絵のお悩み解決

野外スケッチ 速く描くコツ、早描きの考え方

2022年2月5日

野外スケッチ2、早描き、速く描くコツ

スケッチはしてみたいけど、恥ずかしいという初心者の方にオススメなのが早描きスケッチです。

屋外だと通行人の邪魔になるかもしれないし、人に見られると恥ずかしいし、時間がかかると集中力が切れるし疲れる……など早描きを覚えることでいろんなメリットがあります。

ココではアクリル絵の具などの塗りを使う場合の早く描くコツなどを紹介します。
鉛筆やペン画でのスケッチでも、考え方は参考にはなるはずなので、よかったら読んでいってください。

 

この記事で説明する項目の一覧です。

1.クロッキーとスケッチ、デッサンとの違い

2.早く描くコツ 描く前の作戦編
①完成形から逆算:一番のウリは何か
②複雑なものは描かない、または割り切る

3.早く描くコツ 描き方編
1)下書き線に働いてもらう
2)余白を許す。ムキにならない
3)使う色を絞る
4)使う筆を絞る
5)抜け感、脱力感、テキトーを楽しむ

 

それでは個別に解説していきます。

1.クロッキーとスケッチ、デッサンとの違い

似たような言葉があるので、この際、整理してみましょう。
クロッキーとは速写とも言われます。
それならスケッチを早く描く=クロッキーなの?と思うかもしれませんが、ちょっと違います。
ざっと解説しますね。

クロッキー……3~10分間で描く。線のみ。
陰影は付けない(付ける暇がない)

スケッチ……10分~2時間。人物や風景を大まかに写しとる。
絵の具などで着色を前提とする場合が多い。

デッサン……20分~10時間(上限なし)。素描。モチーフを正確に描き写すこと。
形状、明暗、質感まで表現するために、じっくり描きこむ。
着色するのは少数派。正確に描いても着色したら隠れてしまうので。

 

この3つに明確な境界線はないので、所要時間も参考程度にしてください。
ただ、割りと明確なのは着色するかどうか。

クロッキーとデッサンは着色をしないことが多いようです。
コンセプトや目的が違うからです。

着色しないと決めたら、どこまで描き込むかと所要時間で3つのどれになるか決まります。
所要時間だけで見れば、スケッチはクロッキーとデッサンの中間と覚えておいてください。

 

2.早く描くコツ 描く前の作戦編

野外スケッチ1、早描き、速く描くコツ

早く描けるかどうかは、描く前の作戦で決まるといっても過言ではありません。
大した時間ではないので、描く前にしっかり作戦を練りましょう。

 

①完成形から逆算:一番のウリは何か
まず主役と脇役をハッキリさせるというのもあります。
さらに書くと、主役のどこが素敵なのか、どう美しいと自分が感じているのかを整理して、しっかり認識することです。

とくに見晴らしのいい広大な風景はテーマがぼやけがちで、現場にいない人には感動が伝わりにくくなります。
完成形を想像して「この絵のウリは何か」と考えて、整理しましょう。

そしてウリがハッキリしたら、それにふさわしい面積を割いているかチェックしましょう。
主役が端に小さくあるなら、その絵のウリとなるには厳しいはずです。

 

②複雑なものは描かない、または割り切る
人工物は厄介です。
ビルの窓とかビッチリ全部描いてたら短い時間で塗りまでできる訳がありません。
橋の鉄骨もそうです。
下書きでタイムオーバーです。

そういうものは、省いてしまうか、雑に描くと開き直るか、いっそのこと自分が別の場所に移動するかの3択です。

風景画だから正確に全部を入れなきゃいけないという決まりはありません。
電柱や電線、鉄塔が邪魔なら省けばいいんです。

マンションやビルがあることで風景画がよくなるとかあまり無いので、省くか、ぎりぎりマンションと分かる程度でざっくりと描くかで十分です。

 

3.早く描くコツ 描き方編

1) 下書き線に働いてもらう
油絵みたいなタッチが好きな人には不本意かもしれませんが、ココは早描きの解説なので頭を柔らかくしてください。

下書き線は鉛筆かボールペンなどの油性のもので描きます。
下書きだけで鑑賞者は何の絵か分かる状態にします。

逆に下書きなしで、アクリル絵の具の着色だけで形をハッキリ表現しようとなると面相筆(極細の筆)の出番になって、やたら時間がかかってしまいます。

 

2)余白を許す。ムキにならない
水彩画の要領です。スケッチブックの周縁部(端のほう)や四隅は塗らなくてもいいんです。
モチーフの中もキッチリはみ出さないように塗るのではなく、ざっくり塗ればいいし、はみ出すなら面や帯ではみ出せば、それも味になります。

ムキになって正確に塗ろうとするとやたら時間がかかってしまいます。
余白を楽しむ余裕を持ちましょう。
人生も同じです。 ^^;

 

3)使う色を絞る
いろんな色を使うと、それだけで時間をロスします。
画面も取りとめがなくなるし、まとまりが悪くなりますので、使う色を厳選しましょう。

どうしても多色を使いたいときは、混色で少しずつ変化させましょう。
緑を塗った後に、赤、その後に青を塗るというのは筆洗いの時間なども含めると時間のロスが大きくなります。

風景は緑と青が多いと思います。
他は白と黄色と赤があれば十分です。場所によって赤は最後まで使わないかもしれません。白は単独では使わず、紙の白を活かします。色を薄くしたいときや、修正したいとき、ハイライトを入れたいときだけ白を使いましょう。

他の色は混色で何とかしましょう。
黒は使いません。
補色をほんの少し混ぜればいいんです。

色相環、補色
補色色相環の反対側にある色といっても分からない場合は別記事で解説していますので、ご参照ください。

茶色を作りたいときは赤にほんの少し青を混ぜます。
オレンジ色は黄色と赤を混ぜればできます。
紫は陰の代わりになりますので赤と青を混ぜましょう。

新しい色を出したら、その度に新しい筆を出すか、キレイに洗う必要が出てきます。
そのうち置きっぱなしになってアクリル絵の具の場合は筆が固まり始めます。
使う色を絞り込むと筆の管理も楽になります。

 

4)使う筆を絞る
大きな筆でざっくりと描いていくのが速くするコツです。
面相筆(極細の筆)で正確にチマチマ描いていたら、時間はいくらあっても足りません。

また使う筆が増えるとアクリル絵の具の場合は大変です。
乾かないうちに拭って筆洗い器に入れないと固まってしまうからです。
使う色が増えると、色ごとの筆が増えて、取り回しや管理も大変になり、集中力が阻害されます。

 

5)抜け感、脱力、テキトーを楽しむ
そもそも写真画質の絵を描こうと思わないことです。
写真画質とまではいかなくても、なるべく正確な絵を描きたいという場合は、現場では下書きと空間、空気感の把握に留めて、家で正確な描き込みをするという感じで作業を分けましょう。
でもコレだと早描きの趣旨と違ってくるので、本題に戻ります。

早描きしたいなら、スピードと勢いを大事にしましょう。
主役の中のウリはしっかり描き込むとしても、あとはザザッと手抜きしましょう。

枚数を重ねることで、手の抜き方も分かってくるので、最初は脇役でムキにならないことを意識してください。
アクリル絵の具は重ね塗りができるので、失敗しても後で何とかなるだろと大物みたいに構えて、スケッチしている時間を楽しんでください。

 

まとめ

この記事で説明した項目を再度載せます。

1.クロッキーとスケッチ、デッサンとの違い

2.早く描くコツ 描く前の作戦編
①完成形から逆算:一番のウリは何か
②複雑なものは描かない、または割り切る

3.早く描くコツ 描き方編
1)下書き線に働いてもらう
2)余白を許す。ムキにならない
3)使う色を絞る
4)使う筆を絞る
5)抜け感、脱力感、テキトーを楽しむ

 

絞るのがコツですね。3つの絞る
描く対象を絞る、塗る色を絞る、使う筆を絞る。
絞ることでスピードアップできます。

あと意識ですね。完璧主義を捨てる。
ムキにならない、テキトーや余白を楽しむ。

ザザッと描いていったん完成させて、余裕があれば描き込むくらいの時間配分がオススメです。

天気のいい日は野外スケッチを楽しんでください♪

 

               (以上です)

 

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