えるかじっくり考えるのもいいでしょう。
この記事で説明する項目の一覧です。
1.放射線構図とは |
それでは個別に解説していきます。
1.放射線構図とは
ある一点から放射状に複数の線などが広がっている構図、または複数の直線が遠くの一点に収束している構図です。
遠くの一点は水平線上の消失点になることが多いですね。
消失点とは遠近法や透視図法において、平行な直線が集まる点のことです。
(※タイルに囲まれた空間ですが、線が集中するところから推測すると、撮影者の目線は黄色線の高さにあったことが分かります。)
線路や道路、それらに付随して並行して設置されている構造物の直線も消失点に収束するように集まっていきます。
奥行きや広がりを表現できるため、画面に動きと迫力が出てきます。
2.放射線構図を用いる意味と効果
使う意味や目的としては、放射状に広がっていくことで空間の広さを訴えることや、一点集中みたいに鑑賞者の視線をギュッと集めることが考えられます。
例えば、奥の一点に線が集中しているとして、その中心部(消失点)に人物の頭を重ねたとしたら、鑑賞者は嫌でも人物に視線誘導されます。
こういった使い方は演出の意味合いも出てきますね。
また木々の間の木漏れ日や、雲間から下りてくる太陽の光が放射状に広がっていれば、神秘的で厳かな雰囲気や穏やかさを表現できます。
また開放感や躍動感を表現したいときにも有効です。
3.放射線構図の作品例
ど真ん中の中央から360度の放射状に線が伸びていれば分かりやすいですが、それだと分かりやす過ぎて日の丸構図みたいになりかねない場合もあります。
よって、巨匠の方々はいろいろ描き込んだりして単純な構図にはしていません。
放射状に伸びる線を右か左に寄せるだけでも印象は変わります。
作品を見てみましょう
レオナルド・ダ・ヴィンチ「受胎告知」1475年頃
レオナルド・ダ・ヴィンチ「最後の晩餐」1498年
ラファエロ「アテナイの学堂」1510年
ターナー「ヴェネツィアの大運河」1835年頃
モネ「サン・ラザール駅」1877年
ゴッホ「秋のポプラ並木」1884年
補足
放射状に広がる元のところ、中心に視線を集めることに成功したら、その後どう料理するかは画家の腕の見せどころです。
そのままという場合もあれば、視線をさらに誘導して画面の隅々まで巡回するような仕掛けをしている場合もあります。
どれが正解という訳ではなく、いろんなパターンがあるので、画家の意図を想像してみてください。
(以上です)