絵のお悩み解決

■風景画の描き方とコツ 初心者むけ

2021年10月30日

風景画、シスレー、「La Seine Au Bas-Meudon」

アルフレッド・シスレー「La Seine Au Bas-Meudon」

初心者の方に便利な「スマホで撮った写真を見ながら風景画を描く方法やコツ」を紹介します。

目星を付けていた場所へスケッチに行くこともあるかもしれませんが、大抵の場合はキレイな景色を見た時にとりあえずスマホで撮影して、後から家などで時間のあるときに描くのではないでしょうか。

現場でスケッチするのは、初心者の場合、人目が気になって恥ずかしいという気持ちが出てしまうかもしれません。
なので、この記事では「スマホで撮って、画像を見ながら描く方法とコツ」を中心に解説していきます。

 

スマホで撮って、画像を見ながら描く方法の手順一覧

1.カメラのガイド線
2.構図を工夫する
3.配置して下書き
4.欲張らない
5.遠近法
6.太陽の位置を意識する

 

それでは、個別に解説していきます。

1.カメラのガイド線

三分割構図、ガイド線

スマホのカメラにはガイド線といって画面に「3x3の9等分にする線」を表示する機能があります。
それをまず表示させます。
ほぼ全ての機種に搭載されているはずですが、どうしても見つからないときは以下の考え方だけ理解してください。

 

2.構図を工夫する

簡単で一生使えるテクニックが三分割構図です。
大切なので、是非ここで覚えていってください。


(厳密にガイド線の上に乗せなくてもOK。上下左右にカメラを動かして、しっくりくるフレームを見つけましょう)

 

面白いと思ったモチーフ(対象物)が風景の中で見つかったら、縦のガイド線の左右どちらかと重ねて撮影します。
別の言い方をすれば画面の左端から1/3のところか、2/3のところに主役を持ってくるということです。

ど真ん中は1/2ですが、これだと日の丸構図という面白くない構図の見本みたいになるので、なるべく避けましょう。

次に上下の設定です。
遠景であれば、地平線か水平線を、上か下の横線に合わせます。
下の線に合わせれば、空が広くなりますし、上の線に合わせれば、地面が大きくなります。
街中で撮影しているので地平線も水平線も見えないよというときは、近景・中景・遠景と3段階になるように意識してください。

 

3.配置して下書き

スマホ画像の縦横比と、描きたい紙やスケッチブックの縦横比が同じということは、ほぼないでしょう。
おそらくスマホ画像のほうが横長(または縦長)になっているはずです。

主役であるモチーフ(対象物)を描きたい紙などの左端から1/3のところか、2/3のところに配置するというのは同じです。
実際に紙などに描く前に、紙に薄く線を引いて9等分にしましょう。

ものすごくザックリでいいので主役も脇役も配置してみて、全体としてバランスが取れていると感じれば、本格的な下書きに入ります。
気に入らなければ主役を上下左右に動かして、さらには拡大縮小してみます。

拡大というのはトリミングと同じことですね。
主役をクローズアップして、余計な脇役をカットすることです。

 

4.欲張らない

あれもこれもとモチーフを詰め込んだら、テーマがボヤケます。
初心者のうちはモチーフを絞って、シンプルな構図を心がけましょう。
さらにビルやマンションなどの人工物も窓がいっぱいあって、描くのが大変です。

美しいと思った心情を画面上に再現するのが大切なので、取捨選択してシンプルな画面構成にしましょう。
極端な話、本物の風景の中に野暮な人工物(例えば高圧電線や鉄塔など)があれば、描かなきゃいいんです。
カットしても全然OKです。

 

5.遠近法

風景画、ジョン・ウィリアム・カシリア「Landscape」
ジョン・ウィリアム・カシリア「Landscape」
(米国の風景画家、ハドソンリバー派)

 

遠近法には以下の基本があります。

・ 遠くのものは小さく、ぼやけて見える

・ 近くは鮮やかな色でも、遠くのものは霞んで青みがかった薄い色に見える

・ 近くのものは上下の幅があり、遠くのものは上下の幅が狭く、水平線近くでは潰れて一つの線に見える

・ 近くのものは細部までしっかり描き込み、遠くのものは簡略化して描く

・ 道路や線路などの平行した直線は水平線上の一点に収束する。道路脇にあるビルの窓枠の延長線も、すべて上辺と下辺は水平線上の同じ一点(消失点)に収束します

 

難しい言葉でいうと線遠近法とか空気遠近法、色彩遠近法などがありますが、ざっくりまとめてしまうと上記の5点です。
上記のポイントを外すと、歪んでみえたり不自然な感じがするので、この際に覚えてしまいましょう。
5つ目の線遠近法はとくに大切なので、よかったら別記事を参照してください。

 

6.太陽の位置を意識する

光と影の方向が大事。撮影時の方向と時間から思い出すことができるかもしれませんが、撮影する時に意識しておくと、後で描くときに楽です。

太陽が正面側にあるのか、背後にあるのか、正面側にあるなら左上か、右上か。
太陽を背にして撮影すると、影がモチーフの向こう側にいって、ベタッとした印象になるかもしれません。

さらに画面全体で明るいブロック、暗いブロック、中間のブロックというようにブロック分けできると、先の構図との相乗効果でメリハリがついて面白い絵になります。

 

 

追記
描き始めたら、必ず完成させましょう。
完成させない限り、上達もしません。投げ出さずに完成までもっていけば、意外と愛着が湧くものです。
気に入らなければ新しい紙に描き直せば、作品が2つになり、比較することで明らかに上達していると実感できるはずです。
最初から思い通りに描けなくても、上達していると感じれば、楽しくなりますよ♪

 

※おしらせ
風景画に特化したサイトを立ち上げました。初心者の方むけに分かりやすく解説しています。
→「風景画の描き方とコツなら『風景画ファン』

 

               (以上です)

 

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