アクリル絵の具は使ってみると便利ですが、未経験の方はいろいろと分からないことが多くて不安に思う部分もあるかもしれないので、メリット・デメリットを整理してみます。
前編でメリットを紹介して、後編でデメリットを解説します。
(先にデメリットを知りたい人はコチラ)
ちなみにアクリル絵の具とアクリルガッシュは別物です。
ここで解説するのはアクリル絵の具です。
この記事で説明することの一覧です。
◎アクリル絵の具のメリット 1.他の絵の具でできることはほとんど可能 |
それでは個別に解説していきます。
◎アクリル絵の具のメリット
1.他の絵の具でできることはほとんど可能
アクリル絵の具は、油絵の具みたいな厚塗りも、水彩絵の具みたいな薄塗りもできます。
水をたっぷり使った「にじみ」「ぼかし」の技法も使えます。
他には、スクラッチアートや、ドリッピング、マーブリングという筆で描くのではない新しい技法も楽しめます。
アイデア次第でさらに使い方は広がります。
2.速く乾く。乾いたら耐久性があり、屋外でもOK
速く乾くというのは作業効率がよくなることを意味するので楽です。
なかなか乾かないので進められないというストレスは感じずに済みます。
ドライヤーを使えば、さらに速く乾きます。
また乾いたらアクリル樹脂の強固な皮膜ができるので、屋外で使っても大丈夫です。
壁画にも使えます。
3.重ね塗りができる(下の色がにじまない)
水彩絵の具にない特徴です。
水彩絵の具は乾いても上から色を重ねると少しなら大丈夫ですが、やり過ぎたら下の色が滲んで混ざってしまいます。
アクリル絵の具は一度乾いてしまえば耐水性があるので、どんどん色を重ねることができます。
透明性が高いため、一度で塗りつぶしができない場合も多いので、そういうときはドライヤーで乾かして塗るというのを繰り返します。
薄く溶いた色を重ね塗りするとカラーフィルムを重ねたような深みのある光沢を表現できます。
これができるのは油絵の具とアクリル絵の具だけですが、油絵の具は乾くのに最低でも1週間はかかるので簡単にはできません。
アクリル絵の具はドライヤーで乾かせば数分後には重ね塗りできます。
4.失敗しても修正が簡単
重ね塗りできることと似たような意味ですが、重ね塗りができるということは、やり直しが簡単にできるということです。
水彩絵の具は一発勝負みたいなところがありますが、その点アクリル絵の具は修正できるので気が楽です。
5.(とくに油絵の具と比較して)片付けが簡単、匂いが少ない、化学的な知識は不要
油絵の具を片付けるには筆に付いた絵の具を古布や新聞紙などで拭って、テレピンなどの揮発油かブラシクリーナーという油絵の具を落とす溶液で洗います。
次に石鹸を付けて水洗いします。
慣れれば10分くらいでできますが、筆者は最初、もたもたして30分近くかかってました。
あと匂いですが、油絵の具自体の匂いもありますし、テレピンの匂いも強いので、慣れないうちは頭が痛くなる人もいるかもしれません。
また色によっては混ぜると化学反応を起こして、変色するという組み合わせがあります。
その点、アクリル絵の具は水彩絵の具と同じような取り扱いで構わないので、片付けるのも楽ですし、混色で化学反応を気にする必要もありません。
6.色んな物に描ける
木や布、石、プラスチック製品などいろんな物に描けます。
ツルツルした金属やガラスはそのまま塗ると、後で剥離するかもしれないので、サンドペーパーなどで表面にキズを付ければ、定着しやすくなります。
また発色をよくするためにジェッソという下地材を塗るとさらに定着がよくなります。
7.豊富な添加剤が販売されていて、他の絵の具ではできないようなことが可能
上記のジェッソ以外に、メディウムという添加剤もあります。
こちらは質感(テクスチャ)や粘度、乾燥速度の変化、表面の仕上げ処理のために使います。
質感については、ジェルメディウムという物にいろんなものを混ぜて、画面に貼り付けるように塗ることができます。
例えば、砂やラメ、ビーズなどを練り込むことができるので、使い方次第でアートの世界が無限に広がります。
補足
ここまでメリットを解説してみました。
デメリットは後編で説明しています。
デメリットは解決策も同時に示してあるので、結局メリットだけになりそうですが、単純にはいきません。
それでも、デメリットが少なくオールマイティに近い性格を持っているのも確かです。
面白そうだなぁと思ったら、ぜひチャレンジしてみてください。
(デメリット:後編はコチラ)