絵のお悩み解決

■絵が下手と思ってしまう原因、特徴、練習法7選(後編)

2021年11月20日

絵が下手,悩み,練習法

自分の絵が下手で楽しくないと落ち込んだり、悩んだりしている人、なかなか上達しないという人に役立つかもしれない練習法などの後編です。
前編はコチラ

 

まず自分で下手と思ってしまう原因の一覧です。

※1~3は前編で解説しています。この記事では4~7を解説します。

1.想像や記憶で描いてる、下調べしてない
2.直線や丸を描けない、線が汚い
3.人体骨格を理解してない、覚えていない

4.線遠近法(パース)を理解してない
5.色の原理を理解してない
6.立体感を出せていない、平面っぽい
7.光源を意識してない、光と影が不自然

 

それでは個別に解説していきます。

4.線遠近法(パース)を理解してない

2点透視図法

※二点透視図法

線遠近法は、並行する直線の延長線は水平線上の一点に収束するという原則があります。
手前のものは大きく、奥のものほど小さく描くというものですが、どれくらい小さく描けばいいのか分からないときに役立ちます。

また道路に並んで建つビルの窓枠の場合、上辺と下辺の延長線も同じ水平線上の同じ点に収束します。
線遠近法は収束する点(消失点)の数によって一点~三点の線遠近法があります。
詳しくは別記事で解説しているので、よかったら参照してください。
線遠近法の記事はコチラ

 

5.色の原理を理解してない

1) 色相環

色相環,補色
まず基本は色相環です。
12色や20色がぐるりと円状に並べられたのを見たこともあると思います。
混色にも応用できるので、まず12色の並びを覚えましょう。

黄色、青、赤の場所を覚えたら、あとは簡単です。黄色と青の中間は緑、青と赤の中間は紫、赤と黄色の中間はオレンジ色です。まず黄色、青、赤の場所を覚えるのがコツです。

 

① 補色
色相環のある色の対角線(反対側)にある色のこと。
これを隣どうしに置くと反発し、目がチカチカすることがあります。
注意をひくためにわざとペアにすることもありますが、上手に使わないと落ち着かない絵になるので避けたほうが無難です。

②類似色
色相環のある色の両隣を含めた3色を類似色と呼びます。
似通った色なのでなじみやすい特徴があります。

③暖色系・寒色系・中間色系
赤や黄色は暖色系、青や紫は寒色系、どちらでもない緑は中間色系と言われています。

画面全体を寒色系と中間色で配合するとまとまりが出るという使い方が出ます。
また目立たせたいモチーフだけあえて暖色系にするという方法もあります。

 

2)トーン(色調)

トーン,色調

※クリックすると大きな画像に飛びます。

色の彩度と明度の組み合わせでできる色のグループです。
同じグループに属する色だけを使って画面全体を構成するとまとまり感、統一感が出ます。

ビビットは彩度がマックスに近いけど明度は中間の派手な色のグループ、パステルカラーみたいなペールトーンは明度がマックスだけど彩度は白を多めに混ぜたために低くなったグル―プです。

ちなみに彩度は色の鮮やかさの度合いです。
絵の具をチューブから出して、何も混ぜてない状態です。
何かを混ぜたら彩度が落ちる=鮮やかさが落ちる、ということです。

明度は明るさの度合いです。
白黒でいえば、白が明度マックス、黒の明度はゼロです。
ある色に白を混ぜれば明度は上がりますが、混ぜたので彩度は下がります。

さらにいうと純色(チューブから出したまま)でも黄色と青では明度が違います。
鮮やかさはマックスで同じですが、黄色のほうがより明るく感じるものです。
なので彩度は同じ純色どうしの黄色と青でも、トーン(色調)は別グループに属するのです。

同じトーングループに属する色を使うなら、何色使っても統一感は壊れないと言われています。
色使いが下手と思う方は、トーンに気をつけて配色してみてはいかがでしょうか。

 

6.立体感を出せていない、平面っぽい

側面を描いてない
正面から見ると、人も物も立体感を出すのが難しいのはよくあることです。
例えば自動車を真正面から見た状態を絵にしたら、どうでしょうか。
想像しただけでも立体感を出すのは難しそうですよね。

例えば人を描くとき、まず四角で構成されたロボットを思い浮かべてください。
頭は立方体、胴体や手足は直方体。真正面から見たら、正方形と長方形ですが、少し横から見ると側面が表れます。
その全ての側面に同じくらいの薄さで陰を塗ってください。
いやでも立体感が出ます。

次にこの四角のロボットから角を取っていきます。
頭は縦長の球体に、胴体は円柱を前後に潰した感じ、手足は円柱にしていきます。
この際、側面は忘れずに意識してください。
側面の部分は陰を濃く、正面に出てくるところはグラデーションで徐々に薄くしたら、いやでも立体感は残ります。
ただし観察者(アナタ)の背後から光が射していると、日向と日陰の区別がつかないので注意が必要です。
もしモデルさんを見ながらデッサンするときは光源を背負って描かないように位置をずらしましょう。

 

7.光源を意識してない、光と影が不自然

①太陽の位置と影の不一致
太陽が画面(紙やキャンバス)外にあるとき、つい太陽の位置を忘れてしまいます。家や木々の影の方向がマチマチになることがあります。影の方向は統一されて、しかも平行になります。

また、ある物の影は長く、別の物の影は短かったら、季節や時刻がバラバラの印象を与えます。
夕暮れや冬は影が長く、正午近くや夏は影が短くなります。

 

②太陽や光源を背にして描いている
観察者の背後から太陽の光が射していると、影がモチーフの向こう側になり、全部が明るくなってしまいます。
陰影を表現できないので立体感も乏しくなります。

例えば、カメラのフラッシュをたいて正面から顔を撮影したとき、鼻は光で白く飛ぶので、鼻の高さが分かりにくく、表情もベタッとした感じになるのと同じです。

こういう場合、モデルさんもしくはアナタが回転して光が斜め、または横から当たるようにしましょう。
そうすれば、光の当たる側と当たらない側を描き分けることができるので、立体感も出てきます。

 

補足
自分で下手と思う人に、どれか一つだけアドバイスと言ったら、やっぱりクロッキー(速写)がオススメです。
とくに人物の全身像が効果的です。
1枚を1~5分間くらいで線だけで描きます。

上手くなるためにはとにかく数を多く描けとあらゆる人が言っています。
1枚の絵に1ヵ月かけて描き込んでも1枚ですが、その間にクロッキーで1日10人を写したら、300人ものプロポーション、バランスを勉強できます。
クロッキーと線遠近法を理解したら、歪みはかなり減るので、1ヵ月もあれば上達したと実感できます。

 

               (以上です)

 

-絵のお悩み解決

© 2024 アクリル絵の具で自由画人