風景画の構図

二分割構図とは 基本と使い方(風景画の描き方 構図編)

二分割構図は画面を二分する長いものがある場合と、上下対称や左右対称になっているものなどがあります。
いくつか種類があるので整理してみました。
押さえておくと便利なコツも解説しています。

 

この記事で説明する項目の一覧です。 

1.二分割構図とは
2.二分割構図の基本と種類
3.二分割構図の使い方、コツ
4.まとめ

※解説の前に一言。
管理人は「風景画は構図が8割」と考えています。
構図がマズイと圧倒的な描写力でも挽回は難しいと思います。
でも構図が面白かったら、画力がなくても味のある絵になれます。
画力の向上は時間がかかりますが、構図は簡単に学べますので、ココで基本を押さえていってください。

 

それでは個別に解説していきます。

1.二分割構図とは

ある線で画面が二分割されている構図です。
ある線とは水平線だったり、東京タワーや背の高い木だったりします。左右対称などの場合は具体的な線はなくても構いません。

横や縦どちらの二分割もあります。
ただしナナメの分割は対角線に近ければ、対角線構図に分類されます。

分割する線を境にして色みが変わることもあれば、変わらないままというのもあります。
例えば背の高いタワーやビルで画面(画用紙やスケッチブック)が二分されても背景がとくに変わらない場合、ちょっと面白みに欠けるので、手前で何かの工夫を加えたほうがいいかもです。

 

2.二分割構図の基本と種類

①水平線で分割
クールベ「波」、二分割構図
ギュスターヴ・クールベ「波」

空と海というのがよくある分かりやすい二分割です。
なので、空と大地でも構いません。
大地というのは山々も含めます。

 

②縦線で分割
(1)壁などの面で分割
ビルの壁と、その隣の奥へと伸びる道路みたいにビル側と道路側でガラリと色みが変わる場合などがあります。
色だけでなく距離感が近景→遠景とハッキリ分かれているパターンもあります。

(2)背の高いものの線で分割
背の高いビルやタワーなどで画面を二分割しているパターンがあります。
ただポツンと背の高い何かがあるだけだと寂しいので、地面の辺りかどこかで何かのモチーフを加えたほうがいいかもしれません。

 

③ナナメの線で分割
線路や道路がナナメに走り、空や海などvs陸という対立があれば、二分割構図になります。
ただし、ナナメ線が対角線の近くなれば対角線構図と呼ばれます。

 

④シンメトリー

左右対称または上下対称になっている構図です。
画面を二分するような線はとくに必要ありません。
上下対称は水に映った景色をとくにリフレクションといいます。
しずかな海や湖に映る富士山、ウユニ塩湖などが有名です。

 

3.二分割構図の使い方、コツ

3-1)分割線の位置
ど真ん中で二分すると面白みがなくなるかもしれないので、左右か上下どちらかに動かして、1番シックリくる位置を探してください。

画面(画用紙やスケッチブック)の端から3分の1のところまで動かすと、もうそれは三分割構図と呼ばれます。

 

3-2)二分割構図にする意味

①安定
水平線をナナメにせず、きっちり水平にすることで安定感がでます。
落ち着き、静けさ、穏やかさ、癒やしなどをテーマにするときに有効です。

 

②対比

赤いチューリップ畑と青空の対比


チューリップの色の対比

空と海のような分かりやすい対立があると使いやすいですね。
赤と黄色のチューリップ畑みたいな色の対比もありますし、明と暗、動と静などの対比も考えられます。

対立があって、互いが互いを高め合う、引き立て合うような関係になっているとさらに面白くなります。
対比を意識するのが二分割構図を使いこなす1番のコツかもですね。

 

③対称

人工物は左右対称のものがたくさんあるので、ど真ん中に置いたら画面を二分割する線がとくに無くても、簡単にシンメトリーの二分割構図になります。
簡単な分、コンセプトをしっかり考えないと鑑賞者にテーマが伝わらなくなってしまいます。


水にモチーフが映るリフレクションは鑑賞者の関心を惹きやすいですが、飽きやすいかもです。
いわゆる見たまんまというやつです。
そこに見えているもの以上の何かを加えたいですね。
おそらく無風だから水面が鏡みたいになっている訳なので、ベタですけど静けさや静寂、孤独みたいな雰囲気を強調するのが考えられます。
逆に動きのあるものをリフレクションに映すと面白いかもです。

 

4.まとめ

1)二分割構図とは
ある線で画面が二分割されている構図です。
ある線とは水平線だったり、何らかの強い縦線だったりします。

 

2)二分割構図の基本と種類
分割するのは水平線、縦線、ナナメの線があります。
シンメトリー(上下、左右対称)の場合は具体的な線は無くても構いません。

 

3)二分割構図の使い方、コツ
二分割する線をど真ん中ではなく、上下左右どちらかに少し動かして、1番シックリくる位置を探しましょう。

また二分割構図を採用しようと思ったら、描く前に考えてみましょう。
狙うのは安定感なのか対比なのか、シンメトリーの面白さなのか、一度自分の中で整理するとテーマがより伝わりやすくなります。
初心者の方が使いこなすコツは対比を意識することです。

 

(今回は以上です)

 

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