結論を先に言うと、
オールマイティ的なものを求めるならケント紙かワトソン紙の二択で問題ないでしょう。
コスパ重視で安くあげたいならケント紙、ニジミやボカシ技法も使いたいならワトソン紙がオススメです。
この記事ではアクリル絵の具にむく紙の他、紙の品質、基礎知識も解説します。
この記事で説明する項目の一覧です。
1.アクリル絵の具むきの紙の種類 2.紙の品質 3.水張りの必要性 |
それでは個別に解説していきます。
1.アクリル絵の具むきの紙の種類
紙は膨大な種類があるのでアクリル絵の具に適したものに限定して解説すると、大別して画用紙、ケント紙、水彩紙があります。
販売する形状はシート(カット)、スケッチブック、ロール、板に貼り付けたイラストボードなどがあります。
①画用紙
画用紙は文字通り解釈すると絵画を描くための全ての紙になりますが、JIS規格では化学パルプ30%以上のものと規定しています。
(100%のものは製図・絵画用です)
木材を砕いて作ったパルプの含有量が多いものほど安価になるため、児童用・練習用として利用されています。
後述しますが、アクリル絵の具で描く場合は水張りの必要があるので、あまりにも薄い画用紙は濡らした後の引っ張りに耐えられない場合があります。
②ケント紙
ケント紙は英国のケント地方で生まれた純白で表面が平らな汎用性の高い硬めの紙です。
消しゴムの摩擦にも強く、毛羽立ちしにく性質です。
製図を始め、鉛筆画、ペン画(漫画原稿)、水彩画などにも使われます。
表面の凹凸が少ない(目が細かい)ため、細密画などにも向きます。
鉛筆デッサンにもアクリル絵の具にも適しています。
100均のでよければ、A4サイズ4枚入り税抜100円で売っていましたよ。
③水彩紙
水彩紙は水彩絵の具やアクリル絵の具などで水を多く使う画法のための紙です。
すぐに吸水しないようサイジング(サイズ処理)を施されています。
紙がすぐに吸水しないことで表面に含水量の多い絵の具が留まり、水彩絵の具独特の「にじみ」や「ぼかし」の効果を得られます。
ヨーロッパ製の水彩紙は一般的に高価ですが品質に定評があります。
水彩紙オススメ-1
日本製ではワトソン紙が高品質のわりに入手しやすい価格なので人気です。
より白みが強いホワイトワトソン紙もあります。
F6(419×328mm) サイズ、15枚で3,000円前後ですから決して安くはないですが、外国製のブランドものに比べたらかわいいほうです。
紙の厚さは1平方メートルあたりの重さで表示します。
これは300gあるので、しっかりした厚みです。
販売されている形状は主に以下があります。
①スプリングで綴じてあるスケッチブックタイプ
②4辺の側面がぐるっと糊付けされているブロックタイプ
③メモパッドみたいに上辺だけ糊付けしてあるパッドタイプ
初心者の方にオススメはダントツで「ブロックタイプ」です。
普通は一枚ものの紙にアクリル絵の具や水彩絵の具で描くと、水分で紙がベコベコに波打ちます。
ある程度、紙厚があれば波打ちしにくくなりますが、それでも大量の水を含んだ筆で何度も塗ると、やっぱり凸凹になります。
これを避けるために「水張り」をする必要があるのですが、初心者の方にはまぁまぁハードルが高かったり、面倒くさかったりします。
その手間を省いてくれるのがブロックタイプです。
そのまま描けるので楽ちんです。
水彩紙オススメ-2
1枚あたり200円も払えないよという方はホルベインのクレスターがオススメ。
ホルベインは絵の具で有名な国内のメーカーです。
F6(419×328mm) サイズ、24枚で2,000円弱ですから、1枚あたりは100円を切っているものの、品質には定評があります。
こちらの厚さは210gですので1枚だけなら水張りが必要になりますが、製品がブロックになっているので、そのまま描けます。
ブロックというのは側面を糊つけして固めてあるという意味です。
描き終えた後に側面にカッターナイフなどを入れて、1枚ずつ剥がして保管します。
わりと安いし、水張りしなくていいし、いいことずくめのような気もしますが、一つ短所もあります。
それは黄みがかっていること。
ケント紙の白さに慣れてた筆者は見た瞬間、再生紙?と思ってしまったほどです。
原料はコットン繊維と新品のパルプなので、もちろん再生紙ではありません。
慣れれば気にならなくなります。
左がケント紙、中央下が茶封筒、右半分がクレスターです。
色みの好みは分かれるかもしれませんが、淡いオフホワイトと考えれば優しい味わいがあります。
100均の画用紙では物足りなくなった方、本格的な水彩紙を使ってみたい初中級者の方にオススメです。
水彩紙(オススメ?)-3
とにかく安い水彩紙でガンガン練習したい方むけにあるのがアルビレオです。
サイズはB4とB5がありました。
値段は某通販でB4が1,600円くらい、B5が800円くらい。
いずれも24枚なので1枚あたり67円くらいです。
厚さは218g/m2ですので、通常だと水張りが必要になりますが、ブロックタイプなのでそのまま描けます。
ただですね、表面が弱いですね。
水を多く含んだ筆で同じ場所を何度も塗ると表面がケバ立ってきます。
アクリル絵の具で厚塗りするなら気にならないかもしれません。
う~ん、ギリギリセーフって感じですかね。
ただメリットもあって、水彩紙はたいていF4号とかF6号とかが多い中で、こちらはB規格(B4とかB5など)です。
F規格だと額縁が最低でも4,000円前後からになりますが、B規格だと百均で簡易的な額縁が売っています。
初心者なのに高価な額縁は払えないよという場合はいいかもです。
初心者むけの水彩紙のオススメをまとめると、1番はワトソン紙、コスパ重視ならクレスターです。
とにかく安くというなら、アルビレオですかね。
ご参考まで。
2.紙の品質 材質、重さ、表面加工など
画用紙を選ぶときは、材質、色、厚さ(重さ)、表面加工などの基準があります。
①材質:化学パルプ、木材パルプなどがあり、高級水彩紙には綿100%のものもあります。
②色:基本は白ですが、白にも黄みがかったものもあれば、純白のものもあります。ケント紙は白の度合いが高くなっています。
③厚さ(重さ):。坪量(つぼりょう)という1平方メートル当たりの重さで表します。
数字の大きいものほど重さがあるので、厚みがあります。
JIS規格では坪量225g/m2未満を紙、225g/m2以上を板紙とみなすとあります。
なお300g/m2辺りになれば紙自体が強くなり、含水量の多い絵の具で描いても波打ちしないので、水張りが不要になります。
水張りのことも考えるとあまりにも薄い紙は向いておらず、少なくとも120g以上、できれば150g以上の紙を用意するようにしましょう。
④表面加工:サイジング(サイズ処理)と凹凸の目の粗さ/細かさ(細目、中目、荒目)などがあります。
材質によるものが大きいですが、表面のツルツルまたはザラツキのある触感、消しゴムでも毛羽立たない強さなども描く上で必要となる場合があります。
3.水張りの必要性
アクリル絵の具や水彩絵の具などの水を使う絵の具で描くと、紙は乾燥した後に波打ちするので、重ね塗りをするとき描きにくくなりますし、完成後の見た目も悪くなります。
水張りというのは水で紙を濡らしてふやかして、伸び切ったときにマスキングテープやホッチキスなどで固定することです。
これをすることで紙が乾燥したときにピンと張って、絵を描き終えた後も、ピンとした状態が続きます。
紙の厚さは1平方メートルあたりの重さで表示します。
300g以上あると厚みがしっかりしているので波打ちしにくくなります。
これより薄い紙を使う場合は水張りが必要と考えておきましょう。
大きな紙の場合は木製パネルが必要ですが、A4サイズまでの紙ならB4サイズくらいの板にマスキングテープで貼り付けるという方法もあります。
水張りの方法は別記事で解説していますので、よかったら読んでみてください。
→ 「水張りとは やり方3選、水張りテープ、オススメの紙など」
(以上です)