アクリル絵の具の基本

■アクリル絵の具のメリット、デメリット(後編)

2021年11月25日

メリット、デメリット

前編はコチラ

 

アクリル絵の具は便利とよく言われますが、いいことずくめのはずはないので、ちょっと整理してみます。
ちなみにアクリル絵の具とアクリルガッシュは別物です。
ここで解説するのはアクリル絵の具です。

 

この記事で説明することの一覧です。

◎アクリル絵の具のデメリット →すべて解決策あり
メリットは前編で解説しています)

1.速く乾いてしまう
2.乾くと洗っても落ちない
3.重ね塗りに根気がいる(隠蔽力が弱い)
4.色が派手と感じる場合がある

 

それでは個別に解説していきます。
◎アクリル絵の具のデメリット →すべて解決策あり)

1.速く乾いてしまう

これはメリットでもあり、デメリットでもあります。
速く乾くことで画面上での混色やグラデーションをする時間が少ないということです。

だいたい10分間くらいで乾くので、塗った直後にやる意識でいれば大丈夫です。でも、ちょっと他のことをしたり、別の箇所を塗ったりしていると、もう乾いてしまいます。
一度乾いてしまうと強固になるので、画面の上で混色したり、グラデーションを作ったりというのはできなくなります。

どうしても気になるときの解決策としては、リターダーという遅乾材が売られていますので、それをほんの少し混ぜると乾きを遅くできます。

 

2.乾くと洗っても落ちない

乾くと耐水性になるメリットの裏返しですが、乾いたら水で洗っても落ちないので、筆などは固まったり、毛先が割れたり広がったりします。
布は水洗いではまず落ちません。

解決策としては、専用の剥離剤が販売されているので、どうしても汚れを落としたいときは試してみましょう。
アクリル絵の具に慣れるまでは、床を汚す予防にブルーシートを敷いたり、汚れてもいい服を着たりするなどの予防策も考えてください。

 

3.重ね塗りに根気がいる(隠蔽力が弱い)

アクリル絵の具は色によって、透明、半透明、不透明と分かれています。
透明色を使って重ね塗りすると、なかなか下の色が隠れてくれず、イライラするかもしれません。
しかし、そういうものだと割り切ってしまえば慣れます。
ドライヤーで乾かして塗るというのを1セットとして考えて、3~5セット繰り返せば大抵は隠れてしまいます。

面倒くさい場合の解決策としては、不透明の白(チタニウムホワイト)をいったん先に塗ってしまうことです。
その上に透明色を塗れば、下の色は消えてくれます
。白が不自然なら、塗りたい透明色と白を混ぜた色でいったん塗るといいでしょう。
その上に本来の塗りたい透明色を塗るのです。

ただし、隠蔽力が弱いというのはメリットでもあるんです。
何度も重ね塗りしたら、ものすごく色に深みがでます。
カラーフィルムを何枚も重ねるのと、濃い色のカラーフィルム1枚だけのものとを比較したら、前者のほうが奥行きと深みがあるのと似ています。
これは水彩絵の具にはできない芸当です。

 

4.色が派手と感じる場合がある

アクリル絵の具は顔料とアクリル樹脂でできています。
乾くとアクリル樹脂は透明になるので、顔料の色がそのまま表に残る感じになります。
これを鮮やかと感じるか、派手と感じるかは個人差がありますが、なかにはどぎついと感じる人もいるかもしれません。

解決策としては、混色するか、薄い灰色か別の色をグレーズ(とっても薄い上塗り)することです。
薄っすらとフィルムのカバーをかけるイメージです。
乾いた後で、サ~ッと全体的にグレーズするのです。

もう1つの解決策はマットメディウムというツヤ消しの仕上げ剤を使うという方法もあります。
テカテカした表面をツヤ消しにしてくれるニスみたいなものです。
作品の完成後に塗ると、全体的に落ち着いた印象になります。

 

 

補足
ここまでデメリットを述べてきました。
すべて解決策も示してみたので、気分的なハードルは下がったのではないでしょうか。
アクリル絵の具はトータルで見れば、デメリットを上回るメリットがあると思いますので、ぜひチャレンジしてみてください。

 

               (以上です)

 

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