技法・画法

■グラデーションのコツ、やり方4選

2021年9月1日

グラデーションとは色彩、彩度、明度などの段階的変化のこと。
色などが片方からもう片方へと境目なく、次第に移行することです。

例えば、白~灰色~黒へと変化する明度のグラデーションもあれば、黄色~緑~青へと変化していく色彩のグラデーションもあります。
各色の境目がハッキリしないようにボカシの技術などが使われます。

快晴の青空でも水平線近くは徐々に白っぽくなりますし、夕焼け空にもグラデーションが必要になります。
人物画、とくに人の肌を描くには必須の技法です。
ぜひココでグラデーションの基礎を押さえていってください。

 

この記事で説明する項目の一覧です。

1.ウェットオンウェット
2.ウェットオンドライ
3.混色で色を足していく方法
4.メディウムの力を借りる方法

 

アクリル絵の具でグラデーションを作る場合は大別して4種類あります。
(うち1つはさらに2種類に分けられるので正確には5種類です)

ココでは2色をなじませるグラデーションを例にして解説します

それでは個別に解説していきます。

 

1.ウェットオンウェット

2つの色が共に乾いていない状態で、刷毛や筆で何度も往復させてなじませる方法(ウェットオンウェット)です。

色が両方とも乾いていないウェットオンウェットは、さらに2つに分けられます。

1-1.境目まで両方の色を塗って、乾いた筆(または刷毛)で境目をなじませるように往復させる方法

1-2.境目まで両方の色を塗って、それぞれの色の筆で重なる部分を何度も往復させて少しずつ混ぜる方法

 

それぞれ解説します。

1-1「乾いた筆でなじませる」

まず何の色も付けていない3本目の筆か刷毛を用意します。
なるべく幅広の刷毛のほうが効率よくなじませることができます。

例えば、上半分に黄色、下半分に赤の場合、乾いた筆や刷毛で境目部分にバツ印を付けるように何度も往復させます。
下の絵の具を斜め上に伸ばし、上の絵の具を斜め下へ伸ばすイメージです。
∞の形を描くようにリズムよくやりましょう。
上記の黄色と赤の組み合わせなら、中間がオレンジ色になります。
アクリル絵の具はすぐ乾くので素早く作業する必要があります。
筆を押しつけるのではなく、撫でるように優しく往復させるのがコツです。

 

1-2「2色の筆でなじませる」

例えば左半分が青、右半分が黄色の場合、境目までそれぞれの色を塗り終えた後で、左側の青をじわじわと右側へ進出させます。
次に右側の黄色で左へ押し返すようにじわじわと進出させます。
これを何度か繰り返すと、徐々に境目がなじんできて、中間が「緑」になります。

1本の筆でやるよりも、各色専用の筆を2本用意したほうが簡単だし、楽です。

左側の青を少しずつ右側へ進出させていくと、最後はかすれて薄くなるので黄色が強くなります。
そしてまだ濡れているうちに黄色の筆で、青の右端のかすれた辺りを上書きするように塗っていき、青の陣地まで進出していくといずれ黄色がかすれます。
黄色の左端をまた青で上書きして少しずつ右側へ塗っていく……これを繰り返します。
何回か往復したら上手くなじんで、グラデーションになっているはずです。

ココでも筆は押し付けず、撫でるように往復させるのがコツです。

 

2.ウェットオンドライ

片方が乾いた状態で、もう一方の色でグラデーションを作る方法です。

まず暗い色を先に土台として塗ります。
理由は明るい色を先に塗ると、上から暗い色を重ねたときに塗りつぶしてしまって、よっぽど気をつけないとグラデーションにならないからです。
先に暗い色の土台を作っておけば、上から明るい色を重ねても簡単には塗りつぶせないからです。

薄く溶いた絵の具を塗っては乾かしを何度も繰り返せば、少しずつ濃くなって、グラデーションが得られます。
ですが、薄くしすぎると輪染みみたいなものが残り、残念な感じになりやすいので注意が必要です。

もっとも土台の色に近い辺り(上から重ねる色を薄くしたい辺り)は、土台の色を少し混ぜるという方法もあります。

 

3.混色で色を足していく方法

片方の色に、もう一方の色を少しずつ足して混色し、その都度、境目をなじませる方法です。

例えば空を描くとき、水平線近くは白っぽくて、高い所ほど青が濃くなるグラデーションを作りたいとします。
先に水平線近くを塗って、徐々に青を足していき、最終的に青だけの状態になるようにします。
その都度、水平方向に筆を往復させ、なじませるようにします。

逆に一番上の青から塗り始めて、徐々に白を足していく方法もありますが、あまりオススメしません。
できないことはないですが、濃い色を先に塗ると大量の白が必要になり、時間もかかります。
白から始めたほうが楽ですが、絶対ではないのでお好みでやってみてください。

 

4.メディウムの力を借りる方法

メディウムは添加剤、補助剤です。
アクリル絵の具に混ぜることで性質を変えることができます。
以下の2つが候補になります。

①グラデーションメディウム

アクリル絵の具の乾燥を遅らせ、ボカシやグラデーションを作るのに便利なメディウムです。少なめに混ぜるのがコツです。

 

②リターディングメディウム

リターディングメディウム

アクリル絵の具の乾燥を遅らせるメディウムです。
画面上で色を混ぜたりするのに便利です。
油絵の具みたいに使いたいとき、似たようなタッチが得られます。

混ぜすぎるとヌルヌルして塗りにくい上に、なかなか乾燥せずにアクリル絵の具の速乾性という性質がなくなります。
多くても20%までにしておくのがコツです。

 

補足
アクリル絵の具で、グラデーションと平塗り(ベタ塗り)は最初の関門です。
とくにグラデーションは根気がいると覚悟しておいたほうが楽です。
初心者の方は、簡単にできないからと投げ出さないでくださいね。
失敗してもアクリル絵の具は乾けば何度でも上塗りできるので、やり直しできます。
一発勝負の水彩画との違い、最大の特長の一つでもあります。

 

補足2
ウェットオンウェットの私見ですが、グラデーションの幅が狭くていいなら1-1、幅広なら1-2が向いているかなと思います。
いずれも乾かないうち、濡れているうちに手早くやるのがコツです。
面相筆みたいな細い筆を使ってのグラデーションとか、本当に集中力と根気が要ります。
でもこれさえ乗り越えたら楽しくなるので、頑張ってください。
世界が広がりますよ♪

 

(以上です)

 

-技法・画法

© 2024 アクリル絵の具で自由画人