透明なものをアクリル絵の具で描くのは難しそうですが、やり方があります。
その中でも初心者の方ができそうな方法を3つ紹介します。
写真そっくりのリアリティを追求するのではなく簡易版ですので、よかったら試してみてください。
この記事で説明する透明感を出す方法の一覧です。
透明感1.端を濃くする 透明感2.半透明の部分を描く 透明感3.ハイライトを入れる |
それでは、個別に解説していきます。
透明感1.端(はし)を濃くする
例えば、葉っぱに乗った水滴を想像してください。
完全に透明だと人間は水滴を認識できないはずです。
透明でない部分があるから、「あ、水滴だ」と気づく訳です。
透明でない部分とはどこでしょうか?
端っこです。
周囲を円状に黒っぽく塗ります。
単純な黒ではなく下の色を濃くした色、ここでは葉っぱの緑色を濃くした色のほうがよりリアルです。
この場合、単に濃い色で縁取りしただけでは、水滴の盛り上がり、立体感を表現できないので、グラデーションにします。
端は濃く、中心に近づくと薄く。
水滴を直径1センチくらいで描くとき、グラデーションと言っても幅2ミリくらいでしょうか。
細かな作業です。
面倒ならそれぞれ1ミリくらい濃い色、薄い色と二段階で塗るという方法もあります。
透明感2.半透明の帯を描く
①ガラス窓
上記は立体の水滴を例に解説しましたが、平面のガラスの場合はどうでしょうか。
ガラス窓を屋外から見るのか、室内から見るのかで違ってきます。
昼と夜でも異なります。
昼の屋外から見たら、ガラス窓に何かが反射して映っているはずです。
夜に屋外から室内を見たら、ほぼ透明になっているはずです。
いろんなケースがあるので、広く使えそうなものだけ書きます。
観察して描けるならそれが一番です。
そうでないなら以下の方法が使えるかもしれません。
上記1.の水滴は端を濃くすることで存在を認識してもらいましたが、ガラス窓の端は枠なので濃くしようがありません。
そういう場合は、一部を半透明の帯にしましょう。
描き方としては、まずガラスは無いものとして、ガラスの向こう側の景色を描きます。
次に半透明の帯を描くのですが、必ず「透明色」を使ってください。
半透明にしたいからといって「半透明色」を使うと、思った以上に塗りつぶしてしまって、また奥の景色から描き直すハメになるかもしれません。
根気がいりますが、透明色を何度も乾かしながら重ね塗りをしていくと、そのうち半透明になるので、止める頃合いを見つけやすくなります。
一発で塗ろうと思わないのがコツです。
灰色で半透明の帯を塗りたいとき、灰色を混色で作る場合、黒に透明色はないので、白は必ず透明色を使います。
そして薄く水で溶いて、薄っすらと塗っていきます。
きっちりとした直線が必要になるので、マスキングテープを使ったほうが楽です。
逆の方法もあります。
ガラス窓の全体を薄っすらと薄い灰色で重ね塗りして、一部を真っ白の帯にする方法です。
光が反射しているイメージですね。
②ガラスコップ
コップの向こう側の色を薄っすらと塗ります。
縁(ふち)にかかるところは向こう側の形が歪んでいるはずです。
縁(ふち)は上記①と同じで濃くします。
光の方向を意識して、光の来る側を薄めに、反対側を濃いめの半透明で塗ります。
透明なコップといっても、よく観察すると所々すごく黒いところもあるので、そういう場合は、躊躇せず黒く塗りましょう。
そうすることで、それ以外の部分の透明感が増します。
③波打ち際
波が崩れた泡で表現します。
例えば、南の海の場合、波打ち際はエメラルドグリーンのキレイな色ですよね。
Alexandra_Koch from Pixabay
手前から順に、砂浜の色、泡の線、帯状の砂浜の色、帯状のエメラルドグリーンの海、青い海で塗ります。
こうすると泡だけ砂浜の上に飛んできたみたいになるので、所々エメラルドグリーンで塗ります。
すると砂浜の色のところは透けて見えているんだなと鑑賞者が解釈してくれます。
ちょっと不自然かなと思うのなら、泡の線を斜めにも追加します。
泡の粒を沖の方に連続で打つのもいいでしょう。
泡と砂の色の組み合わせで波打ち際の透明感が表現できます。
透明感3.ハイライトを入れる
水滴やコップを例にします。
ハイライトとは一番明るい場所のことです。
水滴やコップは光の来る方向とは逆の、一番暗い所に真っ白な点を描きます。
水滴のハイライトは楕円形より縁に沿って曲がった長方形のほうがいいでしょう。
明るい部分に白を入れても目立ちませんが、一番暗い所に真っ白を描くことで光が透明な部分を屈折しながら通過してきたことを表現できます。
追記
上記文章の間に挿入している画像と、説明している内容が一致してないと思った人もいるかもしれません。
もし見本となるモチーフがあるのであれば、そのとおりに模写したほうがいいのは当然なので、そちらを優先してください。
その一方で、写真そっくりを再現するのは難しいという人や、手本となる写真がないという人は上記を試してみてください。
簡略化した方法なので初心者の方にも再現性があるはずです。
くれぐれも透明感の表現で燃え尽きないように。
まずは作品を完成させましょう。
(以上です)