画材・道具

他の絵の具との併用、重ねる、混ぜるときの注意点など(前編)

2022年1月23日

他の絵の具と混ぜる、代用

アクリル絵の具のある色が切れたとき、油絵の具や水彩絵の具で代用できないかと考える人は多いようなので、まとめてみました。
他の絵の具と混ぜて使う、重ねて使うというパターンも解説しています。

上記以外にも例えばアクリル絵の具とクレヨンを併用してスクラッチアートを楽しむというような使い方もあるので、併用可能な画材を挙げてみます。

ここでは解説していませんが、アクリル絵の具とアクリルガッシュは普通に混ぜて大丈夫です。
メーカーが違ってもほとんど大丈夫なようです。
この記事ではアクリル絵の具と他の画材との併用を解説します。

 

この記事で説明する項目の一覧です。

1.油絵の具との併用
2.水彩絵の具、ポスターカラー
3.クレヨン
4.パステル
5.色鉛筆
6.マーカー、カラーインク

 

それでは個別に解説していきます。

1.油絵の具との併用

1)下地がアクリル絵の具、上に油絵の具
先にアクリル絵の具を塗って、その上に油絵の具で描くことはできますが、逆は弾かれるのでムリです。
油絵の具の上にアクリル絵の具で塗った場合、いちおう塗れたように見えても後で剥落するので、結局は時間と労力の無駄になります。

 

2)アクリル絵の具で下書きするメリット
先にアクリル絵の具で下書きして、その上で油絵の具を塗るというのはメリットがあります。
油絵の具で下書きをして、普通に油絵の具で着彩するときは下書きが乾くまで最低1週間くらい待たなくてはなりませんが、アクリル絵の具を下書きに使った場合、乾けばすぐに油絵の具で着色できます。

ただしアクリル絵の具が完全に乾いたと確信できるまでは油絵の具を塗らないようにしましょう。
アクリル絵の具の水分が残っていると、ジワジワとにじみ出てきて、水と油が弾くようになって後から塗った油絵の具が剥落してしまいます。

なのでアクリル絵の具で下書きをする場合は厚塗りせず、さらにドライヤーでしっかり乾かせば、すぐに油絵の具で塗りはじめることができます。

 

3)絵の具を切らしたときの代用
アクリル絵の具で描いている途中で、ある色が無くなったので代用として油絵の具の色を使えないかと考える人がいるかもしれないので解説してみます。
油絵の具を切らして、アクリル絵の具を代用するという逆パターンも同じ答えになります。

水と油です。
止めときましょう。
アクリル絵の具は水溶性、油絵の具は油性です。
強引に混ぜて溶けたように見えても後で分離します。
やるだけ時間と労力の無駄です。
せっかくの作品を台無しにしてしまうので混ぜて使わないようにしましょう。

 

2.水彩絵の具、ポスターカラー

①水彩絵の具とアクリル絵の具
ポスターカラーも含めた水彩絵の具とアクリル絵の具を混ぜて使うのは、パレットで混ぜて異常がなければOKです。
メーカーや色によっては水彩絵の具が酸性になっている製品があり、アルカリ性で安定しているアクリル絵の具と化学反応を起こして、凝縮することがあります。
また乾いてからの耐水性も損なわれます。
なので緊急用として仕方ない場合以外は混ぜないほうが無難です。

 

②重ね塗りパターンその1。水彩絵の具の上に、アクリル絵の具
結論=ほぼOKです。
しつこく何度もアクリル絵の具を上から塗るのではなく、ドライヤーなどでいったん乾かしてまた塗れば、下地の水彩絵の具が溶け出してしまうのが少なくなります。

水彩絵の具はなるべく画用紙の白を活かすようにと指導されるようですが、塗った後にどうしても白を乗せたいという場合があるかもしれません。
失敗した場合の修正とかも。
色の濃い部分に水彩絵の具の白を塗っても溶けてにじんでしまうので、上手くいかない場合が多いはずです。

そういう場合、アクリル絵の具はどうかというと、わりと乗ってくれます。
塗る途中から下の水彩絵の具が溶けてにじんでくる場合はしつこく重ね塗りせず、いったん乾かしましょう。
そうしてまたアクリル絵の具を塗るんです。
何度も重ね塗りできるのがアクリル絵の具の長所なので、ドライヤーで乾かしながら乗せていけば、いずれは目指す色になります。

ただし、アクリル絵の具の上に水彩絵の具は乗らないので、サンドイッチは無理です。
一番下が水彩絵の具、2番目にアクリル絵の具で修正、さらにその上に水彩絵の具という塗り方は最後に塗った水彩絵の具が定着しません。

 

③重ね塗りパターンその2。アクリル絵の具の上に、水彩絵の具
アクリル絵の具の上に水彩絵の具は乗りません。
プラスチックの上に水彩絵の具で描いても定着しないのと同じです。
プラモデルを水彩絵の具で着色するのを想像してもらうと分かると思いますが、いずれ剥がれやすくなります。

アクリル絵の具の上に、チューブから出したままのほとんど薄めていない水彩絵の具を乗せれば乗らなくもないですが、長期保存を考えるなら剥離は十分ありうるので、止めておいたほうが無難です。

 

※長くなったので、後編に分けます。

アクリル絵の具と、以下の画材との併用などを後編で解説します。
3.クレヨン
4.パステル
5.色鉛筆
6.マーカー、カラーインク

 

                (つづく)
後編はコチラ

 

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