アクリル絵の具の基本

■アクリル絵の具の平塗り(ベタ塗り) ムラなく塗る方法とコツ

2022年4月23日

平塗り、ベタ塗り、コツ

平塗り(ベタ塗り)とはムラなく均一に塗ることです。

アクリル絵の具の初心者にとって最初の難関です。
平塗り(ベタ塗り)がムラになって、難しく感じる人が多くいます。

アクリル絵の具は透明色が多いので、下の色が透けて見えます。
背景の広い面積を平塗り(ベタ塗り)するとき、塗れども塗れども紙の色が透けてムラになって、くじけそうになるかもしれません。

この記事では平塗りをムラなく塗るコツなどを解説します。

 

この記事で説明する項目、平塗りのコツ、ムラなく塗るコツなどの一覧です。

1.何度も重ね塗りするのが基本
2.アクリル絵の具を溶く濃度
3.塗り方のコツ(筆圧)
4.塗り方のコツ(運筆)
5.先に別の色を塗っておく
6.不透明色を混ぜる

 

それでは個別に解説していきます。

1.何度も重ね塗りするのが基本

一度塗っただけではムラができます。
濃い所と薄い所ができます。
これはもう割り切ってください。
アクリル絵の具はそういうものだと受け入れてしまってください。

最初はイライラするかもしれませんが、慣れれば気にならなくなります。
何度も重ね塗りするうちにムラは消えて、均一になります。

どうしても受け入れられないという場合はアクリルガッシュにするという方法もあります。
ただしアクリルガッシュでも何度かは重ね塗りする必要があるし、アクリル絵の具のようなツヤは減りますので、やっぱり受け入れたほうが早いかもです ^^;
「アクリル絵の具とアクリルガッシュの違い」の記事はコチラ

 

話をムラなく塗る方法とコツに戻します。

やり方のコツは、一度塗ってムラになったら、ムキになってしつこく塗るのではなく、いったんドライヤーで乾かしてください
しつこく塗っても筆が絵の具を吸い上げてしまったり、筆の横へ流れ出したりするだけなので、急がば回れでいったん乾かしましょう。

5回塗るのと乾かすのを覚悟しておけば、ほとんどムラは消えます。
実際は3回くらいでムラはだんだん目立たなくなります。

 

2.アクリル絵の具を溶く濃度

①メーカー推奨の濃度
メーカーによって差はありますが、だいたい以下の水の量で溶くのがオススメです。

アクリル絵の具:水=1:0.5
薄めに溶くときは、1:1

一発でムラなく塗りたいからといって、ほとんど水で薄めずに塗っても、やっぱりムラができます。
しかもムラの格差(濃い所と薄い所の差)が激しい感じになります。
近道はないと諦めてください。

薄く溶いたアクリル絵の具を何度も何度も重ねるという方法もありますが、あまりオススメしません。
あまりにも薄く溶くと輪染みになって汚くなります。
塗った場所の周縁部だけ色が残り、中心部は無色の状態です。

ほどよい濃さを言葉で説明するのは難しいですが、ポタージュスープより少し濃い感じ、ヨーグルトより少し薄いくらいのトロトロの感じとでも言いましょうか。
何度かやってみて、ご自分で感覚を掴んでください。

 

②筆者の好きなやり方
下準備として、筆者は先に薄めに溶いたアクリル絵の具で画面(紙やキャンバス)をザっと塗ります
そしてドライヤーで乾かす。
これでワンセット。
これをやる目的は表面に薄い膜を作って、画面に心の準備をさせるためです ^^;

上記の適切な濃度で最初から塗り始めるのもいいですが、広い面積の場合は先に薄く塗るのをやると筆の滑りがよくなって運筆がしやすくなります。
キャンバスではそうでもないですが、紙の場合はこれをしないと筆がひっかかることがあって、そこがムラになります。

結局何度も重ね塗りするので大した差ではないですが、少しだけ楽になるような気がします。

 

3.塗り方のコツ(筆圧)

塗りムラができる原因の一つに筆圧もあります。
押さえつけるように塗ると、アクリル絵の具が両脇に流れて、筆の通った中心部が薄くなるのです。

船が進むとき、左右に白い航跡が残りますよね。
あれと同じような感じでアクリル絵の具が筆の両脇に集まってしまうんです。

しかも両脇が川の両岸の堤防みたいに盛り上がり、乾いてしまうと段差ができてしまいます。
こうなると多少の重ね塗りでは取れない高さになり、目立ってしまいます。

堤防みたいなのを作らない為には、筆を撫でるようにソフトに紙やキャンバスに当てるのがコツです。
決して押さえつけない。
それでも盛り上がりができてしまったときは早めに撫でて、ならしておきましょう。

 

4.塗り方のコツ(運筆)

①端から端まで塗る
広い面積を塗るときは画面の端の外側から反対の端の外側まで筆を動かし、途中で止めないのがコツです。
途中から始めたり、途中で筆を上げたりすると、そこがムラになります。

②縦横に塗る
横に筆を動かして、一通り塗ったらドライヤーなどで乾かして、次は縦に筆を動かして塗ります。
紙やキャンバスを90度回転させたほうが塗りやすいかもしれません。

③場合によっては水平方向だけで塗る
空を平塗りするときなど、垂直の線(筆跡)が残ると不自然な場合があります。
そういうときは、筆を水平方向だけ動かして塗ります。
一通り塗ったらドライヤーなどで乾かして、また水平方向で平塗りします。

 

5.先に別の色を塗っておく

必須ではありませんが、先に別の色を塗っておくと、色に深みが出ます。
赤く塗りたいときに黄色を先に薄く塗っておくと、ややオレンジ色がかった明るい色合いになります。

明るい色を塗るときに、先に暗い色を塗っておくと、落ち着いた感じにはなります。
でも、明度に差がありすぎると何度も何度も塗らないと思うような明るい色にならないので、似た明度のものがいいかもしれません。

深緑で平塗りしたいとき、2通りあります。
①緑にほんの少し茶色を混ぜた色を塗る
②茶色を先に塗って、その上に緑を重ねる

どちらもやってみてご自分で感覚を掴んで欲しいのですが、②のほうがツヤ、深みが優れていると思います。
下の色を活かして重ね塗りするのをグレーズ技法と呼びます。

こういう光学的な混色は水彩絵の具やポスターカラー、アクリルガッシュではしにくい芸当ですので、アクリル絵の具で是非ものにしてください。

 

6.不透明色を混ぜる

ムラを無くすために何度も重ね塗りするのは面倒というとき、不透明色を混ぜる方法があります。

例えば、白はジンクホワイトとチタニウムホワイトがありますが、前者は透明、後者は不透明です。
なのでチタニウムホワイトを少し混ぜると、下の色を隠す隠蔽力が高まるので、ムラが起きにくくなります。

あくまで狙った色と合えばの話ですが、ムラなく塗る方法の一つとして覚えておいて損はないでしょう。

 

まとめ

もう一度、この記事で説明した項目を列挙します。

1.何度も重ね塗りするのが基本
2.アクリル絵の具を溶く濃度
3.塗り方のコツ(筆圧)
4.塗り方のコツ(運筆)
5.先に別の色を塗っておく
6.不透明色を混ぜる

まず1の重ね塗りするものだと受け入れちゃってください。
面倒だなと思うかもしれませんが、そのうち2~6も自然とマスターするようになるので、そのうち気にならなくなります。

平塗り、ベタ塗りはアクリル絵の具の最初の関門です。
これを乗り越えたら自由な画材であるアクリル絵の具の世界がド~ンと広がるので、楽しくなりますよ♪

 

(以上です)

 

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